生活者のための生き方の道を探して~ライフストレスケアの目指す方向~
現代社会で流布している心に関する理論や技法は、どうしても治療的なものや問題解決型のものが多いように感じる。
私たちが本当に求めてやまないのは生きていく指針となるような心の扱い方や暮らし方ではないだろうか。
たとえば現代の治療的な医療に対して、かつての「養生」が対置されるように、心理療法やストレスケアも、いかに生きるかという生活技術や人間学へと発展すべきだと指摘し続けてきた。
子ども時代から家庭の中で、学校教育の中で、あるいは企業内教育の中で、心理学やストレス学は「生きる道」として再構成して伝えられるべきではないだろうか。
そのためには、個体・個人としての心理やストレスではなくて、自分を含む環境を対象にしたエコロジカルな視点が不可欠になると考えている。
そして、原動力となる「主体性」を重視するのは当然として、その主体性が働きかけ、制御しようとする対象は「環境システム」だと思う。
それがかつての「道」だろう。
主体性を発揮して働きかけることで、道である情報システムは環境を変化させていく。そのベクトルは多岐にわたり、物理世界、相手、集団、そして自分自身に及ぶ。
つまり、実践的な主体性は情報システム(道)とセットで機能している。
単純な例でいえば、食べ物をとって栄養を身体に取り込むのだが、途中からは身体のシステムにお任せであり、システムが求めているものを食べることで栄養の補充がなされる。
身体が受け入れないものを食べると、中毒をおこしたり、栄養にならない。
外部世界でもそうだ。物理法則であったり、社会法則であったり、その「道」にそって主体性を働かせていくからこそ、よりよい生活が維持できる。
ここで研究を要するのは、この情報システムの明確化であり、LIFEを構成している生命、生活、人生というそれぞれの階層における「道」(情報システム)を発見して主体性で制御していくレッスンを行なえるような支援体制が必要だ。
人間はどのように生きればよいか。私はどのように生きるか。
この単純な問いは実は次世代の新しい人間学を拓くための問いである。
現代の専門家に問いたい。人間はどのように生きればよいと考えておられるのか。あなたは、どのように生きようとしているのか。
一見すると「哲学」の問いのように思われるかもしれないが、科学知識をベースにした、生活者のための問いではないだろうか。
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