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【週末投稿】つれづれ有用植物#115(マツブサ科マツブサ属:チョウセンゴミシ)

秋の雑木林で灌木などに巻きついた細いつるから、ブドウの房状をした赤いつややかな実がぶらさがっている植物を見かける事があるそうです。
チョウセンゴミシは、本州中北部から北海道・朝鮮半島、中国、ロシアに分布し、林床や林縁などに生育する落葉性の木質つる性植物です。

漢字では「朝鮮五味子」と書き、「五つの味(甘,辛,苦,塩,酸)がする実」という意味になります。日本に自生していましたが、存在が知られておらず、江戸時代の享保年間に朝鮮から種を輸入したため、外国からの帰化植物のような名前になっています。

完熟した実は咳どめや滋養強壮の効果があるとされており、古くから漢方薬の原料として使われてきました。長野県阿智村や喬木村では、健康増進のためにつるを風呂に入れ、入浴する伝統の民間療法があるそうです。日本薬局方にも生薬として収録されており、漢方薬「小青竜湯」(ショウセイリュウトウ)に含まれているそうです。

またアイヌの人たちは風邪薬として用いたという記述もあるそうですから、古くから人々に利用されてきたのですね。
実は湯に入れて、ゴミシ茶にして楽しむ事ができます。通販でも簡単に入手できますから、乾燥した実に熱湯をかけるか、一晩水出しにしてからレンチンすると、温かくて甘酸っぱい五味子茶が出来上がります。
ゴミシ茶にゼラチンを入れて固まらせて、冷やしてデザートにもいいですよ。

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葉は互生して、長枝には互いに離れてつき、短枝にはまとまってつきます。

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雌雄異株と言われていますが、一つの株に雄花・雌花が付く場合があったり、個体の性が年によって変化する傾向があることが分かっています。
花期は5~7月で1~3 cm の花柄の先につき、直径約 1 cmで芳香があります。

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【PinguBanana 宅の開花】

つる性ですが、よじ登りのための特別な巻ひげや吸盤などはなく、まばらに分枝する茎自体で他のものに巻つき、1mほどになります。
地上部の寿命は短く数年で地上部は枯れますが、地下茎を伸ばし先端から芽をだして生長する栄養繁殖をしているので、個体としては生き続けているのです。

【参考文献】
北海道立総合研究機構 森林研究本部 林業試験場
 樹木だより チョウセンゴシミ(山口陽子様)

東邦大学 薬用植物園 見本園 チョウセンゴシミ

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