感覚を表す言葉で表現する(共感を示す)
感覚とは主に視覚、聴覚、痛覚、皮膚感覚が挙げられますが、パーソナル空間を安定させるためには他者との距離感は意外に重要です。
特に緊張しやすい児童については他者との距離感が上手に保てずにその場を離れたり近寄らなかったりすることもあります。反対に近寄りすぎて相手を困惑させることもあるでしょう。
しかし直観的に緊張する場合もありますが、一方で自分に対する不安が他者との距離を取らせていることもあります。
いずれにしてもどうしてそうなっているのかを理解していると示すためには、その子どもが理解しやすい言葉で言語化してあげることが重要です。
どうして相手がそのように感じるのか、そして自分の中のもやもやした感覚を言葉にすることで、その子自身は表現する術が見つかることで他者に自身の状態を伝えることができるようになり、私たちはそうした言葉を多く用いることで共感している姿勢を示すことができます。
「痛いの痛いの飛んでいけ。」は本当に痛いことが飛んでなくなることを期待しているわけではありませんが、このとき共感性が得られること、そして意識が痛覚からそれることが実際に痛みをやわらげることが あります。
同様に、どのような感覚の刺激もその感覚に意識が働いている、あるいは「○○かもしれない。」と考える思考から逃れられないとずっと痛みや恐怖、そして騒音であると考えてしまいがちです。
知的発達がアンバランスな児童についてはこうした感覚認識のずれが生じていることも多く(だからこそ大人からすると「そんなことない」と言われてしまうのですが)、一言で言うと「なんでみんなは平気なのに自分は苦手なのか?」という意識を持つようになります。そして次第にその感覚を受け入れられずに逃避傾向に走れば「臆病」とされてしまうし、我慢していればストレスになります。
つまり目には見えない感覚の捉え方の違いがはっきりしないことは、想像以上に個人の思考を形成するのです。
ここで本題ですが、その子の持っている感覚を言語化することはこうしたかい離があることに自他ともに気づくことで、まずは自分の感覚の在り方を冷静に見つめられるようになること、そして環境を変えることで対応できるようになることを理解してもらいやすくなります。
これは耳が良いとか匂いに敏感、というよりも嗜癖に左右されるのでとても難しいところですが、一般に感覚的な嗜癖にはこだわりが生まれやすい、というのはこれまでの傾向からありそうです。
これは子供がゲップの音を楽しむことと同類とは思いますが、言い方を変えれば感覚遊びの側面がまだ残っていると考えることができます。
反対に苦手な音やにおい、そして蛍光灯の光のような反射性の強い光に対して抵抗を感じることは感覚遊びとは異なりますが、同じく感覚的に敏感な状態であることを示しています。
さて、その子の感覚を言語化するためには教育者がその感覚状態に対して共感的でなければなりません。そしてそれはどんな年齢の児童と接するに合っても有効です。大人でさえ美味しいパスタのにおいに共感して同じパスタを注文するのですから、それほど感覚について共感を得られるというのは重要なことなのです。
そして共感を示すために、その子の持っていそうでなかなか出てこない言葉を代わりに表現してあげる必要があります。そうした感覚の表現の種類をシートにまとめましたので、ぜひ他の言葉も探してみてください。
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