第33回「20-21アーセナル選手名鑑~MF編②~」
こんちゃ!どうも、いったーです。
今回は、「20-21アーセナル選手名鑑~MF編②~」を書いていきます。
先日、Carabao Cup準決勝が開催されましたね。指定暴力団“スパーズ”が2部の魅惑のクラブ、ブレントフォードを2-0で退けました。アーセナルアカデミー出身のMFジョシュ・ダシルバが退場してしまい、ゲームセット。
他方の準決勝は、マンチェスターダービーでした。コロナウイルスの影響もありながらもCF勢不在のマン・シティが、マン・ユナイテッドを2-0で快勝しました。憎きスパーズは07-08のリーグ杯以来のタイトル、マン・シティはリーグ杯近年5回中4回優勝(3連覇中)で、4連覇を目指します。
アウディカップを制し、ムサ・シソコが大喜びしていたことが懐かしいです。Carabao Cup優勝することで無冠のアイデンティティを消失させないでほしいですね、、、
【MF編②】
#18 Thomas Partey (トーマス・パーティ)
#24 Reiss Nelson (リース・ネルソン)
#25 Mo Elneny (モハメド・エルネニー)
#28 Joseph Willock(ジョー・ウィロック)
#32 Emile Smith-Rowe(エミール・スミス=ロウ)
#34 Granit Xhaka (グラニト・ジャカ)
#18 Thomas Partey (トーマス・パーティ)
ガーナ代表 前所属:アトレティコ・マドリード 27歳
10月5日、アトレティコ・マドリーから契約解除金5000万€(62億円)を支払い獲得した大型MFです。アーセナルは元主将パトリック・ヴィエラ(元フランス代表)が去って以来約15年間待ち焦がれていた大型MFの獲得にノースロンドンは沸きに沸きました。
トーマス・パーティ自身もグーナーであることを公言しており、アーセナル移籍に前向きなコメントを出していたことからも移籍確実となっていました。しかし、アーセナルの補強に充てる予算がごく僅かであったことに加え、A・マドリーも生え抜きであり、かつチームの心臓であるトーマス・パーティの移籍は断固拒否の姿勢を取り続けました。10月にもなり一向に移籍発表がないままデッドラインデイが近づき、誰もがアーセナルはたターゲットを変更したのだと、諦めていましたが、まさかの契約解除金を満額払ってのいわば“強奪”で獲得し、アーセナルの今季に懸ける意気込みを見せつけました。
ポジションはCMF/DMFがメインではありますが、17-18 EL準決勝アーセナルvs A・マドリ―では前半早々退場者を出した試合ではRSBにポジションチェンジした際には、ほぼパーフェクトのプレーでした。ボール奪取、ショートパス、ロングパス、ドリブル、認知、フィジカル能力、CMFで必要とされる能力は水準以上で、現代的な闘える選手です。ボール奪取からのドライブ(=ドリブルでスペースにボールを進めること)は特筆するものがあり、昨季ラ・リーガではドリブル成功回数57回で成功率は89%(欧州所属の選手ではドリブル50回以上成功の選手のうち成功率はトップ)というCMFとしては異常ともいえる数値を叩き出しました。
PLでは攻守の切り替え、球際でのバトルが激しく、ドライブでボールを前進させることが出来る能力は非常に、大きな武器になるでしょう。
8節vsアストン・ビラで負傷した左太腿の怪我が長引き、2020年内絶望というリリースでしたが12月初旬の10節vsスパーズで電撃復帰を果たしました。不運にもその試合で同箇所の怪我が悪化し、前半で負傷交代となりました。2021年になり、フルトレーニングに参加しているという情報が入っていますが、筋肉系の怪我ということもあり、段階を踏みながら、完治するまではトレーニングで調整し、最高のコンディションで帰還して欲しいです。
#24 Reiss Nelson (リース・ネルソン)
U21イングランド代表 アカデミー出身 21歳
アカデミーに9歳で加入したリース・ネルソンはアーセン・ヴェンゲル前監督に見込まれ17歳でトップデビューしました。RWG/LWG/OMFがメインポジションとなります。
ヴェンゲル前監督はアタッカーを以下の2つの種類に分類します。
①ボールを受けてオン・ザ・ボールで活躍できる選手
②オフ・ザ・ボールに最大の魅力がある選手です。
リース・ネルソンは前者のオン・ザ・ボールで活躍できる選手です。小刻みにステップを踏みながら、ボールスキルを活かしたドリブルは一見の価値があり、相手DFを置き去りにするスピードがあります。利き足の右足に偏ったボールタッチでは無いために、相手 DFからするとどちらのサイドを切ればよいか、惑わせ、的を絞らせないようなドリブルが得意です。
現代的な選手らしく攻撃だけではなく守備でも貢献しようとする気質が見られ、特にスピードを活かした激しいプレッシングで相手ビルドアップを制限します。昨季36節vsリバプール(1-2)でも得意のプレスからチーム2点目となるゴールを決め、勝利に貢献しました。
トップデビューからはPL2(ユースプレミアリーグ)が主戦場でしたが、18-19シーズンにはブンデスリーガ新進気鋭のユリアン・ナーゲルスマン監督の元にレンタルされました。そのシーズンは開幕7試合6ゴールと爆発し、年間最優秀新人賞にノミネートされ、翌年満を持してアーセナルに戻りました。
それからは、ELやカップ戦を中心に出場数を伸ばしていますが、細かな怪我が多く継続的な活躍を見せているとは言い難い状況です。今季は同年代のOMFスミス=ロウ、RSHブカヨ・サカ、LWGマルティネッリが主力級の活躍を見せており、爆発しきれないRWGネルソンと親友CMFウィロック共に刺激を受けているはずです。特にエジルの退団が濃厚でOMFの控えの存在が必要です。RWGが本職ながらOMFを任されることが多いRWGウィリアンと熾烈なポジション争いが待ち受けていますが、彼の特大のポテンシャルを発揮すれば、継続的にPLでも出場出来るでしょう。
#25 Mo Elneny (モハメド・エルネニー)
エジプト代表 前所属:ベシクタシュ(ローン移籍) 28歳
PLの真なるEgyptian KINGはモハメド・エルネニーであることは、知っておくべき事実です。ヴェンゲル前監督がスイスのバーゼルから引き抜いたCMFですが、未だにポテンシャルを最大限発揮したとは言い難いです。昨季はエメリ前監督の構想外となり、片道切符のレンタル移籍とグーナーではみなされていました。しかし彼の状況が一変したのが元同僚のアルテタ監督の就任です。
"Obviously I played with him so I know his qualities and who he is as a person, and what he brings to the squad. I like players that have zero ego, who play for the team, who want to contribute regardless of what it is, whether that's one minute or 96 minutes or just by being there and giving positive feedback all the time.
「現役時代に共にプレーしていたから、彼のプレー面のクオリティ、人となり、そしてチームに何をもたらしてくれるのかも知っている。全くエゴがなく、チームのためにプレーし、1分でも96分でも全力を尽くしてくれる。試合に出場できなくてもポジティブなアクションができて、どのような形でもチームに貢献したいと思っている選手だ。それこそが私の好きな選手だよ」
"He contributes to our culture and is a person who admired by everyone at the football club. And now I think his qualities he's showing as a footballer, I always believed he had them."
「彼はアーセナルのカルチャーに貢献していて、クラブのみんなから尊敬されている。そして、彼がサッカー選手として示しているクオリティも、彼が以前から持っているものだと私は信じていたよ」
と残しているように、絶大なる信頼を取り戻し、チームを救う働きを見せています。
第7節vsマン・ユナイテッド(1-0)でのゲームでは生まれ変わったCMFエルネニーの姿を見ることが出来ました。これまでは、DFからパスを引き出しても縦パスではなく、横パス、バックパスが多く、消極的な姿勢でした。また、強いプレッシングを受ければたちまちプレーの選択やパスの精度が落ちてしまい、ボールを運ぶ際にはブレーキの様な存在でした。また、彼の長所である豊富な運動量は、適切なポジショニングではないための“無駄走り”のようにもみえました。
しかし、アルテタ監督が就任してからビルドアップのルートが確立され、予め選択肢を提示された状況で、自分がすべきプレーをクリアになりました。よって、ビッグマッチでも的確なプレーを表現し、エネルギッシュ溢れるプレーを披露したことで、新生アーセナルの核の存在になったと言えるでしょう。
#28 Joseph Willock(ジョー・ウィロック)
U21イングランド代表 アカデミー出身 21歳
生粋のグーナーである彼は5歳の頃からアカデミーに所属しており、将来を嘱望されている期待のCMFの1人です。リース・ネルソンとは同い年であり、アカデミー出身ということから公私ともに、仲が良く、互いにアーセナルで大成して欲しい限りです。彼がPLで存在感を発揮し始めたのは19-20シーズンであり、それはちょうど、アーセナルMFのシンボルであった#8アーロン・ラムジー(現ユベントス)が移籍した翌年であったことからラムジーの後継者として注目されました。
MFにしては得点能力が高く、昨季アーセナル公式戦において5得点を挙げており、MF陣の中では最多のゴールを記録しています。スペースに運ぶドライブも得意としており、カウンターの応酬になった際には存在感が際立ちます。また、アーセナルアカデミー出身者らしく、随所のプレーでセンスを光らせています。
一方で、器用貧乏のような印象もあり、特に、PLではOMFがメインであり相手を押し込んだ際では、サイドに流れすぎるプレーが多く迷子でした。アカデミー出身ということからもアーセナルで大成して欲しい人材なため、一貫したポジションで辛抱強く起用することが彼の才能開花につながると信じています。
#32 Emile Smith-Rowe(エミール・スミス=ロウ)
U21イングランド代表 アカデミー出身 通称:ESR 20歳
「彼はアカデミー最高傑作であり、あのジャック・ウィルシャーを超える才能だ。」 byアカデミー責任者:ヨンク
これはアカデミー責任者を長く務めているヨンク氏が残した言葉です。18-19のプレシーズンにてアーセナルトップチームでデビューし、そのICC(インタナショナルチャンピオンズカップ)にてアーセナル初ゴールを記録しました。また同年ELでは公式戦初ゴールを記録し、2000年以降生まれでの初ゴールかつアーセナル歴代最年少ゴールを記録しました。
彼の憧れはアーセナル所属(2021/01/08現在)の #10メスト・エジル です。彼のスペースへの飛び出し方、身体の向き、アカデミーらしくパス&ムーブの徹底、ボールスキルとグーナーが求める選手像が具現化されたプレーをします。スミス=ロウの憧れエジルもvsチェルシー以降のプレーを絶賛しました。エジル自身のSNSで
“Team looks good with a No.10 like Emile Smith Rowe−the difference maker.”
「10番タイプのスミス=ロウが違いを生んでいて、チームはいい状態だね」
とコメントを残しています。現代サッカー最後のトップ下かもしれないエジルから賞賛を受けたスミス=ロウなら沈みきったアーセナルを本来あるべき姿に導いてくれるかもしれません。そのためにもコンスタントに結果を残す必要があります。
20-21シーズンは憧れのトップ下エジルが今冬にも放出候補であり、代役がいない状態です。スミス=ロウの若さからすると後半戦もここ3試合同様に安定して大車輪の活躍を見せてくれるかどうかは未知数です。しかしながら、若手の身分の時でも信頼し、起用するのがアーセナルの伝統でもあります。だって#4セスク・ファブレガス(現モナコ)は18歳の頃から全盛期のアーセナルで活躍していますから。
現代フットボールが変遷してもアーセナルは4-2-3-1という少しばかり前時代的なフォーメーションを使用するのも未来を背負うスミス=ロウの存在があってからこそです。今後の彼の成長はアーセナルの上位進出と比例関係にあるといっても過言ではないでしょう。
#34 Granit Xhaka (グラニト・ジャカ)
スイス代表 前所属:ボルシアMG 28歳
彼は血の気の多いファイターであると同時に、ビルドアップの出口にもなる、アーセナルにとって欠かせない存在です。
血気盛んな性格から昨季vsクリスタルパレスでは、交代時にホームサポーターから大ブーイングを受けた際に、観客を煽り、ユニフォームを投げ捨て、キャプテン降格処分を受け退団報道まで出ました。また今季vsバーンリーでは報復行為での1発退場で、チームに迷惑をかけたこともあり不要論が噴出したこともあります。
一方でチームメイトが悪質なファールを受けた時や理不尽な判定を受けた時には真っ先に審判に詰め寄り、チームメイトを擁護する姿は頼もしく、心強い存在であることは間違いありません。特に18-19シーズン29節ノースロンドンダービーでCFオーバメヤンが後半アディショナルタイムにPKを失敗した際には、Instagramですぐさま反応し、励ます言葉を発信しました。
プレー面では、瞬間的なスピードや豊富な運動量は持ち合わせていませんが、高性能のキック精度を誇る左脚は、リーグトップクラスです。ロングレンジのパスやシュートにも定評があり、距離を変えるパス、一気に局面を進める際に際立ちます。ビルドアップの際にはセンターに留まることが今季は多い印象です。CMFの相方によってはCBの左側に落ちてボールを運ぶ事もあります。ここ数試合は苦手であったスペースを見つけてドリブルで運ぶことが出来ているため成長が見えます。
アーセナルに加入前や加入直後にはレイトタックル、危険なタックルで退場することもありましたが、プレミアリーグ特有のプレーテンポにも慣れた近年は、不用意なタックルも少なくなり、よりクリーンな選手に変化を遂げました。※あっさりとトリックスターのドリブラーにはぶち抜かれます。リーダー気質もあり、アルテタ監督からも信頼を獲得していることからも、今後も中心選手として活躍していくと考えます。
それではこのへんで、、、
ばいころまる~