ゲリラ
突然 の 強い雨 で すべて うち 落とされた 。
長い上向き睫毛から、ゆるく巻いてまとめた髪。丹念に積み上げた地味なモノまで。
うなじに貼りつく髪は乱れるばかりで、もうとても美しいだなんて言えそうもない。
突然 の 強い雨 で 、 色々なもの が 台無し で。
こういう時に限って、普段持っているはずの折り畳み傘も手元にない。
なんだか、いつでもこんな感じだよな。
低い溜息まじりの声で溢す。眉間に皺が寄ることもなく、口をへの字に曲げるでもなく。小綺麗な顔のままで溢してみる。血の気のない唇は雨で濡れている。
そうだ、いつでもこんな感じだから。肝心な時に限って、私、いつだって役立たずだったから。そうやって呟いて納得させようとする。小さな不幸を騙して受け入れようと。
私、また今日もダメだった。
愛想笑いで誤魔化してしまった。
私、また今日もダメだった。
頑張ったはずのこと、
あの人にはどうしたって届かない。
私、また今日もダメだった。
指先で打ち込んでは消して、繰り返し。
私、また今日もダメだった。
どうして、また今日もダメだったの。
ひとりっきりで冷たい道を歩く。
雨で重くなった身体も荷物も重くて仕方ない。
沈んだ気持ちで同じ道を辿る。
一歩踏み出す度、恐ろしい考えが浮かんでゾッとしてしまう。
遠くで、サイレンの鳴る音が聞こえた。
もういっそのこと全部
その勢いで街も私もあの人もこの世も
「どうしてそんな小さなこと繰り返すんだ」
あの人より誰より、
自分の低い声がずっと聞こえてくる
ゲリラ、もういっそのこと全部
そんなこと考えれば何故か一瞬だけラクニナレル
「命は大事よ」
「生きているのは幸せなこと」
チクリと鳩尾が痛い
ゲリラ、この痛みの意味はなんだろうか
ゲ リ ラ 、
簡単に誰はああだとか、こうだとか
そんなことばっかりでもううんざり
ゲリラ、お願い全部お前の所為とでも
もういっそのこと全部、全部
ゲリラ、
ゲリラ 、 ゲ リ ラ 、
ゲ リ ラ 。
けたたましく 雨音が 世界を うつ 音
ゲ
リ
ラ
グラグラ揺れる影。
グラグラ滲む視界。
遠くで、サイレンの鳴る音。
一歩踏み出す度、恐ろしい考えが浮かんでゾッとしてしまう。
(2018.07.26)
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