【会見場だより】キリン、「プラズマ乳酸菌」事業拡大へ
キリンホールディング(HD)は9日、東京都内で同社の独自素材「プラズマ乳酸菌」に関する事業戦略説明会を開催した。2023年にはプラズマ乳酸菌の生産能力を現在の約2倍となる28㌧に引き上げるほか、外部のパートナー企業との連携などでプラズマ乳酸菌を配合した機能性表示食品の製品の拡充などで、2021年に135億円見込みのプラズマ乳酸菌事業の年間売上高を2027年には500億円に増やす計画だ。また、プラズマ乳酸菌のPR活動にも注力し、経営資源を充てる。同日の会見にはプラズマ乳酸菌のアンバサダーに起用したタレントのタモリさんが出席した。タモリさんはプラズマ乳酸菌の新CMに出演する。
「プラズマ乳酸菌」の商品
「プラズマ乳酸菌」はキリンをはじめ、小岩井乳業、協和発酵バイオが共同研究している健康な人の免疫機能の維持をサポートする乳酸菌。一部の細胞を活性化させる一般的な乳酸菌と異なり、“免疫の司令塔”とされる「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」を活性化。活性化された司令塔の指示・命令により、免疫細胞全体が活発となり、ウイルス感染の防御につながるとしている。同日、キリンHDの磯崎功典社長は記者会見の席上で、「(力を注いでいる)ヘルスサイエンス領域の中でも、『免疫機能』領域を重点領域の一つと位置付けている。『プラズマ乳酸菌』は重点領域の戦略素材と位置付けている」とし、プラズマ乳酸菌事業の拡大に向け意欲をのぞかせた。
記者会見に臨むキリンHDの磯崎功典社長=9日、東京・有明
キリングループはプラズマ乳酸菌の商品ラインアップを拡充する。キリンビバレッジはプラズマ乳酸菌のブランド「iMUSE」の飲料を11月末にも順次リニューアルするほか、10月12日にはプラズマ乳酸菌の新商品「キリン 午後の紅茶 ミルクティープラス」「キリン 生茶 ライフプラス 免疫アシスト」も発売する。さらに、小岩井乳業は「小岩井 iMUSE(イミューズ)ヨーグルト低脂肪」を9月28日に発売、さらに同日からヨーグルト商品を順次刷新する。
プラズマ乳酸菌の商品戦略を説明するキリンHDの佐野環執行役員=9日、東京・有明
プラズマ乳酸菌の商品展開はキリングループだけにとどまらず、外部パートナー企業とのコラボレーションも積極的に乗り出し、商品ラインアップを拡充する。オリヒロプランデュは9月6 日、「オリヒロ ぷるんと蒟蒻ゼリー パウチ プラズマ乳酸菌(巨峰味)」を発売した。カンロは10月4日に「ピュレグミ iMUSE プラズマ乳酸菌」を、森永製菓は11月30日に「免疫ケア プラズマ乳酸菌ココア」「免疫ケア プラズマ乳酸菌チョコレート」「inのど飴<りんご味>」をそれぞれ発売する。他社とのコラボの狙いについて、同日の記者会見に出席したキリンHDの佐野環執行役員は「キリンだけでは届けきれない領域を外部パートナー企業様の強みを生かし、機能性表示食品のバリエーションを拡大したい」と説明した。