なぜ基準を持つことが学習につながるのか
さて、前回は基準という考え方について、サーカディアンリズム(体内時計)を例に出しながら基準を持つことの意味をお伝えしました。
実は基準を持つことは学習をする上でも役に立ちます。
例えば漢字。
基準を持つことが難しい場合は
①書き出し
②長さの比
③まとまりの構築
などが難しくなります。
①についてですが、書き順通りにやろう、ということではありません。しかし書き出しの基準が弱いと、順番が記載されていてなぞることはできても、実際に何も見ないで思い出しながら記載しようとすると何から始めたら良いのか分からなくなってしまうのです。やがて点と線がバラバラになり、結果として定着するまでに時間がかかってしまいます。
まずは書き出しの一筆目を強く意識できると良いでしょう。 ②についてですが、漢字は厄介なことに長さの比が決まっています。
下が長くなれば「土」、上が長くなれば「士」といったように、わずかな長さの違いが意味そのそのものを変えてしまうのです。
これを私達はなんとか覚えながら自由に使えるようになっていますが、実は長さの比の概念が獲得できていないと習得は難しいのです。
そして長さの比を獲得するためには「上が長い」「下が長い」というようにどちらかに基準を定めなければなりません。
しかし「上が長い」「下が長い」というのは基準が上下に分かれてしまうので、「上が長ければ『士』」「上が短ければ『土』」というように、1つの線を意識できるように強調しましょう。
③漢字は基本的には扁とつくりがありますね。しかし基準を持つことが難しい場合、同じつくりであるとか扁であることに気づくまでに時間がかかってしまうことがあります。
これは良く紹介されますが、こういう場合は『氵(さんずい)』のつく漢字を並べて意味を当てはめてみたり、『頁(おおがい)』の漢字をいくつも書き出してみて同じ部首が使用されていることにきづけるよう強化できると良いですね。
目的地も大事ですが、出発点もそれと同じくらい重要なこと。
基準が保持されているかどうか、に目を向けると意外にフラフラとしてしまっていることがあります。
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