サイユウキ「再」第4話
悟底から放たれた殺気が寺内を埋める頃
悟空は
「三蔵?」
と呼んだ。
「どうしました?」
と三蔵が返事をすると悟空は話出した。
「悟底は、斉天大聖である俺と、闘神の娘の
縁(エニシ)との間に出来た子なのだ」
三蔵は
「そのようですね。まさかそなたが」
悟空は
「そのまさかだ。あの日俺たちが天竺へ着いた時
釈迦が俺の罪を消してくれただろ?その時、罪を
消す代わりとして斉天大聖の気を封印することを
条件に俺は懺悔の丘へ向かったのだ。その道中に
綺麗な花畑がある。そこで出会ったのが縁だった
初めて見た。あんな美しい人を・・・」
三蔵は
「そうでしたか」
と何処か嬉しそうに言った。
悟空は話を続けた。
「俺は、その時決めたんだ。罪を消したら
この子と残りの人生を過ごそうと」
「俺が懺悔の丘へ向かおうとすると
縁が俺に話かけてきたんだ」
「懺悔の丘へいくのですか?」
「あぁ、今までの罪を消しにいくんだ」
「そうですか」
縁は続けて話した。
「どんな罪を今まで犯したのかは存じませんが
あなた様は代償として1つ何かを失わないといけません。それでもいいのですか?」
と言う言葉に悟空は
「かまわない。俺がこれから捨てるものがあったから今まで俺は罪を犯したのだ」
「だが、その分もっと大切な物を俺は手に入れた」
「だから後悔はない。罪を精算しこれからは誰かの為に生きていこうと思う」
「そうですか。ならきっと出来る事でしょう」
「この花を一緒に持っていけばいいわ」
と言って縁は悟空に沢山の花を渡した。
それを受け取った悟空は
「こんなに?でもありがとう」
「俺の宝物にするよ。だから俺の罪が消えたら
もう一度話をしてくれないか?」
と言うと縁は
「はい。もちろんです」
と言って2人は再び会う約束をした。
悟空は懺悔の丘へ向かった。
懺悔の丘は天地が逆となっており
釈迦が認めれば天地が元にもどり、その者の
今までの罪を消してくれる場所だ。
だが、その罪が消えると同時にその者の1番
大切なものも消えてしまう。
でも、皆がそうなるかと言うとそうではなく
もし天地が元に戻らなかった場合、
その者の命を無くし、魂は地獄へ落ちる。
悟空は、釈迦からの提案で
過去の罪を精算するために
自分の命と斉天大聖の力を賭けてその丘へ
向かったのだ。
扉を開きその扉をくぐるとそこは、天地が逆と
なっおり方向感覚が奪われる程不思議な場所だった。すると、
「斉天大聖孫悟空、これよりあなたの罪と
善を秤にかけます。もしあなたの罪より善のほうが重ければ天地は元に戻り、罪は精算されるでしょう」
「その瞬間、あなたの大事なものも消滅します」
「よろしいですね?」
と【罪のふるい】が始まったのだ。
悟空は
「かまわん」
「もし天地が元に戻らない場合
あなたはここで生涯を終えます」
「よろしいですね?」
悟空は
「かまわん」
と言ってその場に座り込んだ。
そう、縁から貰った花束を足にのせて。
すると天地は元に戻り見事悟空の罪は消えた。
「罪は精算されました。その代わりにあなたの
大切なものもこの丘を出た瞬間に消える事でしょう」
「これを生まれ変わり思うのか、戒めと思うのか?それはあなたがこれから生涯をかけて考えていくことになるでしょう」
すると再び扉が現れ悟空は扉を開けて懺悔の丘を
出た。
「罪は消えましたか?」
とそこには縁がいた。
悟空は
「心が軽くなった気がする」
縁は
「では、戒めではなく生まれ変わりですね」
悟空は
「生まれ変わりか・・」
「なら、俺のこれからの人生、
お前と共に歩んでいけないか?」
「この花と・・・あれ?」
と手に持っていた花を見ると、その花は枯れて
散っていた。
縁は
「あなたは斉天大聖よりこの花を思ってくれたのですね?」
「これはあなたが斉天大聖としての役目がまだ
あるって事でしょう」
「だからその役目を果たす手伝いを私が引き受けましょう」
と笑顔で言った。
悟空は
「でも、、花が・・」
と言うと縁は
「大丈夫。花はこれから沢山咲きますから」
「きっと、両手じゃ抱えきれない程の花が」
こうして悟空は斉天大聖の力を失わず縁と
生涯を歩む事になったのだった。
それから悟空と縁は幸せな時間を過ごしていた。
だけど、それをよく思わない者もいたのだ。
縁の家族だ。
縁は闘神の家系である為、言い伝えにより
同じ一族の者としか結ばれてはならないと言う
決まりがあったのだ。
ある日、縁の父である現闘神の香(こう)は
縁を悟空から引き離そうと悟空を屋敷へ呼んだ
「悟空、罪が精算されたようだな」
「斉天大聖を捨ててまで罪を消したかったか?」
そう、縁以外の者は、悟空が斉天大聖の力を
失ってない事は知らなかったのだ。
嘘をつくとまた罪を犯してしまう。
だが、縁とは一緒にいれる。
正直に話すと縁とは離れてしまう。
でも悟空に迷いは無かった。
すると、扉が開き
「お父様、私、縁は悟空様と共に歩んでいきます」
「斉天大聖は罪と共に消え、今は新しい孫悟空として花を咲かそうとしております」
と縁が言った。
悟空は何も言わなかった。
ただ、縁が頭をさげて話す姿を隣で見ていた。
すると闘神の香は
「わかった。縁、顔あげよ」
「お前は、私の可愛い娘だ。だから本来なら同じ一族と婚姻し子を産む。俺たち一族は今まで
ずっとそうしてきた。だが運命と言うものは逆らってはならぬ。その上、こうなる事が決まっていたかの様に弟の陣(ジン)がいる。陣が闘神を継ぐことになるだろう?」
「だから縁、悟空との婚姻認めよう」
縁は
「お父様・・・」
すると闘神の香は
「だが表向きではやはり闘神としての立場もある。だから表向きでは追放と言う形をとる。
よいか?天竺ではなく下界に降りて生活をする事が条件だ」
「一族、いやこの天竺の皆の賛否はわかれるだろう?よく思わない者の方が多いかもしれん」
「それでも共に歩む覚悟はあるか?縁!?」
と聞くと縁は迷う事なく
「はい」
と答えた。
それを聞いた闘神は
「そして、悟空、お前は縁を生涯守り続けるのだ!たとえこの先どんな試練があっても」
その言葉にはとても力がこもっていた。
悟空はその場にひざまづき
「御意!この命に変えて守りぬく事、
ここに誓います。」
と言った。
すると闘神は悟空に
「これが、俺が縁に出す条件だ」
「そして、悟空、お前にも一つ条件がある」
悟空は
「何なりと」
闘神は言った。
「絶対に子は作るな」
縁は
「お父様、それは・・あまりにも」
悟空は言った。
「わかりました」
その返答に縁は
「悟空様?」
悟空は
「これも運命。今は縁、お前といれればそれだけで幸せだ」
こうして2人は天竺を出て下界で結ばれたのだ。
闘神一族、天竺ではやはり賛否はわかれた。
運命とは、時には心強く、時には頼りない
そして悪戯好きだ。
2人の間に子が産まれたのだ。
悟底だ。
2人は闘神との禁事を破ってしまったのだ。
その日は天の星が反転すると言う現象があった。
この現象は、かつて牛魔王が誕生した日にも
起こったと言う。
そう、近い未来に災いが起こると言う事の表しだ。
2人は禁事を破ってしまった事を隠そうとしたが
この現象に天界は大騒ぎとなり、それは魔界でも同じように騒ぎになった。
闘神は神。
神を欺く事はできない。
2人の前に突如、闘神の香が現れた。
「お前、禁事を破ったな」
縁は産まれたての赤子を抱いて
「お父様、、申し訳ございません」
と言おうとすると悟空は
「縁、悟底を連れてそのまま逃げろ」
「この場は俺がどうにかする」
と縁に言った。
縁は、悟底を庇うように抱きしめていた。
悟空は
「なぜ?あの時子を産むなと言った」
「俺は確かに禁事を破った。だからその責任は
この命で取る。でも子には罪はない」
「そして子には母親は必要だ!だから2人は見逃してやってくれ」
と言うと闘神は
「それは出来ない」
「俺が何故、お前にあぁ言ったか教えてやろう」
「斉天大聖と闘神の子は悪魔の子になり、災いを
もたらす」
「我が一族に古くから伝わる話だ。だが、斉天大聖とはとても珍しく会った事もない」
「俺も長い時間闘いの神として色々な場所へ行ったが斉天大聖に出会ったのは唯一お前だけだ」
「その話では、その昔、斉天大聖と闘神の血が混ざった子が産まれた日に天の星が反転した」
「それから数年後、そのまだ10歳にもならぬ子に天竺、いや下界とも滅ぼされかけたと言う」
「まだ10歳の子だった為、釈迦が自身を犠牲にしてその悪魔を道連れにして極楽浄土へ帰った」
その話を聞いた悟空は
「その話が本当なら、悟底は?」
闘神は
「斉天闘神大聖、悪魔の子だ」
「俺は、あの時お前が斉天大聖が消えてないと
気づいていたにもかかわらず、縁との婚姻を認めた。だからその責任は俺が取らないといけない」
「悟空、わからるな?」
と言って縁の方へ向かった。
闘神は迷いもなく悟底を刀で斬ろうとした。
「はぁ、はぁー ばぶぅ」
と縁に抱かれた悟底は笑っていたのだ。
その笑顔は天使のようだった。
闘神は止まりこう言った。
「なんと無垢な笑顔。俺にこの天使の様な子は
斬れない」
「お父様」
と縁が言った。
すると悟底はまた笑いだした。
闘神に指をさして
縁は
「悟底、あなたのお爺様ですよ」
と言って闘神に悟底を抱くよう言った。
闘神は
「このまま強く抱きしめれば容易く消せる命
だけどこの笑顔を見るととても愛おしく思う」
「この気持ちは縁や陣の時と同じ」
と言って天を見上げ
「運命よ、どうかこの子だけは悪戯に弄ばないでやっていただきたい」
と言った。
そして夜が終わった。
この先、皆が平和で過ごせる様に願いながら。
悟空と縁と闘神で悟底の未来を考えていた。
無邪気に笑う悟底。
だが、近い未来災いをもたらした時の事を
話合った。
結果3人の口から殺すと言う言葉は出なかった。
それから少しの歳月が過ぎた頃。
悟底にも変化が表れた。
口が少し避け、牙が生えてきた。
それからも、だんだんと遊んでいた遊具などを
壊すようになってきたのであった。
そんな時、
猪八戒と沙悟浄が悟空のところへ訪れた。
その時に猪八戒は歴史や迷信に詳しく
悟空からこうなった経緯を聞き、悟底の行動や
表情、そして気から現状を把握し悟空にこう言った。
「悟空のそれを使えばどうにかなるかもしれないな」
と額を指差して言った。
悟空は
「これか?」
「このヒタイアテは三蔵が俺を制御する為に
つけたものだ。どうしても取れないから」
と言うと八戒は
「恐らく、今なら取れるだろう」
「ほれ、やってみ」
悟空はヒタイアテに手を当て外した。
「おぉー外れたな」
と悟浄が言うと
悟空は
「何故だ!?どうしても取れなかったのに」
八戒は
「今のあんたは罪がないからだと思う」
「三蔵も本来ならあの天竺の時に外すつもり
だったんじゃないか?」
悟空は
「ったく、三蔵の野郎!遊びやがったな」
悟浄は
「八戒、とれたのは確かだが、それをどうするんだ?」
八戒は
「ちょっと貸して」
悟空は八戒に渡した。
悟空と悟浄は
「おい、いきなり何するんだ!??」
八戒は、そのヒタイアテを削りだしたのだ。
八戒は驚く2人に
「いいから、いいから」
と言ってヒタイアテを削りつづけた。
その削って落ちたヒタイアテの金の粉を
八戒は自分の腕に巻きつけていた布にそれを
振りかけてこう言った。
「印」
八戒が唱えるとその布に「印」と言う文字が
浮かび八戒は自分の指をかじり、指から出た血を
布に垂らした。
するとその「印」の文字が「縛」に変わり
やがて文字が消えた。
八戒は
「できた、できた」
「もし、悟底が暴れたらこれを口に巻くんだ」
「おそらくこのヒタイアテには玄奘の気が含まれている。悟空、あんたが三蔵に縛られたように
悟底の気も縛る事ができる」
悟浄は
「さすが八戒!」
八戒は
「とは言え、純粋な玄奘の気ではないから
いつまでもつかはわからないけどな」
「念の為、このヒタイアテも悟底に付けておこう
それはそうと悟底は?」
悟空は縁を呼んだ。
「たった今、暴れ疲れて寝ましたよ」
3人はその寝顔を見に行った。
悟浄は
「これが本当に斉天闘神大聖(悪魔の子)か?」
八戒は窓の外を見て言った。
「顔に似合わず乱暴だ」
その先には山の木が倒れ、悟底の何倍も大きい
虎が倒れていた。
縁は
「狩の才能があるようで」
と言った。
八戒は寝ている隙に布を口に巻き付け
ヒタイアテを頭に通した。
「やはり大きいな、まぁとりあえずこのままに
しておこう」
と言ってヒタイアテを首にかけた。
その日から、悟底はむやみに壊す事はなくなった
そして、今闘いの最中でその布がとれてしまったことにより、抑えられていた力が解放された。
三蔵は
「そう言う事でしたか?話はわかりました」
「それはそうと斉天闘神大聖、書物では読んだ事はありますが、実際目にすると凄まじい力ですね」
悟空は
「ここまで、気が上がってるとはな」
「どうにか、あの布をもう一度巻く事ができればいいのだが」
三蔵は
「あの子は自我共、力にのまれてますね」
「もし、あの力が自分で制御できれば・・・
二蔵と共に再び天竺へ行ける事でしょう」
悟空は
「あの力をモノにする?」
「そんな事が出来るのか?」
三蔵は
「恐らくですが可能でしょう」
「悪魔の子といえ元は、そなたの斉天大聖と
縁の闘神、その力が強すぎるからのまれてしまうのですよ」
悟空は
「と、言う事は?」
三蔵は
「悟底自身がそれより上へいけばいい
そして両方の力を支配すればいいのです」
と言った。
すると悟底は悪魔かのようにむやみやたらに
周りのものに襲いかかった。
「危ないっ」
ブシャっ
「ぐはっ・・」
襲われそうになった僧侶をかばった悟空は
腹を刺されていた。
そして、三蔵にこう言った。
「俺と悟底の命はお前に託した」
「だから、俺がこのまま悟底を抑える」
「だから、だから・・・」
ブシャ ブシャ
「ぐわっ」
悟底は自分の父を自分の腕で突き刺さした。
悟空は
「やれぇー!この命、お前に賭ける」
と悟底を強く抱きしめながら言った。
「共鳴剥離」
ピーンっと糸が張る様な音が響いた。
悟底の首にある【金箍呪】が悟底の首を締め付けた。
「ああぁぁ」
首が締め付けられ息が出来ない状態にも関わらず
悟底は
「コ・・ロ・・ス」
と言うとさらに殺気が上がった。
それを見た三蔵はさらに金箍呪に気を送った。
ピーンっと長く、耳の奥に響く。
金箍呪はどんどん縮まり悟底の首を締め付ける
三蔵は
「悟空!?今です。さもないと悟底の首が切れますよ」
悟空は腹に刺さった悟底の腕を抜き布を拾い
悟底の口に巻いた。
するとさっきまでの事が無かったかのように
曇で覆われた空に光が入り外の庭の花も再び
咲戻り、鳥の鳴き声も聞こえた。
悟空は
「やったか・・」
と言ってその場に倒れた。
三蔵は
「どうやら、この賭けは勝ちのようですね」
「共存同意」
と唱え金箍呪を元の大きさにもどした。
散々暴れ回った悟底は?と言うと
意識を失って眠っているようだ。
さっきまで暴れてた悪魔の子とは思えない程
天使の様な寝顔で。
三蔵は
「一蔵」
親父は
「はいっ」
三蔵は
「カタはつきました。少し時間がかかりましたが
悟空と悟底に今すぐ治療をして充分に療養させなさい。私はそろそろ戻ります」
「あっ、この二蔵の身体もだいぶダメージきてますから少し休まして下さい」
親父は
「わかりました。爺様はもういかれるのですか?」
三蔵は
「はい。正直もう少しここにいて、悟空や悟浄、
八戒とも話したかった」
親父は
「なら、もう少し二蔵に身体を借りて」
と言うと
「それは出来ません。輪廻転生この術は自分の魂を人へ入れる事ができる。ですが、裏を返せば
人を乗っ取る事ができる。あくまで一時的に借りているだけ、借りたものは期日までに返す!!
当たり前のこと」
と言った。
泣く親父。
それを見て三蔵は
「一蔵、これからもお願いしますよ」
「そなたなら出来ますから!」
と声をかける。
親父は泣きながら頷いた。
三蔵はそんな親父の頭をなでて
「では、また!久しぶりに会えて良かった」
「この後の事は二蔵に話しておきます。だから
二蔵の意思のままやらせてやって下さい」
と言う言葉を残して、俺の身体は再び倒れた。
砂が肩まで溜まる頃、俺の目の前に三蔵が
現れた。
三蔵は
「お待たせしましたね」
「身体をお返しします」
俺は
「いいのか?まだ砂に埋まるまで時間がある」
「他に会いたい奴がいたんじゃないか?」
と言うと
「一蔵は、優しい子を持ちましたね」
「でも大丈夫です。これも運命」
「久しぶりに現世へ降りれただけでも楽しかったですから」
と言った三蔵は本当に楽しそうだった。
俺は
「そうか、なら俺を元に戻してくれ!」
「と、その前にこれから俺はどうすればいい?」
「今日、この目で見た事が今までは作り話かと思っていたが本当のようだな。だから俺は、あの悟空の野郎との賭けを続けようと思う」
それを聞いた三蔵は
「天竺へ行けるか?いけないか?」
そして少し間をあけて
「でも、今のままじゃ無理でしょうね」
俺は
「はぁ?どうしてだよ」
三蔵は
「まだまだ弱いですから」
「何が?俺は本当は強いんだぜ」
と言った。
三蔵はそれをあしらいこう言った。
「ですが、大丈夫ですよ!そなた達なら必ず
天竺へ辿りつけるでしょう」
と言って俺にこれからの事を話した。
「わかった」
全てを聞いた俺はそう言った。
三蔵は
「あと、こちらをそなたに」
と言って自分の両耳に付けてあったピアスを
俺に取り付けて言った。
「これも先ほど話した一部ですから、大切に」
と言った。
「それでは、二蔵、現世へ戻りなさい」
「そして西へ向かい天竺へ行くのです」
と言って輪廻転生を解いた。
俺の意識が元に戻る中、三蔵は最後にこう言った
「1度きりの人生。楽しみなさい
最後に笑ってられるように」
と言った玄奘三蔵法師は笑っていた。
俺はもう少し三蔵と話をしたかった。
【次回:再び】