達成感は「繰り返し」記憶するためのステップが必要
これまでスモールステップの組み立て方や褒め方についてまとめきました。しかし特に外発的動機づけに基づいて達成感を得ているうちは、上手にこの達成感が維持される必要があります。
ここであらかじめ確認しておきたいのですが、達成感はこれまでできそうになかったことができたときに生まれる気持ちです。そして達成感は他の感情と同じくすぐに消え去ってしまうものです。そうした前提に立って達成感を維持していくために周囲ができることを考えてみます。
(1)達成感を言葉にする
ところで皆さんはこの達成感を得たときにどんな気持ちが生まれるでしょうか。実はこの気持ちに素直になれるかどうかはとても大きなポイントなのです。
1つ大切なことがあるのですが、達成感を得るために自発性の有無は関係がありません。なぜなら私たちは普段の仕事や日常の中で「やらなければならないこと」をこなしていて、半ば義務的に近い形で生活習慣を行っているところもあるからです。
試しに何か些細な、これまでやったことがないことにチャレンジしてみましょう。そして見事成功したときに生まれる気持ちを体感してみてください。
乗り越えた壁の高さにもよりますがそしてその時にどんな感覚が生まれるでしょうか。例えば私の感覚を言葉にしてみましょう。
「解放感」「やったーと叫びたくなる気持ち」「安堵感」これらの気持ちが私の中に生まれます。
同じように実際に他の言葉に置き換えてみてください。すると達成感は嬉しい気持ち以外に様々な感情を含んでいることが分かります。
これは混乱や困惑といった他の感情と同じで、それぞれに微妙な違いがある気持ちなのです。こうした微妙な気持ちの違いはおよそいくつかの感情が混ざり合っているために生まれているため、と考えて良いでしょう。
子どもにとってもそれは同じで、単に嬉しさ以上に多くの感情が生まれていると考えましょう。もちろん嬉しいの一言で済んでも構わないのですが、そもそも達成感とは何か、ということを共感してあげることが重要です。そしてその感覚が次のステップにつながる大事な感覚であることを伝えてあげてください。
(2)達成感を繰り返す
達成感はあくまで感情なので、いっときの体験で終わってしまうことがほとんどです。持続的にステップを上がることができる子どもはそう多くはありません。
スポーツにしろ学問にしろ「級」や「段」そしてクラスのような階層があるのはどうしてでしょうか。
それは到達すべき目標が分かりやすい形で提示されているからです。これは大人になっても同じで、私たちはイメージだけではどうしてもそのモチベーションを維持することができません。そのため昇級や昇段といった形をとってステップを設定しモチベーションを維持することができているのです。
つまり達成を繰り返す中で高い目標に向かうためのモチベーションを維持するので、達成感と言うのは繰り返されなければ効果がないのです。
子どもの場合、特に記憶力の弱い子どもはこうした体感の記憶も上手に行うことができません。そのためより速いテンポでその達成感が繰り返される必要があるのです。そしてその目標が目に見える形で張り出されるなど、視覚的にも理解しやすいと良いですね。
こうした達成感はご褒美や賞賛といった外発的動機づけと呼ばれる段階から、徐々に自分へのご褒美や達成感の余韻にひたること自体を楽しむ内発的動機づけへと向かいます。
大人であっても「できた!」という体験は自分自身の成長へとつながります。記憶は何も知識だけではなく、体験や感覚も重要なのです。
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