読書記録
■絶叫/葉真中顕
人間の転落人生描いた話って私結構好きなんです。
この話は典型的な人生転落パターンのお話だったけど大好物。
主人公は子供の頃から両親に愛されず育ち、大人になってからも何かを得ては何かを失うの繰り返し。
幸せな時間はほんの一時で、ほとんどが重く辛い日々。
貧困や生活保護など今の社会問題としても十分有り得そうな話で読んでいて頭が痛くなる思いがしました。
今後、今の日本だとこんな人達が増えていくのかもしれないなと想像して少し怖くなりました。
■路上のX/桐野夏生
ノンフィクションと言われても分からないくらいのリアルな描写でした。
女子高生の少女たちは、力のない弱者として周りから見られている。
行き場のない少女たちは知ってか知らずか自ら危険な場所に足を踏み入れています。
しかし、それが危険であることはきっと少女たちも分かっているのでしょう。
それでも「生きていくため」とその場所へ向かっているのだと思います。
親に見捨てられ、高校生の少女が大人の助けもなしに生きていくことの過酷さをこれでもかと見せつけられ、胸が苦しくなりました。
そして、今自分が生きているこの場所がどれほどに幸せなのか考えさせられました。
ラストの終わり方がちょっと…わからない部分もあってここが残念でした。
作中に出てくる3人の少女たちがその後どうなったのか…想像するしかないですが、幸せになってほしいと強く願いました。
■ゴーストハント6 海からくるもの/小野不由美
今作はまさかのナル不在!?(でも美味しいとこはもってくスタイル(笑))
舞台となる家で起こる不自然な死の連鎖にナル以外のメンバーたちが挑みます。
が…とにかく登場人物が多くて誰が誰やらわかりません。
それに加えて、お家の代替わりの度に事件が起こるということで世代を遡っての事件の捜査にもう誰が誰やら…。
今回は調査内容のほうが中心的だったから何かホラーと言うかミステリー小説読んでるような気分でした。
でも、最後の最後は…うん、怖い。
小野さんのさすがの表現力でした。
■刑事の約束/薬丸 岳
夏目信人シリーズの第3弾です。
今のところこれが最終巻?になってるみたいです。
取り上げてる題材は重たいですが、文章の端々から夏目の人柄や優しさがにじみ出てきて読んでて温かい気持ちになれる作品でした。
薬丸さんの作品って犯人の気持ちに寄り添う話が多く、「犯人逮捕しました、ハイ終わり」とならないで、犯人側の心理も書いてくれるところが個人的に好きです。
夏目の家族がどうなるのかな?っていう想いもあったのですが、そこもちゃんと拾い上げてくれていたのもよかった。
短編集ということで読み飽きることもなく最後まで一気に読み終わりました。
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