『映画 えんとつ町のプペル』は高級品の売り方と同じ。でも決定的な違いも?!

タレントで絵本作家で実業家の西野亮廣氏の『映画 えんとつ町のプペル』が好調のようですが。

実はこの売り方って、高級品のそれなんですよね。

この映画はプペル(いや、主役はルビッチだっけか)の物語ではありません。

では、誰の物語なのかと言いますとですね、それは作者の西野亮廣氏ご自身の物語なんですね。

これは、例えば高級ブランドのシャネルが女性のスーツを売る時に、ココシャネルの物語や生き方、思想や哲学を含めて売っているのと同じです。

ちなみに物語を英語で言うと「ストーリー」ですが、この「ストーリー」と「ヒストリー(歴史)」の語源は同じ(ギリシャ語ἱστορία)だそうです。

(参考『言葉のつながり 執筆者:田中千鶴香(実務翻訳者)

あと、historyは「His story」から来ているというのは間違いらしい)

『映画 えんとつ町のプペル』を観に行くお客さんの中には、一回ではなく複数回行かれているお客さんがおられますが、それは西野氏のオンラインサロンのお客さんです。

何故同じ映画を複数回観に行くのかと言えば、まさにそれこそが西野氏のカリスマ性……

……も、あるとは思うのですが、西野氏と一緒に映画を観るとか、あるいは副音声を入れたりその副音声の内容を変えたりなど、様々なイベントを絡めてお客さんを呼ぼうとしており、自分で商売をやっている人はそういうところも勉強になるらしいです。

これも「西野氏自身が商品になっている」ところと言えるでしょう。

しかし、高級品とは決定的に違うところもあります。

それはお客さんを選ばない、というところですね。

かつて、シャネルの大ファンを公言していたとある大女優が、シャネルの本店を出入り禁止になったらしいという噂が流れたことがありました。

その理由は、ご自身の度重なる金銭がらみのトラブルとも、シャネル本店を訪れた時の傍若無人な態度であるとも、言われていましたが。

真偽のほどはさておき、これを嘘だろうと言う人もたくさんいました。

「シャネルだって商売でやっているのだから、たくさん商品を買っているその女優を出入り禁止にしたら、その分売り上げが落ちるではないか(だからそんなことするわけない)」というのがその理由です。

しかし、高級品の場合、この理由は当てはまらない可能性が高いです。

「長い目で見ると、イメージの悪い客は商品イメージが悪くなることに繋がるから、そのままにしておくとむしろ損である(だから出入り禁止)」

むしろこの考えの方が強いんですよね。

シャネルのスーツの場合、ココ・シャネルの「男性から見た女性の美しさの呪縛からの解放」を成し遂げた歴史的な偉業がこのスーツの中に含まれており、その価値のわかる高い教養を持つ人物が本当の顧客対象となります。

高い教養を持つ人物は、様々なトラブルを抱えたり、店内で傍若無人に振舞うような人物ではありませんから、そんな教養のないお客さんはシャネルのお客様にふさわしくない、という判断をされたと考えられるわけです。

(例えばエルメスは顧客の中にケリーバッグで有名な、元大女優でモナコ公妃のグレース・ケリーがいました)

そこで西野氏の映画……というより、オンラインサロンのお客さんについてですが。

SNSや掲示板等で、以下のような内容のコメントをちょこちょこ見かけました。

「悪人とまではいかないけど、商売っ気が強くて皆に避けられているような知人が、映画をきっかけに西野さんのオンラインサロンに入っている。やっぱり西野さんって怪しい人なんだ」

ちょっと前に、noteで炎上したオンラインサロンメンバーの人の記事を拝読しましたが、この場合も本人の暴走というか、何とか今の状況を変えたいという気持ちのあまり無理をしたのが原因でないかと(西野氏がさせたというわけではなく)。

つまり、こういう人の入会を断らなければ、西野氏や既存のメンバー様のイメージまで悪くなるわけですが、オンラインサロンで月額1000円(だっけ?)というビジネスの性質上、それはできないんですよね。

これが高級品の、例えば一着100万円のシャネルのスーツと違うところです。

それにオンラインサロンで入会お断りをやってしまうと、また「お高く止まっている」とか言われて叩かれてしまいますから、そういう理由でもできないだろうと思います。

西野氏ご自身は、叩かれている理由を「皆が持つ偏見とか、知らないものを宗教扱いして忌避する性質」だと挙げておりましたが。

それ以外に、こういう理由もあるのではないかと、個人的には思いました。



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