【ショートショート】 放課後
三階の校舎からグラウンが見える
開け放たれた窓から
秋を感じさせる少し冷たい風が吹きぬけていく
運動部の生徒たちが走り回ってる
その様子を眺めながら
私は彼を見つめていた
「私を見つけたら手を振ってね」
付き合い始めた時に一方的に交わした約束
照れ臭いから無理だと言った彼に
「じゃあ、いいよ」
私はむくれながら口を尖らせた
手を振ってくれないのは寂しいな…
そんな事を考えていたら
不意に彼がこっちを見て
照れくさそうに小さく手をふるのが見えた
その瞬間
私の心臓が波打って
嬉しくて口元が緩む
つい大きく手を振り返した
想い出の放課後
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