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落とし物をして、昭和の駅に忘れ物をする
Googleドキュメントで1月1日から12月31日まで365個のファイルを作って、毎年同じ日の日記を書き足していくということを2019年からやっている。去年の今日はどんなことがあったというのが見えて面白い。
日記といえば、学生時代に書いた日記帳があまりにもあんまりな内容と体裁で猛毒文書になっている。
ずっと処分に困ってきたのだけれど、いつまで持て余していたって一度書いたものはなくならない。だから比較的毒素の薄い部分だけを上述のGoogle日記に転記して、原本は神社でお焚き上げでもしてもらうつもりで、暇を見ては転記作業を進めている。
1991年の今日は、通学定期を落としてしまったから発行駅まで新しく買いに行った。
忘れていても、読めばそんなことがあったと思い出す。
あの時分の定期券は今みたいなICカードでなく、ただの磁気カードだから更新のたびに名前と区間の書かれたカードを新しく発行された。だから失くしたことを説明する必要がないのはよかったが、発行駅が隣の駅で、わざわざ行かなければならないのは面倒くさかった。
隣の駅には何だか昭和50年代ぐらいの雰囲気が漂っていて、懐かしい気がすると同時にそもそもこの辺りは大阪といっても田舎の方なのだなぁと思ったのを覚えている。あれがこの更新の時の記憶なのか、他の時なのかはわからないけれど、何となくこの日だったように思う。
そうして下宿に帰ったら、駅に傘を忘れてきたと気がついた。取りに行くのも面倒くさいからそのままにした。
翌日の頁には、「定期を誰かが拾って事務室に届けてくれていた」とあった。
定期券を落としてしまった。これはつらい。三月二日ぐらいまで使えたと思う。それを落としたのだ。そんな物を拾って学生課へ届けてくれるような殊勝な人物など今時いるわけがないと信じて疑わない俺は、早速北千里駅へ行って新しい定期を買った。その時ついでに傘を駅に忘れてしまった。嗚呼悲しい。
昨日落とした定期が、事務室に届けられていた。なんて日だ。
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