同人誌即売会で小説のスケブをやってみたお話
同人誌即売会には「スケブ」文化というものが存在します。
これは、一般参加者さんがサークルさんのところにスケッチブックを持ち寄り、描いてほしいキャラクターをリクエスト。サークル主さんがリクエストに応じてそのキャラクターをスケッチブックに描いて依頼主さんにお渡しするというものです。
このスケブ文化、スケッチブックという単語から連想されるように、主に絵描きさんや漫画家さんのサークルさんが行うことが多いです。というか、私の周りの物書きさんでは、即売会中にリクエストを受け付けてプレゼントする、ということをしている人は聞いたことがありません、
でも、誰かに依頼されて作品を書くのって楽しそうだなーって思い、noteの記事を漁っていたところ、こちらの記事を見つけました。
どうやらこのサークル主さんは、絵描きさんがやっているようなスケブを小説で行っていたようです。
偶然にもこのような企画を見つけ、非常に面白い試みだなと思った私は、先日の即売会で試してみることにしました。
きっかけは、空き時間の解消のため
サークル参加されたことのある方ならなんとなくわかると思うんですけれど、ブースに人がひっきりなしに来るということは稀で、必ずどこかで空きが生まれる時間ができます(いわゆる壁サーのような例外もあります)。
たとえばコミケなら、開始直後の壁サーに人が集中する時間帯とか、人混みが落ち着いてくる即売会終了間際とか。ある時間帯になると、サークルの方も少し落ち着くタイミングが生まれるので、サークル参加している人はそこを見計らって本を買いに行ったり、知り合いのサークルさんへの挨拶をしたりします。
空き時間が生まれるということは、必然的に、手持ち無沙汰な時間が生まれてきます。そういうとき私は、買わせていただいた同人誌を読んだり、他の本を読んだり、売り子とお話したりしていました。
しかし、ある即売会でお隣さんが空き時間にタイプライターで小説を書いているのを見て、こういう時間の使い方もあるんだなぁと、新しい時間の有効活用の仕方を発見しました。
文フリとかに遊びに行くと、空き時間に小説書いてる人もちらほらみます。どうやら物書きの方の中には、空き時間を執筆時間に充てている方もいるようです。
そして転機となったのは、先月末にスマホと接続できるキーボードを購入したことです。
これにより、執筆の効率が高まっただけでなく、ノーパソでなくともあちこちにキーボードを持って行けるようになりました。しかも、スマホでの執筆なので、同人誌即売会の机に置いてもそこまでスペースを取りません。
かくして、即売会の時間を有効活用したかったこと、そのための道具が揃ったこと、なにより人からのリクエストを受けるのってかっこいいなと思ったことから、小説スケブという弊サークルの新しい試みに挑戦しました。
いざ、初実践!
初めて小説スケブを実施した場は、「レインボーフレーバー31(以下、レイフレ)」という、プリキュアのオンリーイベントでした。このイベントは年々規模が拡大しているイベントで、次回申込参加はすでに200スペースを超えているそうです。
この企画をTwitterで告知した際、フォロワーさんの方からは「面白そう」というコメント等々をいただきました。
一方で私には不安がありました。それは、実際にリクエストがきたときに、きちんと小説を書けるのかということ。
私は普段、音楽を聴きながら小説を書いています(今も音楽を流しています)。
しかし、即売会では来てくださった方への対応もあるので、イヤホンをしながらの執筆はできません。
加えて即売会はざわざわしており、いつもと違う環境の中で執筆ができるか、前日は結構不安で友達に練習にも付き合ってもらいました笑。
期待と不安を胸に抱きながら始まったレイフレ。しばらくするとフォロワーさんの方が弊スペースを訪れてくださり、小説スケブの方を依頼してくださいました!
嬉しい! というのが率直な感想でしたね。今回は百合カップリングのみの受付でしたが、イチャイチャする二人が見たいということで、張り切って書かせていただきました。
最初はどのような場面にするか、オチをどうもっていくかということであれこれ悩んだりもしたのですが、一度閃くとそこからはスラスラと書くことができました。かかった時間は、1000文字でだいたい40分ほどでしょうか。
無事、TwitterのDM経由でフォロワーさんに送ることができ、喜んでいただけました。
そして撤収時にフォロワーさんに挨拶したときにも依頼をいただき、おうちに持ち帰らせてもらうことに。2日後にそちらの作品も無事納品することができました。
小説スケブは大変だけど楽しい!
今回初めての試みとなった小説スケブでしたが、新鮮な取り組みでとても楽しかったです。
依頼者からお題を出され、それに対して比較的短くまとめ、短時間で応えるという流れは、Twitterの創作コミュニティで行われている「ワンドロ(1時間でお題に沿った作品を作る企画)」に通ずることもあります。ですので、自分で時間を決められる普段の創作活動と比較をすると、瞬発力が求められるといえます。
私は過去にワンドロにも参加させていただいたり、普段から掌編小説を主に書いているので、自分で言うのもなんなのですが、瞬発力には比較的自信がある方でした。なので、小説スケブで完成させられるかなという不安は比較的小さかったように思います(普段と違う環境でかけるかという不安はめちゃくちゃありましたが……笑)。
というわけで、初めて取り組んでみて楽しかった企画でしたが、今後の即売会(冬コミ)でも受け付けたいと思います。今回は百合カップリングのみでしたが、今後は受け付ける範囲をより広げられたらいいなと考え中です。より速く書けるよう、次回までにキーボード打ちの鍛錬をしておきたいですね。
最後に、今回書かせていただいた小説スケブの作品を公開して、筆を置きたいと思います(依頼者からは公開許可をもらっています)。
ひとつ目の作品。dpprのyiとrnがイチャイチャしてるお話のリクエストをいただきました(ちょっとえっちなので注意)
ふたつ目はstirの小説。相合傘がテーマでした。百合カプのみ受け付けていましたが、書いたことのあるカプだったので受けてみました。