08003
本。読書とその周囲の記録/土星の環
走り書き。時に日記。テキスト的な何か。 (スペイン語+日本語)
映画の話。
地下を歩いた天使の足音と言葉を辿る散歩の記録
治療の終わりは旅の終わりなのか/(それは)傷への旅なのか /いずれにしても霧に沈む/十一月
"La poesía no necesita justificación. Debe herirnos." Jorge Luis Borges 傷つかなきゃで、傷つけなきゃ、なの/かもしれない 傷に触れる/
大事な人に会いに、急ぐ路はいつも/地下を水が流れる音が聴こえる/細かな石畳の下り坂、そういうことに/なっているらしい、この十一月の夜もまた
23/10/2024走ることをやめて久しいけれど/走ってでも行かないとならない場所がある夜もある/焚き火を囲む人達の横を抜けたところに表通りへと出る階段/駆け降りる、ほろりほろりと一枚ずつ、服に似た何かを脱ぎながら/待ち合わせ場所は映画の中/ PASSAGE NEUKÖLLN
同じときに空に鳥を/見ていた人のことを言うのかしら/友、とは
ここももう夜の、波打ち際/遠浅の海のような夕焼けを眺めながら歩いていたつもりの、踵がいつのまにか濡れている/小さな瓶に託す、「おやすみ」を水面に/ 滑らせる、そっと触れる指先
涙も凍る、冬が来るまで//歩き回る、この北東の街の/灰色の空の下/または眠る前に合わせた手を置く、胸の下//傷を訪ねる、旅に出る/十一月
夜明けの空のさびしさと/その淡いさびしさの中をとりがとぶ/悲しみの淵を彷徨う夜と/浅瀬の中に眠りを探す/その合間に生活、のようなもの/九月
北東の街には似合わない熱い夏が乾かした春の涙が、すっかり高く透き通った空から秋と一緒に降りてくる/ 湿度と、冷たい風/ 時折燃える夕刻の西の、空の奥/ そんな季節になった
それが私の、宿命なのか同じ人相手に何度も失恋するようなところがあって、その度にいくつかの歌が、なんでも聴くのにこういうときそれはいつも歌なのね、聴けなくなるのだけれど、それでもやっぱり歌はいいね、と思う/時計塔の下の地下鉄駅まで秋の雨が上がったあとの道を歩きながら、歩きながら
そこにいつか温かな手が当てられる夢を見ながら、冷たい砂の下で眠る遠い傷のかすかな息遣いを、探す/耳の奥、指先、夜明け前に降り始める雨/おやすみなさい
時計塔の後ろに陽が沈み始める/こんなに大きな夕方の空が目の前に広がる部屋に住んでいたら、そのうちいつかクレプス(リ)キュールの摂取過剰になるのではないかしら/それともこれはいつもの、せっかちな心配だろうか
遠い夜に 古い筆記具を/ そうしてまるで / 手繰りよせることができるかのように
やっぱりあれは、奇跡だったのだと思う/余韻を受けとる、午前4時
夕暮れの空を飛ぶ 鳥の姿を追う /どうしようもない 時間 /静かで薄暗い部屋の夕刻/ 沈む まだ終わらない 今日 /es la hora de la añoranza
夕方、と呼ぶには少し遅く、夕暮れどき、と呼ぶには少し早いような、そんな時間、忘れ物をとりに外に出たら、道の奥の南の空に、突然に会いたい気持ちが募った理由が浮かんでいた。昨日。