夏目友人帳 漆

※  画像は全て公式サイトで公開されているものを使用しています。


7期は今までに比べ、色彩や輪郭がはっきりしているように思えた。
夏目友人帳を見始めた時はぼんやり感が気になっていたけれど、見続けるとぼんやり感が作品の世界観とあっていていいなぁと思った。
人間と妖怪が存在する不思議な世界がぼんやり感と合っているなと。
なので、7期で少しはっきりした映像になったので残念に思ってしまった。
どうもデジタル化が影響しているっぽい。
今は色彩などはっきりしたものが好まれ、何となく
「ハッキリ、鮮明」=「高クオリティ」
の評価になっている気もするので、7期の仕上がりの方が今の時代には好まれやすいのかなとも思った。

▼ インタビュー記事
「夏目友人帳」七期 大森総監督が振り返る、ともに歩んだ6,000日① 
「夏目友人帳」七期 大森総監督が振り返る、ともに歩んだ6,000日② 


OP

冒頭、曇りのない笑顔の夏目は今までと雰囲気が違うなぁと思った。
夏目は少し寂しそうに笑う印象があったので。
夏目の中の方が

「シーズンが変わる毎にあのセリフは新規で収録させていただいているんですけど、若干、僕の声のトーンが明るく感じられた。
年数重ねることによって、妖(あやかし)との関わり方みたいなものが少しずつ変わってきて、周りの環境も変わってきて、その気持ちが若干、声のトーンの明るさにつながっているのかなという気がする。
初期のころは『小さいころ時々変なものを見た』って割と暗いというか、ちょっとぶっきらぼうな雰囲気があったと思うけど、それが若干薄らいでいる感覚が、今聞いてて感じ取れたので、僕は多分無意識にやっているとは思うけど」

とお話されていて、制作陣も同じ気持ちなのかなぁと思った。


第五話 「ちょびの宝物」

Bパート、夏目が白龍を追いかけて山の中を走るところ、夏目の描写のアングルが変わったり、草木や地面の描写が入ったりと視点移動していて臨場感があった。
大松に登っている最中に落ちそうになるところ、松から見える景色の映像の作り方が良くて、ハラハラした。
松が撓るところも良かった。
ちょびが夏目が貰った鱗で櫛を作るところ、意外な結末で犬の会の面々と一緒に、おぉー!!と言いたくなる気分だった。
三篠「空を行く姿はなるほど高貴だ。デカい顔をしていただけはある」
「デカい顔」って。態度ではなく見た目の話なのね。
三篠がイイ声で言うから面白かった。

白龍はもう少し作り込んだ画や動きでも良い気がしたけれど、作風を考えるとこれくらいが良いのかなぁ。

Bパート最後、EDのメロディが入りながらちょびの姿を描いているところが良かった。温かい気持ちになった。
EDの最後、夏目が綿毛を目で追うところの映像の作り方が好き。


第六話 「廃駅・ふたつの輪」

的場中の方のお芝居、いつも独特の空気を作る。
良い人なのか悪い人なのか。
掴みどころがない感じが出ているし、夏目の中の方との掛け合いもいい。
Bパート終わりの方の「知っている人間に化けてね」は台詞だけでゾクっとさせられた。
風で右目が見える描写も良く、更にゾクっとした。
「知っている人間に化けてね」の言葉は Bパート最後にも出てきたけれど、こちらは少し柔らかさを感じた。
「的場さんはひどく遠い人に見えた」という夏目の台詞、その通りだなと思った。
不思議な世界に入れられそうになる。この感覚がこの作品の魅力だと思う。


第七話 「苦手なふたり」

多軌の中の方のお芝居は毎回良くって、多軌を好きになる。
Bパート中盤、蔵の書棚に来た理由を説明するところからの台詞回し、凄く良かった。
柔らかい口調で懐かしく話しているのが伝わってきて、心がフワっとなった。
「ありがとう。兄さん、お爺ちゃん。」のところ、笑顔が可愛かった。
冒頭の多軌が本を取る描写、丁寧で良かった。
Bパートの始め、多軌のお兄さんがニャンコ先生を頬ずりする時のニャンコ先生の作画、可愛くて良かった。
多軌のお兄さん、カッコいい。
作品全体として地味目なのに、少し都会的な雰囲気なのが良かった。

この作品、作画であまり表情のお芝居をさせ過ぎないのがいい。
あまり描き過ぎないことで間みたいなものが出来、声優さんがお芝居で作る余韻が間を埋めて、作品の世界観が作られていると思う。
表情が読めないので、どう思っているんだろう?と思い、作品に惹き込まれる。
「作画で表情を繊細にし過ぎない」の塩梅がいい。

第八話 「月夜の夏目」

指、気持ち悪かった。。。
窓ガラスを叩く夏目の手、気持ち悪かった。。。
本物の夏目よりも冷たい表情で、お芝居も少し含ませた台詞回しにしていたように思えた。
首を振るところは声が入っていないのが、含みを感じて良かった。

お弁当の作画が良くて美味しそうだった。

満月の夜の色彩、良かった。
公園に入るところの動き、丁寧だった。
満月に照らされている並木道を散歩しているところの映像、良かった。

人形の指をはめ、綺麗にして頭を撫でてあげる仕草、丁寧だった。
自分が人形を触った時の記憶とリンクして、感触を思い出す描写だった。
椅子に座らせてあげた人形が動いたのは、西村にもう少し抱っこしてもらいたかったのでは。。。? と思った。


第九話 「儀式を阻む者」

塔子さんの中の方のお芝居、凄く好き。
塔子さん、優しくて、可愛らしくて、素敵な女性だなぁと思うし、そう思わせてくれるお芝居だなと思う。
夏目とのやり取り、いつも楽しみ。

列車が一両編成で走っているところ、何か可愛かった。

今回の背景画「おぉ!!」と思うところが多かった。
列車の後の「大きな屋敷が並ぶ一角」という夏目の台詞のところの屋敷の描写、旧依島邸の地面の描写、良かった。
色彩も琵琶が採れる時季っぽいなと思った。
夏目が琵琶を採る為に塀に登るところの描写、丁寧だった。
その後の三春邸の旗が映るところ、自分が視線を移している気分になるような映像の作り方で良かった。
的場の雰囲気、やっぱり独特。
深入りしてはいけない、でも惹き込まれる不思議な雰囲気。
夏目が謎の者を追いかけるところ、惹き込まれて夏目が落ちかけた時、一緒に落ちかけた気分になった。集中できる映像の作り方だった。
謎の者が夏目の手を掴んだところの描写もよく(重力の感じとか)、落ちたところの描写も良かった。


第十話 「約束の残る家」

一つ目の妖怪、可愛かった。涙をこぼすところとか。
「元気がないように見えますか?」
同じ台詞を的場と夏目が言っていたけれど、雰囲気が違っていたなぁ。
今回、心情を追わせる内容だったと思う。
映像を作り込んでいないように思えた。
多分、妖は自分の行動がどういう想いからの起因なのか理解は出来ておらず、そういう部分が、作り込んでいない映像で表現されていた気がする。
言葉では説明しない、映像でも説明しすぎない。が良かった。
的場の
「こんなちっぽけなことも上手く周りはしないんだなと。」
は深かった。
寂しい雰囲気でもあるけれど、不思議と寂しい気持ちにはならず、穏やかにすっと入ってくる「夏目友人帳」らしい回だったと思う。


第十一話 「名前を教えて」

ソラノメが友人帳の 1枚目に名があることを告げると、「1枚目?!」と聞き返す夏目の眼、瞳孔が大きくなる描写が良かった。
ソラノメの「悪い奴だったらどうしよう」の声、可愛い声だった。
冒頭から重い空気だったけれど和らいで良かった。
キャスティング、ちょっと意外だったなぁ。

Aパート始め、ソラノメと遭遇したレイコが「悪かったわ、この木には近づかないようにするから」の言うところの映像、止まっているような動いているような感じ、少し違和感を覚えた。

レイコのふとした時の表情、夏目に似ているなと思った。
青子が提案した勝負、これが「友人帳」の始まりだったんだ。。。
最初の勝負で石を投げるレイコ、機敏な感じが出ていて良かった。

Bパート冒頭の花畑のことを聞いたソラノメ、「この森のどこかにそんな場所がある?」のところの映像は揺れていて、どこなんだろう?と首を傾げているような感じで良かった。

Bパート始めのレイコと青子の会話シーン、バックショットからお化けの話で笑うレイコにカットが切り替わった時の表情、会話の内容的に笑顔は速すぎるかなと思った。
もう少しバックショットのシーンが長くても良かった気がする。

青子が岩に石を当てる勝負を 2回目に提案する時、岩を指すのは指ではなく手なのが良かった。
石が当たってはしゃぐ姿も上品で良かった。
青子の動きには品の良さを感じたし、声やお芝居も青子の雰囲気にピッタリだった。

レイコが花畑に寝転ぶところ、沈まないのが不自然に感じた。
花畑はレイコの感性に触れたものだから、もう少し作り込んでも良い気がした。
花畑というよりも青い山という感じに見えてしまった。

青子を連れてきたかった青い花が咲く花畑。
レイコに寄り添う、ソラノメ。
青子に何度も何度も話しかけるけれど、届くことのなかった言葉。
青子に一生懸命話しかけて、一緒にレイコを待つソラノメの姿。切ない。
「そして季節が 1つ変わる頃、青子は。。。」
青子が来なくなった理由は受け手の解釈次第かな。。。
ソラノメの伝えられなかった気持ちの台詞回し、凄く良かった。

ソラノメ、もふもふしているのに手がシュッとしていて、泣いている姿が可愛かった。
名を返した後のソラノメのモノローグ部分、「あの時は、私の心が伝染すればいいのにと思った」の言葉、ジーンとした。
誰かと関わることに距離を置くソラノメが心を読めないレイコに興味を持ち、心を読めるが故に気持ちを口にしない青子に心を寄せたのかな。
ソラノメにとって唯一関わりたいと思った存在がレイコと青子だったんだろうな。
ソラノメの話を聞く夏目、台詞は少なかったけれど、目の描写、表情が繊細だったし切ない表情を見せていたけれど、名を返す時は凛としていた。
でもレイコの夢の一部に触れ、花畑にいるレイコと青子の姿を見た夏目の「綺麗だったよ」の言葉は涙声で、もらい泣きしてしまった。
「少しだけ涙目」の加減のお芝居、物凄く良かった。



第十二話「夢路より」

庭で折り紙を拾った時の夏目の手の動き、良かった。
「泣いていたのはお前?」語尾が優しく余韻を残さない。
余韻を残していないから、折り紙に注目する。お芝居、上手い。

凧が近づいてくるのを見ている夏目の映像、良かった。

夕陽、珍しい色彩設定をしているなぁと思ったら、特別綺麗な夕陽で、夢の中に登場するからだったんだなぁ。
「私は長い髪がサラリと揺れてにこやかであれば良かったのに」
旅妖怪はオリガミが姿を隠しているのは「気難しく人形に籠っている」と言っていたけれど、見た目のことを気にしているからだったのか。。。
眼の描写から白い輪が飛んでいくところ、涙なのかなぁ。
夏目が起きたところの映像、良かった。
「そうか」という夏目の表情、良かった。
綺麗な夕陽と「しっかりと焼き付けて」という台詞、良かった。
最終話なので、自分の気持ちとリンクした。

どこか懐かしく、優しい気持ちにさせてくれる夏目友人帳。
作り手の皆さん、いつも穏やかな安らぎを作品から頂いています。
次期、待っています!!


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