プロフェッショナルに学べ! 菅野孝明さん 浪江日記②
東日本大震災から10年。福島第一原子力発電所事故から10年。
福島県浪江町で生活している人は、約1,500名(令和3年1月31日現在)。福島県浪江町は元々、49行政区に分かれていた。今も49地域の区分けは存続しているが、いまだに帰れない地域もある。この状況下で町のコミュニティをどう再構築しているのか、一般社団法人まちづくりなみえ事務局次長 菅野孝明さんにお話を伺いました。
ひとり一人置かれている状況が違うがゆえに・・・
「49行政区の区長と年間3回ずつ意見交換会をしています。あと年一回、行政区ごとで総会が開催されています。区によっては、住民らが近況報告をしながら、温泉に浸かり、交流している行政区もありますね。ただ、区によっては開催できていないところもあるみたいです」と話す一般社団法人まちづくりなみえの事務局次長 菅野孝明さん。
もともとのコミュニティで集まる機会は、年に一度。生産人口の18歳〜60歳の世代で、浪江に戻る人は少ない。避難指示が発令中に、避難先で新しい生活が始まっているから。生計を立てるために、帰りたくても帰れない人がいるのです。
まちの再構築に関わっている菅野さんが強く感じることは、「一人ひとり大切にしていること、求めていることも違う。その中で相互理解を深めながら、どう進めることがいいのかを話し合っていくことが重要だ」ということ。
昔からある「神社」の意味
考え方は、世代によっても変わる。
ご高齢者から出てくるキーワードで菅野さんが意外に感じたのは、「神社」だそう。よくよく考えると、神社はその場所に設立された理由、神が祀られた理由、全てに意味がある。その意味を共有して、年中行事として「祭」などが開催されてきた神社。かつては、神社がみんなの集まる場所でした。その習慣を再起させたい想いが住民の中から湧き出てきた。住民の声を聞いてから菅野さんも神社を意識するようになり、神社がそこにある意味を体感しながら、再起のきっかけを模索し続けている。
若い世代が元気であること
一方で、青年会議所に所属する20歳〜40歳までの世代から出てくるキーワードは、「賑わい」だ。まちに活気をもたらすための活動を生み出そうとしている。
「それぞれの世代がまちに対して、想いを抱き、計画を進めている。その想いを互いに理解し、話し合い、『共通言語』を持ち、再構築を進めることが今の重要な視点だ」と菅野さんは語る。
新しく道の駅もでき、従業員もイキイキと働いている。そして世代ごとにまちに対して活動をしている人がいる。その一人ひとりが笑顔で生活を続ける、持続可能なまちであり続けるためには、それぞれの努力も必要です。
その努力は、自分自身のやりたいことを貫く、実現するための行動も大切ですが、一緒にまちをつくっていく周りの人への気遣いや周りの人の考えへの理解を深めることも同じくらい大切です。ただ、自身の想いを貫くだけではいけません。
すべての世代に通じる「共通言語」を作る!
「神社」、「賑わい」、「道の駅」、再構築のキーワードは挙がっています。
あとはそのキーワードを共通言語化し、それぞれが同じ将来を描けているのか、確認することが必要です。その状態になるためには、やはり話し合いの「場」が必要です。
私は、実際に「道の駅なみえ」を訪れて、「道の駅なみえ」こそが話し合いの場所になると思いました。浪江にかかわるすべての人の想いが感じられた素晴らしい施設です。ぜひ、一度、「道の駅なみえ」に訪れてみてください。
私の言った意味がわかると思います。
道の駅なみえで販売していたシクラメン
浪江日記の最後は、浪江で取り組まれている新しい事業に込めた菅野さんの想いに続きます。
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