魂のパンと清水のパン
実家の両親は割と倹約家です。
ケチではないと思います。旅行とか使うとこにはポーンと使うので。
日常的な消耗品に関しては値段重視です。
父は退職してからジム通いをするようになりました。
年寄りは健康に投資しなければ!と言ってせっせとジムに通いテニスを習い始め、ラリーが続かない!と嘆く60代後半。
まぁまぁ元気です。
父はジムの帰りにド◯キに寄り、朝ごはん用の安売りのパンを買うのが日課です。
食パンだったり、菓子パンだったり。
信じられないくらい安く買えるので、買うつもりがなくてもついつい値段に釣られて買ってしまうのだそうです。
そんなパンのことを、魂のパン(安さに魂を売ってつい買ってしまうパン)と呼んでいます。
ここ数年高級食パンブームですよね。
食パン専門店に限らずパン屋さんのパンって本当に美味しいですよね。
あのパン屋さんの焼き立てのバターの香りを嗅いでしまったらもう抗えないというか、吸い寄せられてしまうんですよね。
でもパン専門店のパン1個ってド◯キの安売りパン何個買えるんだろうって値段です。なので、
くっ…あぁ…!食べたい…っ!でもお値段が…!
でも食べたい…!あぁ…買っちゃえ!
って思いながら買うパンのことを清水のパン(清水の舞台から飛び降りるかのような勇気を出して買うパン)と呼んでます。
父がそう呼び始めたのですが、正直アホみたいなパンの総称だと思います。
でもこれが不思議なことに呼び慣れてくるもんなんです。
夫は最初、「はい、清水のパン」と言って私がパンを差し出すので、店名が「清水」という店のパンだと思ったようです。
違うよ。買う時のメンタルのことだよ。
実家に立ち寄る際に清水のパン(と言っても800円くらいの食パン一斤)を手土産に帰れば父のテンションは爆上がります。
母もパンが好きなので喜びます。
歳を重ねるごとに気難しい面が色濃くなってきた父ですが、好き嫌いがはっきりしている分、手土産や贈り物に迷わなくていいのは助かります。
もはや何かを頼みたい時は清水のパンさえ持参すれば聞いてもらえると思っていますし、何か機嫌を損ねても清水のパンやっとけばええやろくらいになってきてます。言えないけど。
そんな訳でここ数年、母の日は父の日も兼ねてネットで注文した高級パンを送っています。
普段の清水のパンに比べたらもはや清水どころじゃないです。未曾有のパン?
夫の実家もパン好きなので同じく清水のパン。
本当はお花を贈るべきなんでしょうがお花を贈ること自体に私が飽きてしまって、最近は食べ物系ばかり贈っています。
喜ばれてるからいいや。いいよね?
高級食パンブームには是非ともまだ続いてもらいたいです。
もはや清水のパンは賄賂。