適性だけでは足りない?キャリア形成に必要な視点
これまでの記事で、地方自治体の職場で1on1を実践している話を書いてきました。ちょうど先週、月1回の1on1があり、その時にメンバーが選んだテーマである、役所内でのキャリアをについて今日は書きたいと思います。
「適性」に悩む背景
1on1でキャリアをテーマに話したメンバーが共通していたのは、「自分の適性はなんなのか」ということ。キャリアを考える上で、「適性」を考えるのは大切なことです。就職活動でも考えますよね。会社から求められることと、自分のスキルや思考の、適性。自分も、就職や転職の時に、希望する組織や仕事に対して、自分に適性があるかを考えていたと思います。
自分の適性についてはみんな悩むと思うのですが、僕の職場である公務員という仕事の環境について考えてみると、確かに、適性を実感しにくい要因については、自己理解と仕事理解に分けるとこんな要因があるかもしれないと思いました。
仕事理解:定型的な仕事が多く、手順も決まっているので、あらためて仕事やプロジェクトの目的を振り返ったり、主体的に仕事を組み立てたりする機会が少ない。
自己理解:自ら設定する目標も少なく、専門的なスキルがなくてもこなせる仕事が多いため、ゴールやギャップを感じにくい。
ということで、まず「自分の適性がわからない」というときは、主体的に仕事を組み立てたり、自分なりのゴールを設定したり、より効率的・効果的に業務を達成するために求められるノウハウやスキルを認識しやすくするような働きかけが、僕らマネージャーには求められるのだと思いました。
適性だけでキャリアを考えることに対する違和感
でも、適性を中心に据えてキャリアを考えるだけでいいのかという違和感が、1on1をしてからずっとありました。なぜかというと、自分としては、キャリアは主体的に選んでいくものだという想いがあるからです。
適性で考えるということは、自分の外にある何らかの基準に、自分が合うかどうかを考えることになります。確かに、まだ社会人経験がなかったり、自分の仕事のスタイルがまだないという方は、外の基準に自分を合わせていくことで、その基準が目標となってスキルや経験を積むことはできると思います。
しかし、自分を軸にキャリアを考えるということになりにくく、スキルや経験は蓄積されていっても、いつまでも他人の軸で生きることになります。ここに、僕が適性だけでキャリアを考えることに対する違和感があります。
適性以外にキャリアを考える際に重要な要素
適性以外にも、キャリアを考える際に重要な要素はいくつかあります。例えば以下のようなものです。
興味や情熱:適性があるだけでなく、興味や情熱を持てる分野に進むことがキャリアの満足度を高める要因になる。
学びと成長の意欲:特定のスキルや適性にこだわるのではなく、新しいことを学ぶ姿勢が長期的なキャリアに役立つ。
組織や社会への貢献度:個人の適性だけでなく、どれだけ組織や社会に貢献できるかという観点でキャリアを考えることの重要性。
特に個人的には、コーチングを学んでいる関係もあって、メンバーの「興味や情熱」を仕事にどう結び付けるかという点は掘り下げて考えたいなと思います。
「学びと成長の意欲」というのも、仮に特定の分野に興味関心がなかったり、仕事の希望が叶わなかったりしても、ベースにこういう意欲があれば、どんな仕事にも主体的に関わって、キャリアを形成していくことはできると思います。
「組織や社会への貢献度」については、特に公務員になる人はこのモチベーションが強い人が多いと思うので、キャリアを考える要素としては実感があります。
ということで、今日は1on1でテーマによく上がる、自分の適性がわからないということについて、本当に適性だけでキャリアを考えていいの?という話を書いていました。
次回は、このなかの「組織や社会への貢献度」について書いてみたいと思います。
参考文献