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現役生活に区切りをつけて一年

現役生活に区切りをつけて、母校の早稲田大学レスリング部コーチとしてレスリングに携わることになり、ちょうど一年が経ちました。この一年、レスリングに少し距離を置いた視点から向き合うことで、改めてこのスポーツの過酷さと魅力を感じる日々でした。

2024年天皇杯を終えて

ハードなスポーツ「レスリング」

振り返ってみると、「よくこんなきついスポーツをやっていたな」と感じます。現役時代は、それでもレスリングを楽しいと思いながら打ち込むことができ、全力を出し切れました。しかし、一歩引いて見ると、減量や過密な試合スケジュールなど、レスリングは非常にハードな競技です。その過酷さを乗り越えてマットに立ち続ける選手たちには、心から敬意を払いたいと思います。

準備がすべてを決める

レスリングの勝敗は、実力だけでなく「準備」の質によっても大きく左右されます。一年間を通して数多くの試合がある中で、コンディション調整や減量、技術練習、試合のシミュレーションといった多方面の準備が必要です。

たとえば、減量はただ体重を落とせば良いわけではありません。自分に合った階級選択と、試合当日に最高のパフォーマンスを発揮できるよう計画的に行う必要があります。また、対戦相手や試合で起こりうる状況を想定し、その対処法を繰り返し練習することが勝利への鍵となります。

現役時代、私は大きな試合の前には対戦相手の映像を何度も見返し、彼らの癖や動きを徹底的に研究していました。この「準備」の積み重ねこそが、最終的な順位に反映されると実感しています。

勝つ選手の特徴

勝ち続ける選手にはいくつかの共通点があります。まず、自分自身を分析する力が優れている点です。自分の得意な技や勝ちパターンを把握し、それを試合で最大限に活かすことが上手です。

さらに、強い選手ほど失敗を繰り返さない傾向があります。一度ミスをしたら、その原因を徹底的に探り、改善する能力が高いのです。このように自己分析力と修正力を持つ選手は、確実に強くなっていきます。

天皇杯で感じたこと

1. 攻撃力の重要性

今回の天皇杯を観戦して、レスリングの「攻撃力」が勝敗を分ける重要な要素であると改めて感じました。テイクダウンや追加点を確実に取る技術、さらには4点技のような大技を持つ選手が目立ちました。特に、力の出し方に緩急をつけ、瞬時に最大のパワーを発揮する選手が多かったです。これは言葉で教わるものではなく、日々の練習の中で体得していく感覚的なスキルだと思います。

私自身、現役時代にはこの「緩急」を意識してトレーニングに取り組みました。たとえば、試合中のスパートを想定し、一気に動く練習を繰り返すことで試合での爆発力を磨いていました。

2. 高校生のレベルアップ

今回の天皇杯では、グレコローマンレスリングで高校生が初めて明治杯と天皇杯優勝を果たしました。その選手だけでなく、表彰台に立つ高校生やメダルには届かなかったものの技術やフィジカルでシニアに匹敵する選手も多く見られました。

選手たちは自分自身でインターネットなどを活用して高い技術や知識を吸収し、それを練習に活かし取り組んでいると思われます。このような新しい学び方が、若い世代の選手たちの急成長につながっているのではないかと感じました。

3. 大会運営の進化

天皇杯の運営にも新しい試みが見られました。決勝戦のライトアップ演出やBGM、オリンピアンによる実況、マット脇の特別席など、観客を意識した工夫が多く見られました。これらの取り組みが、レスリングをもっと多くの人に楽しんでもらうための第一歩となることを願っています。

ただし、選手と観客が同じ座席に座る自由席のシステムには賛否が分かれるかもしれません。選手にとっては試合前の集中を保つ時間でもあるため、プライバシーやセキュリティの観点から改善の余地があるように感じます。
試合中のBGMも音量や選曲を見直す必要があると思いました。

未来への期待

2024年パリオリンピックが終わり、天皇杯では4年後のロサンゼルスオリンピックへ向けた新たな戦いが始まりました。この4年間でどの選手がさらに成長し、夢を叶えるのか、とても楽しみです。

レスリングをもっと多くの人に知ってもらい、応援してもらうためには、大会を一般の方でも楽しめるイベントに変えていく必要があります。たとえば、土日のみ開催の拡充や、試合以外のファンイベントの開催など、新しい取り組みが期待されます。

私自身、現役を退いた今もレスリングが大好きです。そして、このスポーツの魅力を広めるために、コーチやアドバイザーとしてできることを続けていきたいと思います。

現役生活に一区切りをつけて1年。レスリングを客観的に見ることで、競技の奥深さや選手たちの努力に改めて感動しています。これからもレスリング界を応援し続けながら、私にできる形で競技の発展に貢献していきたいと思います。

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