第12回「20-21アーセナル選手名鑑CB編」
さて、今回は「20-21アーセナル選手名鑑CB編」を書きたいと思います。皆さんご存知の通り、アーセナルはCBが飽和状態であるため、字数的に、いつもの導入は今日はスキップでいきます。
【CB】
#4 William Saliba(ウィリアム・サリバ)
フランスU-20代表 前所属:サンテティエンヌ 19歳
2019年夏加入した将来フランスを背負うであろう逸材CB。昨季は古巣サンテティエンヌにローンに出していた彼はリーグ・アンで既に28試合出場している。193㎝という身長には似つかない、前に強い系CBではなく、スピードを生かしたカバーを得意とする頭脳派である。移籍金2700万£(=36億円)という数字が物語るようにアーセナルは今後10年のCBを彼に賭けているのだ。早速ガブリエルと最強タッグを組ませるのかと思いきや、プライベートの問題(家族の不幸)により、プレーを含め、メンタルが安定しないようでトップチームではなく、PL2が主戦場になっている。
移籍時にお隣スパーズからもオファーがあったそうだが彼が残したコメントは以下である。
“The history, the badge... since I was little, I've been watching Arsenal play. There are a lot of French players who have come through here. So that really helped me to make my mind up. This is the biggest club in England for me.”
「とにかく、歴史、何よりこのバッジですよ。小さいときからアーセナルを見てきたし、たくさんのフランスの先輩がここでプレーしたしね。それがオレの決断をプッシュしてくれたのさ。オレにとっちゃ、ここがイギリスNo.1だ。」
はい、もう逸材確定。そのマインドさえあれば、なんだってできる。そうですよね。
フランスU21でもサンテティエンヌアカデミーでもキャプテンを経験済みということで、アーセナルOBで同胞の元キャプテンCBコシェルニーを超えてほしいですね。
#5 Sokratis Papastathopoulos(ソクラティス・パパスタソプーロス)
ギリシャ代表 前所属:ボルシア・ドルトムント 32歳
「戦士」「グラディエーター」という愛称がどんぴしゃすぎる選手は彼以外にいないでしょう。あれだけ闘志を剥き出しにファイトできる選手はアーセナルには久しくいませんでした。スピード、パワーと加入当時からすぐにPLレベルにアジャストできた選手です。しかしながら、足元のスキルが求められる現代サッカーではなかなか苦戦しているようです。守備レベルは非常に高いために、エメリ時代、アルテタ初期時代では右RSBを務めていました。(攻撃センスには目を瞑りながら、、)
今季はまさかのHG(ホームグロウン)選手登録の問題からPL、ELのスカッドから外れた。アルテタ監督もシーズン前に通告し、フラム等のPLからのオファーがあったものの、ソクラティスは移籍ではなくアーセナルでポジション奪取の決断をしました。
ちなみに、‘14WCでゴールを決めた彼は、史上最長の苗字を持つ選手として記録に残っています。ロッカールームでは、母語がギリシャ語のため、特定の仲良しはおらず、元ブンデスということからドイツ勢(+ジャカ)と仲が良いそうです。
#6 Gabriel Magalhães(ガブリエル・マガリャンイス)
ブラジルU23代表 前所属:リール 22歳
今季、ロースロンドンに舞い降りた、復権へのラストピース。彼は、現代サッカーにおいて希少性が高い左利きCBだ。(なぜ、有利なのか別回で紹介します。)若くして欧州に渡り、アーセナルが4クラブ目である。特筆すべきは、スピードと対人の強さである。アーセナルの代名詞「貧弱な」というイメージを払しょくするかのようなデュエルやエアバトルでの勝率を誇る。相手FWに前を向かせない守備、シュートブロックと言いこれまでのパフォーマンスはほぼパーフェクトと言っても過言でない。
今季加入にもかかわらずクラブのPlayer of the Month(月間最優秀選手賞)を9月、10月と連続で受賞した。フラム戦でのヘディングゴールをみるように、セットプレーでもキーマンになりうる存在である。近年ブラジル人選手が非常にロッカールームでも存在感を増しているため、チーム内での居心地は良さそうに見えることも好材料だ。敢えて欠点を挙げるのであれば、言葉の問題でしょう。アルテタ監督やエドゥSD曰く「補強条件の1つとして環境適応力」も考慮しているようなので、解決も時間の問題であろう。
#16 Rob Holding(ロブ・ホールディング)
元イングランドU21代表 前所属:ボルトン・ワンダラーズ 25歳
将来を嘱望され加入してから4年の年月が経った。18-19シーズンには前エメリ監督が3バックを採用したことから、RCBとして空中戦、地上戦の強さに加えて、勇気ある縦パスにより局面を動かせる選手として、キーマンとして定着したが、12月vsマンチェスター・ユナイテッドにおいて前十字靭帯断裂の大怪我を負い、戦列を離れることになる。
昨年9月にようやく復帰し、その試合ではキャプテンマークを巻くシーンもあり、将来的にはアーセナルの守備の柱になりうる存在である。アルテタ監督就任に伴い、出番を減らしたが、今季の20-21シーズンは3バックと4バックの併用でも起用され続け、信頼されている証拠である。
怪我から復帰してからまず目に留まったのが、前髪が後退している点である。ある意味、ホールディング自身が前進しているから、そう見えると捉えることもできるため、良しとしよう。特にカラム・チェンバースと仲が良く、オフでも一緒にトレーニングしているストーリーが掲載される。
#20 Shkodran Mustafi(シュコドラン・ムスタフィ)
元ドイツ代表 前所属:バレンシア 28歳
‘14WC優勝した経験を持つ、ムスタフィ。興味深いことにドイツ人であるものの、ブンデスリーガで1度もプレーしたことがなく、イングランド、イタリア、スペインと渡り歩いてきた。バレンシア時代は、オタメンディとペアを組み、メスタージャを要塞にした。CBとして求められる守備力は高く、意外と長いボールも正確である。(クロスは。。。)しかしながら、失点に繋がる決定的なミスが散見されることで戦犯になりやすい、可哀想な人物である。
アルテタ監督が就任し、2020年冬以降DFラインを低く設定したため、3バックの一角として、プレーに余裕が持てるようになった。残念ながら、FA杯準決勝vsマン・シティでハムストリングを負傷してしまい手術を行った。昨季の後半戦に関して言えば、リーグ戦におけるスタッツはCBの中でNo.1だったという記録もある。契約満了が迫っているが、ムスタフィサイドから契約更新拒否の噂もあり、このまま干される可能性もある。
#21 Calum Chambers(カラム・チェンバース)
元イングランド代表 前所属:サウサンプトン 25歳
10代でPLデビューし、育成の定評のあるサウサンプトンから19歳の時に獲得した。17-18シーズンはミドルズブラ、18-19シーズンにはフラムにシーズンローンで移籍した。(ちなみにローン先2チームで降格)18-19シーズンは本来のCBではなく、DMF,CMFとして活躍し、フラムは降格したものの、サポーターが選ぶPlayer of the Seasonを受賞した。ローン移籍の選手が獲得することは大変珍しく、得票率は約50%であり、次点のCFミトロヴィッチ(セルビア代表)は約15%だった。
翌シーズンにアーセナルへ帰還したチェンバースは、守備のマルチロールとしてCMF,DMF,RSB,CBとして重宝された。しかしながら、これからという2019年12月末のvsチェルシーで彼もまた左膝前十字靭帯断裂の怪我を経験していおり、ようやくフルトレーニングには復帰したもののPLでは起用されておらず、PL2(U-21 PL)の試合に出場している。公私共に、ロブ・ホールディングと仲良しであり、リハビリ、オフ共に過ごしている。
私事で恐縮ですが、僕が、フラムにローン中にフラムvsチェルシーのWestLondonDerbyを見に行った際にはフラムの同点ゴールを決め、試合後のファンサービスでツーショット&サインをもらいました。
少し話したのですが、「You deserve the Arsenal. We are waiting for you at the Emirates. Plz come back.」と言葉をかけると、
とびっきりの笑顔で「Yeah of course I do. Do my best. Thanks for supporting me.」と答えてくれました。最高の思い出であり、その時から推しの選手の1人です。
#22 Pablo Mari(パブロ・マリ)
スペイン人 前所属:フラメンゴ27歳
パブロ・マリは大変奇妙な経歴をもつ、アルテタが熱望した「左利きCB」であり貴重な戦力である。マンシティからスカウトされたが、マンシティお得意のレンタル地獄でスペインやオランダを渡り歩いた。19-20にはフラメンゴCR(ブラジル)に辿り着き、そこで「左利きCB」として重宝され、すぐに主力に定着し、CBロドリゴ・カイオ(ブラジル代表)と強固なDFラインを結成した。その年のCopa Libertadores de America(コパ・リベルタドーレス杯)で優勝し、スペイン人初の同タイトル獲得選手となった。
CWCを経験した後に、アルテタ監督が熱望したことにより、買取OP付ローンで20年冬に獲得した。コロナ中断前に出場全3試合でクリーンシート(無失点)を記録し、不安定な守備陣の新たな柱になるかと思った矢先、足首靱帯損傷により手術で、現在フルトレーニングに向けてリハビリ中である。スペイン人ですが、フラメンゴが前所属ということで、南米出身選手らと仲が良く、ガブリエル・マルティネッリと一緒にリハビリする姿がよく見られます。「左利きCB」のライバルとしてガブリエル・マガリャンイスが新加入で来たため、厳しいポジション争いが予想される。また、PLも3試合で怪我したため、プレー強度に耐えれるのか、強靭なCFとのエアバトルに勝てるのかという懸念点も存在する。
#23 David Luiz(ダビ・ルイス)
元ブラジル代表 前所属:チェルシー 33歳
ライバルクラブでCL優勝、PL優勝等主要タイトルを獲得しつくした、ダビ・ルイス。元ライバルかつ30歳を超えての加入だったことからも、獲得には怪奇的な目が向けられた。しかしその疑問はすぐに解消した。DFラインのリーダーとして君臨したことに加えて、ロッカールームでも誰もが彼の言葉に耳を傾ける。4バックではCBが2人しかおらず、ダビ・ルイスが守るべきゾーンが広すぎるため、3バックに変更したほどだ。3バックの真ん中でコントロールタワーとして、得意のロングボールで相手のDFとGKの間に送る「タッチダウン・パス」やサイドへ一発で展開するロブパスを駆使している。豊富な経験から裏打ちされたコーチングやインターセプションもさえわたっている。
一方、DFとして大事なスピードがPL水準を下回っており、背後に広大なスペースがある被カウンターの際は、一気に大ピンチに陥る。また、数試合に1度は集中力を欠き、決定的なピンチを創出してしまうために、素直に最大の賛辞を送れないのが残念である。今季は負傷離脱してしまい、同時にガブリエル・マガリャンイス、ホールディングが安定しているために、出遅れてしまった感があるが、彼の経験は非常に貴重であり、勝利のメンタリティを若手に伝える役割も期待したい。