鬼灯(ほおずき)と桔梗【釜滝薬師金剛寺】
お薬師さまにお礼を申し上げたいことがあり、久々に紀美野町(和歌山県)の釜滝薬師金剛寺へ参拝しました。
釜滝薬師金剛寺は「高野長峰(こうやながみね)霊場」第五番札所。
五十年に一度ご開帳される薬師如来さまは目の病に霊験あらたか、ひとの運命の変わり目にもお力を貸していただける仏さまです。
もったりと湿度の高かった真昼、参拝者は私ひとりだけ。
手水舎にはガラスの風鈴がいくつも吊られ、風が吹くたび透明な音の重なりが涼やかでした。
この日はお地蔵様の縁日でもあったため、可愛いお地蔵様のお飾りも。
心づくしの生け花と共に楽しませていただきました。
境内のお地蔵様はなで肩で、素朴なお顔をしておられます。彫りがなめらかなのは、もうずいぶん長い年月、ここでひとを見守っておられるからでしょうか。
「暑い中、よう来たねえ」
と、ほのぼの労わってくださるようなお地蔵様です。
本堂のお薬師さまにお参りをして、いくつかの大きな気付きのお礼を申し上げた後、授与所で御朱印をいただきました。
ふと見れば、授与所の向かいには「鬼灯(ほおずき)」と「桔梗」が。
どちらも秋の季語、落ち着いた朱と紫の取り合わせに季節の移ろいを感じました。
いただいた8月の御朱印も鬼灯。思いがけなく秋を先取りした参拝となりました。
ここしばらく、お仕事での記事の企画が通らず、別の道を模索したりもして、さまざまな変化を体験した日々でした。
本当に自分が求めるものは報酬なのか、良いものを書くことなのか、そもそも何を書きたいのか、良いものとは何なのか、堂々巡りをしていたように思います。
そんな中、前回のお薬師さまへの参拝で、すっかり見えなくなっていた「本来、目指していたもの」に気付き、初心に立ち返ることができました。
私にとってこの八月は潮の変わり目になっており、お薬師さまがお力を貸してくださったのかもしれません。
また地道にこつこつと頑張ってゆきたいと思います。