『出る杭』は『赤ちゃん』でも打たれるようです
抑圧的保育士F先生
1歳児クラスに進級したSくん。
担任はF先生です。
F先生は昨年担任だったM先生と同い年で、同期だそうです。
しかし、保育の仕方は正反対で、ツヤ子に『保育業界の闇・病』を教えてくれる存在となりました。
自分のクラスをブラックボックス化
1歳児クラスの担任は4人です。
F先生と昨年Sくんの担任していたFM先生(新卒2年目)、I先生(50代パート、ベテラン)、IT先生(40代パート1年目)です。
ツヤ子の勤める保育園では正職とパートのパワーバランスは圧倒的に違います。
パート職員は補助仕事をすることが常態化していて、正職の指示に従う存在という感じです。
と、いうことは…
新卒2年目のキャリアもノウハウもないFM先生がF先生に逆らうことはまずない。
パートの2人もパワーバランスから見て逆らうことは難しいでしょう。
と、なると…
F先生のやりたい放題というわけです。
さて、しっかりと自分のクラスのブラックボックス化に成功したF先生。
どんな保育をしていたか、ブラックボックス化していたのでツヤ子のようなポジションの人間がしるよしもありませんでした…。
ましてや、当時のツヤ子は、この保育園が一部の保育士のご都合主義がまかり通るような幼稚な組織と気づいていませんでした。
子どもの泣き叫ぶ声、保育士の怒鳴り声
ツヤ子は昨年度までは1歳児クラスのシフトが毎日のように入っていましたが、この年はさっぱりシフトが入らなくなりました。
1歳児クラスの部屋の隣の0歳児クラスで手伝いをしていたある日のこと…。
給食が終わり、着替えをしていたようでした。
『ぎゃあ〜〜〜』
『うえ〜〜〜ん』
と子ども達が泣き叫ぶ声がします。
『ゴトッ!』
『ドスッ!』
『バンッ!』
子ども達が壁やドアに体当たりしているような音がします。
『〇〇ちゃん!いったいいつまで泣いてるのっ!』
F先生の怒鳴り声が響きます。
(いったい何事?)
ツヤ子は不安になりました。
けれど、ツヤ子は看護師。医療業界の人間です。
畑違いの人間が保育のことをアレコレ言うのは保育士さんに失礼だと当時は思っていました。
母親の本能的不安が沸き起こる
ツヤ子も2人の子どもを育てています。
経験的にですが、赤ちゃんの泣き方でなんとなく機嫌がわかります。
その時の1歳児クラスの子ども達の泣き方が
『お腹いっぱいで眠いよー』の泣き方ではなく、
『怖い!助けて!』の泣き方に聞こえて仕方ありませんでした…。
(でもF先生はM先生と同期らしいし…。M先生は優秀な保育士さんだしなぁ…。)
毎日のように聞こえてくる泣き声に母親の本能的な不安はつのるばかりでした…。
Sくん、ツヤ子にしがみつく
F先生が休みの日のこと。(←ココがミソです)
1歳児クラスにシフトが入りました。
保育士さんが絵本の読み聞かせをしていました。
ほかの子ども達は座って絵本の読み聞かせを見ていたのですが、その周りをSくんがウロウロ歩いてます。
『もぉ~!Sくん!座ってっ!何度いったらわかるのっ!』と新卒2年目のFM先生が怒鳴ります。
(FM先生…。どうした…?去年は0歳児相手に手遊びするのも緊張してたじゃない…。酷い言いようではないか…)
Sくんとツヤ子の視線が合いました。
Sくんは絵本読みを聞いている子ども達や他の先生をかき分けるようにツヤ子の方にやってきました。
そしてツヤ子に抱きつき、しがみつきました。
『やっと、座った。ツヤ子先生、Sくん抱っこしておいてください』とB先生(←50代ベテランですが、無資格のパート)。
ツヤ子に抱きついているSくんを見て、
『全く!ツヤ子は甘いんだからっ!』と言わんばかりのFM先生の表情。
天才潰しが始まった…
ツヤ子が心配していたことが起きでいるようでした…。
ツヤ子は前回の記事で書いたように、Sくんは知的活動が実年齢に比べて高い感じがしていました。
大人達がよくする『赤ちゃんだから、適当にあしらえば大人の思う通りになるだろう』という考えで接するとSくんは納得できないだろうと思っていました。
この手の大人達は大抵こんな言い回しをします。
『〇〇しないなら、置いていくよ!』
『早くして!』
『〇〇しないと☓☓してはいけません!』
立場の弱い子どもに条件を与え、コントロールしよいとします。
そしてこのタイプの大人は『赤ちゃんは自分達より頭が悪い』と考えているのではないかと思うのです。
けれどツヤ子は『赤ちゃんは日々学んでいる存在であって、頭が悪いわけではない』と思うのです。
大人は赤ちゃん達の学びをサポートする存在なのではないかと思うのです。
Sくんのように抜群に学ぶスピードが速いタイプは大人都合の条件を与えられると、『何故そんな条件が必要なのか?』と、いうところに疑問を持つだろうなぁとツヤ子は思っていました。
と、なるとどうなるか…
『適当にあしらえない赤ちゃんは一部の大人から嫌われる』という現象が起きます。
そして『赤ちゃん適当にあしらう派閥』の大人達は天才肌の彼らを『しつけ』と称して自分達の支配下に置こうとかなり強引なことをし始めます。
出る杭は打たれる
どこの世界でもあることです。
大人は最悪、逃げることができます。
けれど赤ちゃんは…?
『泣くか、激しくイヤイヤするか、暴れるか、逃げ回る』しかありません。
そして『赤ちゃん適当にあしらう派閥』の方々は考えます。
このコ発達障害ではないか?
ツヤ子はSくんがこうなることを心配していました。
天才肌の世界を凡人が想像することは難しく、天才肌の創造する変化を凡人達はヒドくイヤがるものです。
Sくんの遊びがクラスの子ども達に流行る
クラス担任達も何もしていない訳ではありませんでした。
クラスの流れを工夫したり、遊びを工夫していたようでした。
けれど、担任達の想定の上をいくことをSくんはしてしまいます。
その面白さに他の子ども達はついていきます。
そして担任達は『いったいいつまでやってるのー!!』と怒るようでした。
『Sくんにみんなが引っ張られる』がお決まり文句となり、担任達は彼を疎ましくなっているようでした。
ツヤ子にはこのクラス運営の方向性が間違っているように見えました…。
だって、昨年担任のM先生は見事に子ども達の成長の連鎖を起こしていたからです。
クラスを立て直せるのか?
それは無理でしょう。
なぜなら、クラスを支配しているF先生が『赤ちゃんを適当にあしらう派閥』の方で、抑圧的保育士だからです。ましてやクラスは完璧なまでにブラックボックス化し、他者の意見が入る余地は全く無いようでした。
さてツヤ子はSくんの力になれるのか?
ちなみに、この辺りからツヤ子の体にはガンができていたようです。
次回に続く…!