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今すぐ指導できる【日本語の発音】
はじめに
こんにちは
Jessicaです
この頃
日本語の発音について関心がある
学生さんを何人か受け持つようになりました
というよりは
以前からも
私のレッスンを受講してくださる理由として
ネイティブの先生から正しい発音を学びたい
という学生さんが
ちらほらいたのですが
発音の習得は
そんなにすぐに出来るものでもなく
それ以外にも
文法やら単語やら
優先的に覚えなければいけないことが多いため
みなさん途中で諦めてしまう方も
少なくなくありません
結局発音は後回しになり
どうしたらいいもんかなぁと
思いつつも
自分自身も上手く解説ができず
指導が難しいと感じていたので
実は出来るだけ避けるようにしていたんです
しかし最近
私が受け持つ学生さんは
割とレベルの高い方や
学習意欲の高い方が多いので
講師側もブラッシュアップしていかないと
と思い
今まで避けていた発音の勉強を最近しています
そこで今回は
講師の方に向けて
私が最近学んだ日本語の発音について
シェアしていこうと思うのですが
日本語の発音で
よく話題に出るのが
ピッチ/高低アクセントですが
今回はそちらは話しません
というのも
講師側がある程度
勉強する必要があるのと
全ての学習者が
それをすぐに取得できるわけではないので
今回はもっとライトに
日本語講師・特に講師なりたての人でも
簡単にすぐ指導出来て
どんな学生さんでも実践しやすい
日本語の発音のコツについて
シェアしてみようと思います
ピッチアクセントについては
本気で発音矯正したい学生さんを受け持つ講師向けに
別の記事で紹介しようと思います
母音の無声化
みなさん
普段日本語で
「すき(好き)」、「きく(聞く)」、「くさ(草)」、「つき(月)」、「した(下)」を発音するとき
どのように発音していますか?
「su ki」、「ki ku」、「ku sa」、「tu ki」、「si ta」
と発音しているでしょうか
それとも
「s ki」、「k ku」、「k sa」、「t ki」、「s ta」
と発音しているでしょうか?
自然な発音は
後者の方のはずです
また文末の
「〜です」「〜ます」形の「す」はどうでしょうか
「de su」「ma su」とは発音せずに
「de s」「ma s」と発音しているはずです
これが
母音の無声化というものです
言語はその文化の特徴に強く影響されます
発音する際の音の出し方も一緒です
なぜアメリカ人や中国人の言葉が
エネルギーがあり
主張が強く
時には喧嘩をしているように聞こえてしまうのか
それは
様々な人種が入り混じるその国々では
相手に伝えるためには
自分の主張をはっきりと言葉を届ける必要があります
そのため
一文字一文字の音を
はっきりと強く出す
という特徴があるのです
例えば同じ英語を話す国でも
アメリカとイギリスが違うのは
ご存知かと思いますが
アメリカ英語の方がよりクリアに
はっきりと聞こえる感じしませんか?
恐らくですが
よりはっきりとシャープな音の方が
多人種で多文化のアメリカには
適した発音・発声として
人々が使うようになったんではないかと思います
中国語についても
中国大陸の場合は
もともと多くの民族が存在しました
そのため
大陸の中国語は音が強くはっきりと発音しています
一方で同じ中国語を話す
台湾の場合は
もう少し力の抜けた音になっています
中国大陸に比べると
台湾は小さな島国です
少数民族もありますが大陸に比べると
はるかに少ないです
その影響もあってか
台湾華語には強さやシャープさがとれ
柔らかい印象を与えます
では日本の文化はどうでしょう
日本は特に文化として
調和を大切にして周りに合わせる
一人だけ目立ってはいけない
に加えて
空気を読む文化が浸透している
日本人のコミュニケーションでは
はっきりと音を発さなくても
ちゃんと相手がくみ取ってくれる
という風潮があるので
文字の母音が抜けても
気にならないのです
こういった文化的な背景を理解していないと
どうしても学習者は
ローマ字通り母音をしっかりと発音してしまい
外国人っぽさがにじみ出てしまうのです
ですから
まずは学習者に
日本語の特徴によって母音が無声化する
ことがあることを伝えます
そして以下の2点に気を付けると
日本人っぽい発音に近づけることを
教えてあげるといいでしょう
①最後の「です」「ます」の「す」の音が
「su」ではなく「s」にする
つまり母音の無声化をする
②カ行音(k)・サ行音(s)・タ行音(t)・ハ行音(h)・パ行音(p)(無声子音)の前に
「き・く」「し・す」「ち・つ」「ひ・ふ」「ぴ・ぷ」がくると
これらの母音は無声化する
というものです
①はとてもシンプルなので
すぐに実践してもらうといいでしょう
②は少しややこしいので
表にするとこんな感じです
き+無声子音(カ行音)
きく(k ku)
く+無声子音(サ行音)
くさ(k sa)
し+無声子音(タ行音)
した(s ta)
す+無声子音(カ行音)
すき(s ki)
ち+無声子音(カ行音)
ちか(ch ka)
つ+無声子音(カ行音)
つき(t ki)
ひ+無声子音(ハ行音)
ひふ(h hu)
ふ+無声子音(タ行音)
ふた(f ta)
ぴ+無声子音(サ行音・タ行音)
ぴすたちお(p s ta chi o)
ぷ+無声子音(サ行音)
キャプション(kya p syo n)
お分かりいただけましたでしょうか
無声子音の前の文字の母音が消えています
これを学生さんに全部一気に教えても
すぐには習得は難しいので
まずは誰でも意識さえすればできる
①をクリアして
達成感を味わってから
さらに高めたい人に向けては
次に②の中の2~3つ
「き+無声子音」「く+無声子音」を
意識して発音を練習させてみる
でも十分だと思います
難しすぎず
でも簡単すぎず
ちゃんとそこの塩梅を講師がコントロールできると
学生さんからすると
「毎回進んでいる」と感じられるので
授業の継続的に繋がると
私は考えています
日本人に受け入れられやすい「音」とは
先ほど言語はその国々によって
音のエネルギーが違う
と言いましたが
日本語の発音について調べていく中で
各国の言語の周波数を測定した
こんな面白いデータを発見しました
日本語:125~1500Hz
韓国語:125~2000Hz
中国語:500~3000Hz
英語:2000~12000Hz
国によって
発する音が全く違うのです
ちなみに
日本語の125Hzは
生活音で言うと自動車のマフラーの音で
低くて聴き取りづらい音になりますが
英語の2000Hzは警報音や赤ちゃんの泣き声
女性の悲鳴などの音に含まれます
528Hzは自然界に存在する音の中で
最も調和的とされており
リラックス効果やストレス軽減
睡眠の質の向上などの効果が期待できますが
人が最も強い不快感を呼びおこすのは
2,000~4,000Hzだそうです
つまり周波数は人に「快・不快」を
感じさせる要因になるという見方もできます
また馴染みのある周波数・馴染みの無い周波数でも
受け入れやすさが変わってくるので
例えば
英語話者にとって
聞きなれた普通の周波数だとしても
日本語話者にとっては
エネルギーが強すぎて不快に感じる音だって
あり得るのです
このことを勉強してから
確かに私自身も
知らず知らずではあるけれど
人の声の強さや柔らかさや雰囲気で
この人とは話していて心地いい
この人とは少し距離を置こう
という印象をもったりするな
ということに気が付きました
きっと
多くの日本人も無意識で
音から色んな情報を
キャッチしているのかもしれません
だとすれば
もっと上手に日本人と
コミュニケーションがとれるようになりたい
と考えている学生さんには
一つの発想として
発声を変えることで
相手に受け入れられやすくなる
ということを伝えてみてもいいかもしれません
具体的な指導法としては
日本語を話すときは
あまり力を入れ過ぎず
息も出しすぎず
口も上はほとんど動かさず
顎の下をメインに動かす(半開きの)イメージで
喉や口の中に息をあてて
音を出すような感じを
意識することで
知らず知らずのうちになっていた
英語っぽい日本語
中国語っぽい日本語
韓国語っぽい日本語
が
日本語っぽい日本語
へと変わっていくようになります
初めのうちは
どうしても強く発音してしまう学生も
練習を重ねれば
必ずソフトな柔らかい音を出せるようになります
まとめ
日本語の発音に興味がある学生さんには
発音を日本人っぽく近づけるためには
まずは
文末の「です」「ます」の「す」の母音を消す
「su」→「s」
ような簡単な母音の無声化
を教えてコツをつかんでもらいましょう
それと同時に
日本語の音の特徴
外国語の音の特徴の違いを伝えて
日本語を話すときは
出来るだけ力を入れ過ぎないことを
意識してもらうようにするといいでしょう
今回の記事は
ここまでにしようと思います
最後まで読んで下さり
ありがとうございます
なにか少しでも参考になれば
うれしいです
ではまた