「生を祝う」
「生を祝う」李琴峰
すごい小説だった。
一度でも自分の生まれたきた意味とかを考えたことのある人には刺さる部分が多いのではないか。
話の展開がある程度予想できてしまうところもあったのだけれど、それ以上に「生」について考えさせられる描写に惹き込まれたし、エゴというか主人公の感情が剥き出しになった場面はすごく人間味があって心を抉られるようだった。私が同じ状況だったらどんな心情になるか、考え込んでしまう…。ネタバレになるので内容には触れないけれどいろんな人の考えが知りたい。
もし、本当にこの制度があったとして。
私は生まれてきたいと思っただろうか。
結局死んじゃうのになんで生きてるのかなとか、何のために生きてるのかなってよく考えてしまう。まだ20年しか生きてないけど、周りの人に理解されない辛さや自分の思い通りにならないもどかしさ、良くも悪くも感じる力が人より強く孤独感を感じることが多い。
もう生きていたくない、消えてしまいたい。
生まれてこなきゃよかった。
そう何度思ったことか。
でも、最近はそんな自分だからこそ出逢えた人や言葉、音楽があるなと感じる。たくさんたくさん悩んで、苦しんだことが報われるような出逢い。
そんな瞬間があると、これまでのことは全く無意味ではないのかなと思えたりする。
それに、痛みがわかるからこそ、誰かの辛さに寄り添えることもあった。
そう考えると人生って良いことも悪いことも全部繋がっていて、善し悪しなんて一言で言い表せるものではないと思う。
けれど遺伝子や環境、例えば容姿やどんな親かとかに差があるのも事実。そのせいで生きにくい思いや辛さを感じている人もいるだろう。
それら「生存難易度」の数値が高かったら…生まれる前にわかっていたら…
生まれたくないって思う気持ちもわかっちゃうな。
そんなことを考えて、やっぱり持って生まれたものは変えられないけれど、それをどう活かすか、どう生きていくかを決めるのは自分しかいないなって強く思った。
結局私たちは生きていくしかないんだろう。
いつか、心の底から生まれてきてよかったと思える日がくるといいな。
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