ワクチン接種後の続く肩の痛み、運動制限の原因を理学療法士が詳しく解説!
世界中で、猛威を振るったコロナ2019。
日本でも多くの方が、ワクチンを接種しました。
年代別で厚生省の情報をグラフ化したものです。
三回目まで摂取した方が、多いのではないでしょうか?
その中でどのくらいの方が、副作用や、ワクチン接種後の後遺症に悩まされたのでしょうか?
海外のワクチン後に続く症状について
以下は、2022年に報告されたヨルダンとサウジアラビアの報告では「ワクチン投与後1か月続く症状」について開業医や歯科医で新型コロナワクチンを受けられた498例について解析を行っています。(平均年齢35.9歳、性差なし)
これら498人のうち、80人(16.1%)が「1か月以上の症状を訴えた」としており、主な副作用は「疲労感(6.4%)」「筋肉痛(1.6%)」「関節痛」「頭痛」などが見られたとのことです。
正し、この論文には以下の点に注意が必要です。
使用されているワクチンが「ファイザー製(48.4%)」「アストラゼネカ製(18.3%)」「シンオファーム製(31.7%)」であり、日本の使用状況と大きく異なる点
サンプル数として、498人の解析であり、大規模臨床試験とは至らない点
痛みの感じ方についても統一された基準ではなく、文化や民族により主観的要素は異なる点
私自身も、もちろんコロナワクチン接種を行いました。
そんな中、高熱が出たり、肩が挙がらないなどの症状が出て、苦しい思いをしたの覚えています。
仕事の関係上打たなければいけない、旅行割、周りの方の目など打つ判断が難しい状況でした・・
そのような難しい選択をされた方も多かったのではないでしょうか?
そんな中、ワクチン接種に伴い発熱する方もいたと思いますが、肩の痛みが出てしまい、その後なかなか治らないという方も多かったのではないでしょうか?
仕事をしていて、コロナワクチン接種後から、
肩が挙がらずリハビリを行う方が今現在も実際いらっしゃいます。
なぜコロナワクチン接種後から肩が挙がらなくなったのか、現在も挙がらないのか気になる方もいらっしゃると思います。
このnoteでは、ワクチンの副作用の原因と後遺症が発症した症状を改善していく方法を現役理学療法士が詳しく解説していきます。
・日本人の約80%に襲い掛かったワクチン副作用の正体
・解剖学から解き明かすワクチン副作用が発症するメカニズム
・肩から始める後遺症を完治させる正しい治療方法とは
(理学療法士が画像付きでお伝えします。SIRVAに限らず肩、首などが痛い方にも有効です)
・世界保健機関のWHOがワクチン接種ガイダンスを変更した本当の理由
・接種率トップ5の国よりも日本のワクチン接種率が低い原因
・接種後の肩の激しい痛みが発症したら真っ先に取るべき行動
ワクチン接種後の肩の痛みについて
ワクチン接種後の肩の痛みは、Shoulder Injury Related to Vaccine Administration(SIRVA)(シルバ)と呼ばれています。
通常ワクチンは肩の筋肉(三角筋)内に注射されますが、ワクチンが三角筋の下部にある滑液包(三角筋下滑液包)に注入されてしまうと、滑液包が炎症を起こします。
この炎症により、四十肩・五十肩のような肩の痛みが出るようになるのが、SIRVAの正体です。
ワクチンの接種により、ワクチンを注入した三角筋に痛みが生じることがありますが、多くの場合、数日で痛みは消失します。
SIRVAの場合は、激しい痛みが伴い、その痛みが何ヶ月も続くのです。
そもそも滑液包とは?
少し専門的な知識になってしまいますが・・
右の三角筋をめくると三角筋下滑液包が存在します。
滑液包とは、3つの部位を総称しており肩峰下滑液包(以下SAB)、三角筋下滑液包(以下SDB)、烏口突起下滑液包に分けられます。
摩擦刺激を受けやすい筋や腱などの組織間に介在するといわれています。
滑液包に刺激が加わると、が癒着・瘢痕化し、滑走性が低下する場合や、接触する組織自体の柔軟性が低下すると組織間での摩擦刺激が増強してしまいます。
SIRVAの治療について
受診する医療機関にもよりますが、痛み止めの服用や肩関節内への注射、理学療法などを行います。
理学療法ではあくまで患者さんの状態に合わせて徐々に関節の可動域や、筋肉の硬さを柔軟性を改善していくという理学療法になってくると思います。
理学療法では改善が難しい場合は、消炎機器などを併用しての理学療法となることが多いと思います。
特に三角筋と言われる筋肉が硬くなっている場合が多いです。
特に三角筋は三つに分けられます。
三角筋前・中・後部繊維です。
前部線維は大胸筋、後部繊維は棘下筋と言われる線維と重なり合っています。
そのため、三角筋が硬くなることによってこの繊維同士の動きも悪くなってしまいますので、隣接している筋肉自体の滑走を改善する理学療法も必要になってくる場合もあります。
肩が痛くなったらやるべきストレッチを紹介
世界と日本の接種率
SIRVAは、多くの方がワクチン接種をするようになり、日本でも名前が知られるようになってきました。
それでは、日本と世界の接種率を見てみましょう。
・日本の接種状況
日本では、2回目の接種が終了した方は、全人口の77.52%です。
(出典:デジタル庁 https://www.digital.go.jp/copyright-policy/)
人口にすると9700万人以上の方が接種をしたことになります。
・世界の接種状況
一方で、必要な接種を完了した割合TOP5の国は、チリ、中国、シンガポール、台湾、韓国です。
接種率は86〜92%と高い水準となっています。
(出典:日経新聞
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-vaccine-status/#thirdVaccinationRate)
このように、トップ5以外にも接種率は比較的高い印象を受けます。
日本も決して低い訳ではありません。
しかし、日本のワクチン接種は打つか打たないか選択することができたことや、ワクチンの種類が多くはアメリカで作られたワクチンであったことが関係しているのではないかと考えています。
早い=感染の減少ではなかった様に感じます。
そのため、個人がどう考えてワクチンを摂取するのかが、日本の接種率においてはポイントだったのではないでしょうか。
WHOがワクチン接種ガイダンスを変更
WHOの予防接種に関する専門家グループ(SAGE)が、3月28日にコロナ2019のワクチン接種ガイダンスを更新しました。
(出典:World Health Organization
https://www.who.int/news/item/28-03-2023-sage-updates-covid-19-vaccination-guidance)
更新された内容では、高齢者、および糖尿病や心臓病などの重大な疾患を持つ若年成人をワクチン接種の優先度が高いグループに分類しています。
優先度が高いグループには、最初の投与から6ヶ月〜12ヶ月後にブースター接種が推奨されています。
また、優先度「中」以下のグループは、最初の摂取と、ブースター接種は推奨されていますが、それ以上のブースター摂取は安全だが、公衆衛生のリターンが比較的低いことを考えると、SAGEはそれを推奨しないとしています。
つまり、もともと何らかの疾患がある方や高齢者など、リスクの高い人に対するワクチン接種は効果的。
また、WHOのこのような動きに対しては、仕事柄高齢者と接することが多いため、若い方よりも、高齢者の方がより不安に思っている方が多い印象を受けます。
そのため、不安を取り除くためには、高齢者のワクチン接種は必要と考えています。
しかし、リスクが低い方に対する摂取は、公衆衛生上の効果が低いため、病気の負担や費用対効果、その他の優先順位や機会コストのことまでを考えると推奨されないということです。
日本でもコロナ2019は感染法上、季節性インフルエンザと同様の5類に引き下げられました。
コロナ2019と同様に、インフルエンザでも亡くなってしまう人もいるでしょう。
インフルエンザと同様、コロナ2019に対しても、感染により、どの程度のリスクがあるのか判断し、ワクチンを接種する方が良い方もいるという理解で良いでしょう。
まとめ
今回の記事では、ワクチンによる肩の痛みSIRVAについて、世界と日本のワクチン接種率、WHOのガイドライン更新について触れてきました。
コロナ2019の流行とともに、日本でも注目され始めたSIRVA。
原因は、三角筋下滑液包に対してワクチンが注入されてしまうことにあります。
いわゆる四十肩・五十肩のような症状が出現し、痛みが長引くことが特徴です。
SIRVAになってしまった方にとっては、痛みや運動制限などの症状が生活や仕事に影響を与えることがあります。
そのため、周囲の人々が十分な理解と支援を示すことが重要です。
まずは、本人の気持ちや状況を十分に理解し、話し相手として耳を傾けることが大切です。
また、痛みを軽減するために、家事や仕事などの負担を軽減する手助けをしたり、薬の調達や医療機関への付き添いをしてあげることも役立ちます。
また、日本と世界のワクチン接種率は、国によってさまざまです。
接種率が高い国では、90%を超える結果となっています。
WHOのワクチン接種ガイドラインの更新は、健康のリスクが高く、ワクチンの優先度が高い人は、ブースター接種が推奨されることがお分かりいただけたと思います。
しかし、健康リスクが少ない人にとっては、費用対効果や機会コストを考えると、安全だが推奨されないとされています。
感染症法上5類に引き下げられるコロナですが、自分のリスクを適切に把握し、ワクチンとも上手に付き合っていけると良いですね。
今回の記事は以上になります。
また次回も健康増進に役に立つ情報を発信していきますのでお楽しみに!
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