にっぽん醸し商売
近年ますます注目を集める発酵。
「発酵食品に含まれる天然のアミノ酸がコロナの増殖を阻害する」という話題が、コロナ禍で大きな影響を受けている飲食店や酒類業界への希望のニュースとして話題にもなっています。
微生物達の織りなす壮大なショータイム「発酵」により、添加物不用で長期保存が可能になる点も、食糧危機が取り沙汰される近い未来?に対して注目すべき特徴なのではないでしょうか。
味噌や醤油を仕込む麹菌はアスペルギルス・オリゼーと呼ばれる地球上でも我が国にしか生息しないカビで、なんと『国菌』にも認定される、にっぽん発酵文化のシンボル。
室町時代このオリゼーを培養し全国の酒蔵へ流通させたという「種麹屋」の記述がありますが、
コレ何がすごいって
日本はもちろん世界中でまだ誰も微生物の存在など知られていない時代のバイオビジネス。江戸時代になると数軒の種麹屋が存在した様です。
顕微鏡など無かった遠い昔の時代から、扱いが難しい微生物を巧みに生活に取り入れ、飼い馴らしそして商売にまでしてきた。
色々な意味で私達の国は世界でも有数の歴史ある発酵大国なんですね。
また食品のみならず江戸時代には長屋から出る「糞尿」をも買い集める業者いて、落葉や藁などと一緒にそれらを積み重ねて発酵させ、畑に撒く堆肥としてリサイクルしました。鎖国により資源の乏しかったエド時代はエコ時代でもありSDGsに先駆けた独自の循環型サスティナブル社会を形成していました。
「食生活は土づくりから」と言われますが、化学肥料や農薬漬けの痩せた土よりも活きた微生物達が分解し発酵させた、たくましく活きる土壌からできる野菜が美味しいのは間違いないと思います。
ずっしり重く瑞々しい江戸のキュウリともろみ味噌の「もろきゅう」それだけでカラダも酒も喜びそうな一品です。
ちなみに江戸時代に買い取られる人間の糞尿には階級があり、栄養価の高い食事をする大名屋敷からでるモノは高値が付き、庶民のモノは安価で取引されていたそうです。
ごはん、味噌汁、糠漬け、納豆のシンプルな朝メシ最強説もある様で、日に一食は多種多様な発酵食が登場するにっぽんが代々食べてきた食膳がやっぱり私達には良いのでしょう。
大豆も大便も代々培った技術で醸してきた、にっぽんの発酵は世界に誇るべきお家芸であり財産です。未曾有のパンデミックに対抗する逆襲の菌商売など今こそビジネスチャンスかもしれません。
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