第23回 24時間リレーマラソン神戸大会 シングルの部② 大会(前編)
神戸総合運動公園
今回の会場、神戸総合運動公園は、学生時代の引退レースの場だ。ここでみんなで写真撮ったな、とか思い出しながら会場をぶらぶら。
思えば引退レースは散々だった。笑
でもそれはどこか自分らしくもあり、悔しさと、4年間大学で陸上ができた誇らしさがこみ上げる日だった。ゴール後は仲間が寄ってきてくれ、花束をくれた。今でも思い出すと泣けてくるような光景だ。素晴らしい人たちに恵まれた。今でも最高の友人たちだ。
前日までの恐怖心は薄れ、晴れやかな気持ちになっていた。
マラソンはスタートラインに立った時点で、一つ達成している。走りだせること自体、喜ばしいことなのだ。
レースはもう一つの喜び。
テントを張り、エネルギー補給などの最終確認をして、軽くウォーミングアップ。と言ってもjogはあまりせず、動的ストレッチとドリルのみ。
それだけで調子がいいのが分かった。よく動く。だからこそオーバーペースには要注意だ。落ち着いて…落ち着いて。
号砲の時
12:00 太陽が高くから見下ろす中、始まった。会場全体は盛り上がっていたが、自分自身は穏やかに、静かに、そして笑顔でスタートできた。
太陽との闘い
日中はとにかく省エネで行きたい。太陽が沈むまでは、オーバーペースにならないよう、ただリズムを作るためにもある程度のテンポで。リレーマラソンの盛り上がりを横目に、ただ淡々と。順位など全く気にしない。ひたすら自分のペース、思い描くレースをすることに徹した。
サポートをしてくれる方とは入念に打ち合わせをしていた。給水、補給だけでなく、帽子と首元の氷を絶えず変えてもらい、体温が上がりすぎないようにもした。
こんな狂った挑戦に、嫌な顔せず付き合ってくれることに、頭が上がらない。走るのもそうだが、サポートもかなりきつい。本当に感謝しかない。
これだけ対策をしても暑さはジリジリと体力を奪っていく。コース上にランナーが少なくなったように感じたのは、分散したためか、走れなくなってきているのか。
最初の6時間が苦しいのは予想できていた。まずはこの時間を大きなトラブルなく走れたのは好発進と言えたのではないだろうか。
今回の作戦の一つとして、シューズを3度変えることにしていた。
もともと1つのジャストフィットシューズで走り続ける派の自分としては、初めての試みではあったが、今回ばかりはかけ水や汗でずぶ濡れになるシューズでは、マメなどのトラブルが出るのでは?と思い、複数シューズを用意した。
そしてシューズは3種類ともタイプの異なるものを用意し、足裏にかかる負荷を分散しようとも思った。プレートの入ったシューズとクッショニングの強いシューズでは、負荷のかかり方も変わる。距離やペースに応じて履き替えることで、苦しい気も紛らわすことができるのではないかと考えた。
具体的には、
0~40km クッションシューズA
・・・オーバーペースを防ぎ、日の高い時間帯のダメージを最小限に。
40~80km クッション&反発両立シューズB
・・・一番使い古したものだが、足には馴染み、淡々と走れる。
80km~160km 反発シューズC
・・・夜の涼しい時間帯にできるだけペースを上げたく、反発の強いものを採用。
160km~225km 再びクッションシューズA
・・・ダメージのある中で、粘る!
このようなイメージで、実際にこの通りに履き替えた。
この作戦が自分には良かったように思う。
静寂の中
夜中に近づくにつれ、食事休憩をしているランナーが増えた。
当然コース上で走る人の数は減る。
終電も無くなるころ、本部から離れたコース上では、一時の静寂が訪れる。
ここからは精神修行のような時間帯だ。
暗い中、自分の呼吸と足音に集中する。
ひたすら向き合う時間。このような時間は性格的に向いている。
幸いにもペースはまだ乱れずに淡々と刻めている。少しずつ貯金もあり、気温が下がったこともあって、気持ちにも余裕が出てきた。
120kmを超えた。前回はここからテントで休んだ際に立てなくなり、ゲームオーバー。あとは歩き倒すだけになってしまった。
今回は違う。立ち止まっても3分。靴の履き替えの時でも7分程度で出発していた。
夜でも27、8℃はあったと思うが、立ち止まると汗で冷え、震えていた。
この時点で体の体温調節機能に異常は出ていた。
ただ、言葉にすると、その通りになりそうで、走り出した。
ダメージは確実にある。エアーサロンパスを吹きかけながら、紛らわしていた。
静かに、淡々と。過去の自分を一歩ずつ超えていった。
1秒ごとが自己ベスト更新。1秒ごとが喜びのはずだ。
苦しんでいる場合ではない。
感謝と喜びの中を走ろう。
ゴールは必ずやってくる。