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老舗企業、持続可能な経営を模索
100年企業探検隊 第35話
熊本県に拠点を構える建設資材の卸売・工事業を手掛ける老舗企業が、事業承継と持続可能な成長に向けた取り組みを進めている。創業は大正5年(1916年)であり、当初は生活雑貨を扱う商店として事業を開始。その後、石炭や肥料の販売を経て、建設資材の取り扱いを強化し、現在ではセメントやガラスなどの供給を軸に熊本県全域に展開している。
近年、多くの中小企業が後継者不足に直面する中、同社も例外ではない。4代目社長のもと、次世代リーダー育成に向けたプログラムの導入を進めており、長年培った経営ノウハウを基に事業の安定化を図っている。また、建設業界全体の人材不足という課題に対応するため、新卒・中途採用の強化やインターンシップの実施など、多様な人材確保策に取り組んでいる。
技術力の向上にも注力しており、資格取得の推奨や多能工化を推進。職人の育成を進めることで、自社施工の比率を高め、利益基盤の安定を図る方針だ。さらに、デジタルツールを活用した採用活動や情報発信にも力を入れ、時代に即した経営を目指している。
同社の経営理念は「お客様全員に満足を与え続ける」というもので、近江商人の「三方よし」の精神に通じる考え方を持つ。地域との共生を重視し、納税や清掃活動といった社会貢献活動にも積極的に関与。さらに、地域の100年企業と連携し、持続可能な経営モデルの確立に努めている。
今後の課題としては、後継者問題の解決、事業の多角化、人材確保と育成が挙げられる。建設業界の縮小が予測される中、利益率の高い事業の開拓や、付加価値の高いサービスの提供が求められている。地域ネットワークを活かしたノウハウの共有やM&Aの可能性も視野に入れつつ、次の100年に向けた経営戦略に注目が集まる。
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