【この頼りない背中からはいつか翼が生えて綺麗な夜空へ連れてってあげるから】③
季節は冬になり、周りは受験の追い込みに入り、センター試験前だった。
僕はというと、専門学校に合格したあと、なまりきってしまっていた。
タケと自転車通学していたが、僕の自転車が盗まれてしまったため、元々原チャリ通学だったので、仕方なく原チャリで行くことにした。
授業に出るのが面倒になってしまい、親には変に思われたくないから、いつも出る時間には出発していた。
僕の地元は温泉街なので、その足で温泉へ行き、朝風呂に入ってから、昼くらいに学校へ行くという、受験生のみんなには言えない生活をしていた。
それが祟ったのか、苦手な古文の赤点を取ってしまい、再試をクリアしないと卒業できないとこまで来ていた。
今だから思うが、ちゃんと勉強しておけばよかった。
でも、再試は無事に合格できた。
だが、未だに古文は僕の人生に必要になってないのは胸の中に秘めておこう。
センター試験でみんなハラハラしていた、1日目の夜、急に知らないアドレスからメールが来た。
本当に誰だかわからず、僕はどなたですか?と返信した。
『えっ?酷いー!私だよ。ちょっとドジっ子の…』
と返信が来た。
ん?もしかして、、
まさかのウユちゃんだった。
僕は人の女には手を出したくなかったから、ピアノ室の一件以来、連絡先もすぐに消去し、僕からはメール送れないし、ウユちゃんからもメール来ることはなく、3ヶ月以上経っていた為、僕の記憶からほぼいなくなっていたので、全然わからなかった。
でも、メールの送り方でピンッと来た。
どうしたの?と返信。
『今日、センター試験だったけど、数学が心配で…』
彼氏に慰めてもらえばいいのに
と素っ気ない返信をした。
『アズマ君もセンター試験だし、もうほとんど連絡してないの。そしたら、メールしてみようかなぁって思って。』
ウユちゃんも不安なんだろうなぁと感じ、それからはごく自然にメールしている自分がいた。
心配だった数学の試験もうまく行き、ウユちゃんは大学に合格した。
僕は専門学校へ進学し、お互い別々の県に行くことになったが、僕のどなたですか?の一件からまたメールするようになり、地元を離れる前に公園に遊び行って、お互い頑張ろうねと話した。
そして、僕は高校を卒業した。