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「今、何してるの?」の意味

年末年始が忙しいのは幸せなことだ。誰かに飲みに誘ってもらえたり、誘う人がいたり。
年に一回しか会わない友人とも、久々のような、いつものような不思議な時間が流れる。

今年は3年ぶりくらいに会う友人や10年以上会っていなかった人に会う機会もあった。

「今、何してるの?」

「久しぶり!今何してるの?」
一度は聞かれたこと、または聞いたことがあるだろう。
その時何を答えるか。
ほぼ100パーセント仕事・職業を答える。

ただ、厳密には「何をしているか」を聞かれているのだから、仕事である必要はない。
仕事していないのなら、「ゲーム!」でも「投資!」でもいい。
私なら、仕事はしているが、現状人生のメインテーマである「走ってる!」で正解だ。
それでもそのあとには、「仕事は…」と繋がる。仕事とは社会的に、何しているかのかなりの部分を占めているのだ。

この手の質問に心苦しくなる若者はそこそこの数いるのではないか。
私自身、聞かれても別に嫌でもなく答えられるが、やはり仕事を答えなければいけない雰囲気に多少なり違和感は覚える。
食えていない芸人は「芸人」と答えてはいけないのか。そんなことはない。

そう分かっていても当人にはぐさっと刺さる言葉なのかもしれない。
だから人は「一応、芸人」「一応、ミュージシャン」と言ってみたりするのかもしれない。

飲み会の中で、その席には来ていなかったある後輩が、シンガーソングライターをしていると聞いた。
全然芽は出ていないらしい。
その場では「そうなんやー」という軽い流れで聞いていたが、帰ってから気になり、youtubeで検索してみた。

そこには確かに見覚えのある顔の人物が必死に歌っている動画や、ライブの映像があった。
投稿されている数はそこそこあるが、再生回数は100回未満のものがほとんど。
MVらしきものの完成度はなかなかに高いように思えたが、やはりミュージシャンとして認知されるにはかなり苦しいのかもしれない。
誰でも発信できる世の中だ、目指している人なんて山ほどいる。

ただ、今の私には十分刺さった。
彼は「今何してるの?」に対して、何と答えるのだろう。
「一応、…」なんて必要はない。ギター弾いて歌っている。
それだけで十分だろう。


「何になりたい?」

かつてはこう聞かれていたはずだ。
いつから「今何してるの?」しか聞かなくなったんだろう。

最近テレビでもよく見かける若新雄純さんの言葉が思い出される。

「何になりたいか。若新雄純になりたいって答える」

人によっては青臭いと思うかもしれないが、これは私自身の実感にも近い。
結局、何かの職業を目指しても、何かの目標があっても、最後は自分がどうなりたいか、どんな自分でいたいかに尽きる。
職業は手段。それが自分ではない。

「今、何してる?」
もし将来の自分に問いかけられるとしたら、
それは「今、どんな自分?」という意味だ。
今誰かから問いかけられたとしたら、
「今、どんな自分?」と自身に問うことにしよう。



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