SM系AV〜ゲインロス効果の使い方〜
『大きく分ければ、人間は二種類しかいない』
ドイツの詩人ゲーテの言葉である。
今回はSM系AVについて書き記すのである。正直これを書き記すに当たり、知識もさる事ながら吾輩自身あまり得意でないジャンルとあって躊躇いがあったが読者諸君の紳士的なエロへの一助になればと書き記した。少々長くなってしまったが最後までお付き合い頂ければ幸いである。
さて、SM系AVを語るに当たりまずSとMとは何かについて整理しておくのである。AVで語られるSとはサディズム又はサディストのことである。サディズムとは『人を苦しめることに喜びを見出す欲求』の事である。語源はフランスの作家、マルキ・ド・サドに由来する。サドはサディズムの意味通り人の苦しみに興奮する性癖の持ち主であった。一方でMとはマゾヒズム又はマゾヒストのことである。マゾヒズムとは『肉体的な苦痛又は羞恥心や屈辱感などの精神心的苦痛や恥辱に喜びを見出す欲求』の事である。語源はオーストリアの作家ザッヘル=マゾッホに由来する。マゾッホは身体的又は精神的苦痛を性的快楽と捉える嗜好を作中で表現している。
サディズムについて心理学分野で面白い研究が発表されたので紹介しておくのである。モラルにかける行き過ぎた自己中心的な行動を9つの特性に分け、それを『Dファクター』と定義したのである。そしてDファクターを一つでも当てはまれば残りの要素も少なからず自身の性格に含まれているという研究発表である。では9つの要素とは何なのか。①他者の利益を考えず自身の利益を最優先に考えるエゴイズム。②非道徳的な行為であっても結果に繋がるならば許容できるというマキャベリズム。③罪の意識を持つことなく、非道徳的な行為をする道徳離脱。④自分自身を愛し、自分自身を性的な対象とみなすナルシシズム。⑤自身は他者より多くを得る事が当然であり、その権利があるとする感覚を意味する心理的特権意識。⑥著しく偏った行動や思考を持つ反社会的パーソナリティ障害、サイコパシー。⑦前述したサディズム。⑧は①と類似であるが他人の利益より自身の利益を考える心、利己心。⑨意図的に他者を困らせる意地悪。である。吾輩個人的には、Dファクターを見た時全く一つも当てはまらないと自覚する人こそDファクターに当てはまる人なのではないか。と考えるが読者諸君は何か当てはまる要素を自覚していただろうか。
マゾヒズムについても少し書き記すのである。マゾヒズムと言っても内容は大きく2つに分かれると吾輩は思う。痛めつけられるという加虐行為をされることそのものに興奮を覚えるマゾヒストと他者に支配され痛めつけられていることに興奮を覚えるマゾヒストである。これはサディストでも言える話かと思う。マゾヒストの定義が肉体的又は精神的というものである為どちらもマゾヒストに間違いないが痛みを欲するものと服従を欲するものではマゾヒストとしての純度の高さに違いあるように一AV拝聴者の吾輩には思われて仕方がないのである。
ここまで長々とサディストとマゾヒストの説明にお付き合い頂き感謝申し上げるのである。ここからいよいよ吾輩なりのSM系AVの楽しみ方をお伝えするのである。
前述した通り、吾輩自身SM系AVはあまり得意ではない。では何故拝聴するのか。答えは一つ『ギャップ』である。ギャップの本来の意味は、「割れ目・裂け目」であるが、日常生活での意味は「意見・考え方・普段の様子との不一致」かと吾輩思う。これをAVに当てはめて考えると、普段は可愛らしく可憐な崇拝する女優が凛々しく美しい又はそれ以上に狂気的であるS嬢を演じている姿に又はいつも元気で活発な女優の健気で無力なM嬢を演じている姿に我々拝聴者はギャップを覚えるのである。ここで心理学用語、ゲインロス効果が活用されるのである。ゲインロス効果とは人の心理状況において、プラスとマイナスの変化量が大きいほど心に影響を与える度合いが大きくなるというものである。このゲインロス効果により、SM系AV作品自体を楽しむ拝聴者もいるだろうが仮にSM系AVが得意でない拝聴者であっても一度心を大きく動かされている手前、次にSM系AVとは別の作品に出ているその女優を見た時に大きな楽しみを覚えるだろうと吾輩思う。
最後に働きアリの法則をお伝えして本記事を締めようと思う。読者諸君も耳にした事があると思うが、働きアリには2割はよく働き、6割は普通に働き、2割は怠けるという2:6:2という法則がある。そして2割の働きアリに入っていたアリを色々な巣から集めると全てが働きアリになるわけではなく、また2:6:2の割合に分かれるというものである。吾輩が伝えたかったのは、今諸君の置かれている環境下では特質したSにもMにもに属していないかもしれないが環境が変わればもしかしたら諸君がSにもMにもなり得るという事である。その際は現実世界において加虐的又は被虐的になるのではなくSM系AVという世界で思う存分お楽しみ頂ければと吾輩は切に願うのである。
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