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記事一覧

心の中でバネを巻く

心の中でバネを巻く

私を馬鹿にしてもいい
私を侮ってもいい
私の価値は私が知っている
私の魂は私が磨いている
誰にも口出しさせない

誰もが人を貶めようとする
誰もが人を虚仮にしようとする

そんなに人のことが気になるの?
そんなに人のことが気に障るの?

どんなに人を蹴落としても
自分が浮かび上がることはない

そんな賽の河原の石積みなんてしない

私は私
君は君
人は人

ただそれだけ

いいとか悪いとかではなく

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10月の雨

10月の雨

残暑を洗い流す雨
窓の外はぼんやりとしている
薄暗い朝

海は空と呼応し
もう秋だよと叫ぶ
灰色の海はうねる

時が過ぎ去る寂寥と
暑さが去る安堵

混ぜこぜになった気持ちは
憂鬱と安寧が裏表

雨が降る
季節のターン

新月の夜

新月の夜

月が生まれ変わる夜
無月の夜空は静かだ
秋の夜
月も見えずひとり
それでも
次の夜には
一筋の月が見える
そして
月は
夜ごとに満ちていく

満ちて
欠けて
消えて
現れて

繰り返し
繰り返し

神秘の歌は
終わらない

新月の夜は静謐
新月の夜の寂寥

揺らいで
揺られて

巻貝の中に閉じこもる
潮の満ち引きに囚われる

飛び跳ねて飛び跳ねて

飛び跳ねて飛び跳ねて

目が痛くなるブルー
朝から晴れ渡った空
現在の立ち位置の夏は
恐ろしく暑い

セミの求愛は激しく
元気に鳴いている

目が痛くなるブルー
きらきら輝く海
現在の立ち位置の夏は
生命力がMAX

夏の日差しは激しく
目が痛くなるほど

それでも今日は
風が吹いている
神さまの息吹かと感じるほど
慈愛を感じる

吹き抜ける風は
私の心を鼓舞する

萎れかけた気持ちが
奮い立つ

どこかに慰撫は潜んでい

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もっと混じってぐだぐだに

もっと混じってぐだぐだに

くっきりと分かれているものなんて
この世界にはない

けれど

人間はあまりにも
愚かで
お馬鹿さんだから

その理を
理解することができない

だから

この世の端っこだけを削り取って
そのちょびっとのかたまりを
シャーレに入れて

分類して
ラベリングして
ああでもない
こうでもない
としたり顔で
わかったふりをして
くっきりと分けてしまう

純粋な鉱物なんてないし
光り輝く永遠なる宝石なんて

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コーヒー&ハニー

コーヒー&ハニー

今日も朝から蝉が鳴く
今日も元気に蝉が鳴く

窓を開ければ風が吹き抜ける
灼熱の夏の一瞬のオアシス

今日は風がある朝
少しでも息がつけるのはラッキーだ

ギンガムチェックのシャツ
風がそよぐスカート

気分が上がる服を着て
憂鬱な朝を吹き飛ばそう

氷をカラカラ
コーヒー&ハニー
甘いアイスコーヒー

ブルーのペディキュア
白のサンダル

さあ
出かけよう

かささぎの休息

かささぎの休息

涙雨であふれる天の川
かささぎたちが羽を広げる
一夜の恋人の逢瀬を叶えるため

恋人たちの歓喜と悲嘆
かささぎたちは
毎年そっと立ち会う
見て見ぬふりはお約束

かささぎたちは
天の川をたゆたいながら
今宵の天気を占います

今年は
雨で揺らぐことはなさそう

かささぎたちは
ほっとする

恋人たちは
天の川を2人で駆けることができそうだ

2人きりの逢瀬がどれほど貴重か
かささぎたちは知っている

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君の大きな瞳

君の大きな瞳

雨が降る降る
しとしと降る降る

すべてが湿気で覆われる
すべてが雨粒で覆われる

僕たちは大きな水槽の中で
泳ぐ金魚

窓から見える世界は
水の中で揺らいでいる

君の茶色い大きな瞳に
映るドット

君の鼻の上に散らばる
愛らしいドット

そっと君の頬に触れる

君の茶色い大きな瞳に
映る僕

その僕は

本当の僕より
美しく見えた

驚いて

君の茶色い大きな瞳を
覗きこむ

その中には

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それは手放した悲しみ

それは手放した悲しみ

雨が降る
夏が来る先駆け
グレーの空
窓にはドットとストライプ

水滴の向こう側に見えるのは
水槽で揺らぐ世界

バスに揺られて
外を見れば
過去の痛みを思い出す

それは手放した悲しみのはずなのに
それは忘れていた悲しみのはずなのに

ぼんやりと浮かび上がるのは
過去の亡霊?
それとも
単なる感傷?

揺らぐ
揺られる

ふわふわ

ふわふわ

お気に入りのワンピース
ふわふわでひらひら

この空と同じ
淡いスカイブルー

踊れば
裾がひらめく

光はきらきら

クロシェハットには黒いリボン

海はゆらゆら

プリズムが反射する

ティンパニが跳ねる

初夏のソーダは
初恋の味

くるくる回るストローは
わくわくの証

拾った白い巻き貝は
少女趣味の宝箱

下手くそなウィンクは
きゅんとくるモード

万年眠い

万年眠い

いつも
頭に霞がかかる

長く
深く
眠ることができなくなって

どれくらい?

老化現象

眠るにも
気力と体力がいる

できないことが
増えていく

プライドだけが
高くなる

つまらない
つまらない

なんか
いつも

すっきりしない

でも

不機嫌や不満を
顔に貼り付けていたくはない

だって

若かりし頃

そんな大人がいやだったもの

ネンコウジョレツ?
ネンチョウシャヲウヤマエ?

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引き金を引く

引き金を引く

いらいらする
頭にくる

湧き上がるフラストレーション
立ち上がるイリテーション

ぶつける者を探す
ぶつける物を探す

自分より弱く
自分に害を及ぼさない

羊を
兎を

物色する

壁に叩きつける快楽
足で踏みにじる快楽

自分の方が上
自分の力の誇示

一瞬

ボルテージが上がり

一瞬

気持ちよさが巡る

けれど

それは

すぐになくなってしまう

暴力のジャンキー
権力のジャンキー

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signature

signature

私の体は私のもの
私の心は私のもの

それなのに

消費されている気がする
値踏みされている気がする

ラベルを貼られ
競売にかけられ

売れ残り

セール品として並べられたが

それでも

売れ残った

不要物ではあるが
何か少しでも役に立たないか?

このコスパとタイパの世界では
要らない

私はものではないはずなのに

名前すら呼ばれない

…名前はある

だが

それを形にすることはない

金魚鉢とウルフムーン

金魚鉢とウルフムーン

大勢の中で感じる孤独
心が引き裂かれそうになった

思春期

トゲトゲで
未熟で
何者でもなく

限りない可能性と
果てのない焦燥感を

抱いていたあの頃

金魚鉢が全てで

ひらめく鮮やかな金魚たち
の中で

黒い鮒だったから
隅にいたの

それなのに

金魚たちは許してくれなかった

つつき
追いかけ
鱗を剥ぎ取った

見える血
見えない血

たくさん流した

ゆらめく水

底から眺めた
金魚

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