みちのく いとしい仏たち@東京ステーションギャラリー
仏像についての知識は高校の日本史の授業以降、更新されていない私ですが
展示会のチラシのゆる~い像が気になったので、会期終了前に駆け込みで見てきました。
青森・岩手・秋田の北東北の民間仏130点が東京ステーションギャラリーにアベンジャーズの如く大集結。
第一印象としては「見知った顔が、いない」。
奈良や京都などの寺院や日本史の授業で見てきたような仏像たちと、作画が違くない?といった感じ。
でも、そこはやはりホトケ。ただ、いなたくてカワイイだけではない。
東大寺の廬舎那仏像や大恩寺釈迦如来像と向き合ったときのように静かで厳かな気持ちになるわけではない。
広い空の下に佇む鎌倉大仏のような、どっしりとした大らかさとも違う。
より、個人的な祈りが切実に迫ってくるような感じ。
天災・飢饉・疫病など、今よりもままならないことの多かった時代で
これらの民間仏たちが人々のよすがとなっていたのだろう。
あと、展示キャプションに何度も「稚拙」というワードが出てくるが
図録の写真と比べると実物にはやはり独特のオーラがある。
六観音立像、馬頭観音も十一面観音も全く原型とはかけ離れているのだけれど、引きで見ると不思議な迫力がある。
右衛門四良の地蔵菩薩立像の顔かたちを眺めて、村の人々がこの像になにを語り掛けてきたのか想像しながら、愛おしいような、切ないような気持ちになる。
子安観音座像の母子の安らかな表情も、この像が作られた背景を想像すると
胸にこみあげてくるものがある。
柔らかく優しい表情の仏像、コミカルで思わず笑ってしまうような仏像たちの背負ってきたものを想像しながら眺めるのは楽しく、豊かな時間だった。
ちなみに、ミュージアム入り口で「余っているからどうぞ」と
素敵なご婦人からチケットを1枚譲っていただいた。
吉祥天の生まれ変わりかしら・・・。
ご婦人が私にとって今日一番のホトケさまでした。
ありがとうございました。
↑ミュージアムショップで購入した本。漫画+仏像の解説なので分かりやすくてよかった。展覧会図録と一緒に読むと、今回展示されていたみちのくの仏像たちが、一般的な仏像と違うか分かって面白いです。