指示・提案・お願い➂~繊細な感覚の持ち主は命令では動けない~
先週はお休みをいただきリフレッシュと勉強と有意義に一週間を過ごしました。
さて、これまでは「指示・提案についてどのような子供を対象にし、そしてどのように活用していくと良いのかまとめていました。
今回は「お願い」という方法で行動を生起する方法についてまとめていきます。
「お願い」といっても懇願するとか頭を下げるとかそうした大それたことではありません。ここで指すお願いは「疑問符で終わる提案」という軽いイメージのお願いです。
仮に目の前におもちゃが散乱していてあと少しでお客さんが来るのに片付けてもらわなくてはならない。
そうすると「早く片付けて!」「ちょっと片付けしておいて。」というようになりますね。これは「散らかしたのは本人だしおもちゃを片付けるのは当たり前だし自分でやらせないと!」という思考が前提になりますし、これらはごくごく自然の帰結といえるでしょう。
ところで事の重要性や時間の速度は個人差があります。そのため先の例で言えば次のような考え方の対立が起こります。
弁の立つ子、言葉の達者な子は身近にいませんか?そうした子は独自のロジックを立てているというのも1つの特徴としてありますが、その奥底には実は「自分にとってそれは何を意味するのか?」ということを瞬時に判断していることもよくあるのです。
これは頭の回転が速いといえばそうなのですが、その思考の中心には「自己」しか存在しません。他者という存在を認識していても他者の思考回路を踏まえて自分の行動を変えることに難しさがあるのです。
だから目の前の他者の感情が仮に変化したとしてもそれは自分と異なる理由で起きたと解釈されるのです。
先の場面では間もなく片付けてほしい人のイライラが頂点に達し「いい加減にしなさい!」となったとしても、その感情は届きませんし意味も伝わりづらい。
よって唐突に怒りだけが自分に向けられたので
という解釈のずれが生じるのです。
すると怒られた側は当然黙ってはいられません。「なんで怒るんだ!何も悪いことをしていないのに!」となってあたかも逆ギレしたようにうつってしまうのです。
こうした状況を回避するためには相手に自分の立場を理解してもらうか、それか「自分に非はないが言われたとおりにしよう。」と」考えられるように働きかけます。
【指示】では言われた通りに動く理由がないので動けません。【提案】は動くことによるメリットがはっきりと理解できれば動くでしょう。
【お願い】はつまり相手の善意に働きかけることになります。考え方でいけば「何か困っているらしい。片付ける理由は分からないがとりあえず片付けてあげよう。」といった具合です。しかしオーバーにお願いをしたとしてもそれは(特に善悪の分別もあいまいなうちは)善意に働きかけるというより、虚栄心を増幅されることになってしまうので注意が必要なのです。
でも結局は「お客さんが来るから片付けてくれる?どうしても大事なことで片づけてくれないと困るからお願いね。」と実際に動いてくれた時の「ありがとう。」という自然なコミュニケーションが重要です。
なるべく慌てず、焦らず、ゆとりをもって接してあげてください。
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