15. 無血革命
無血革命
かつて翼をはやしていたが
その羽根をむしられて生まれてきたもの
はからいと摂理のおよばぬところに
転位して行く世界
蛹からでるとき
痛くはないか
脱皮するとき
腹から裂ける皮に
苦しくはないか
羽化したばかりの蝉は
うすあおい
柔らかな
光を発している
そのうすぎぬを
まとう心地して
夕映えが海に映りこむように
心映えに映りこみ
照らされて 変革が起きる
美しいままで生きてゆけるという
確信をもつ
羽化という革命は無血でおこなわれる