福ちゃんと島ちゃんの故郷を訪ねる旅~飯舘村へ出発①~
「突然だけれど、福ちゃんと島ちゃんの故郷(飯舘村)を訪ねる旅に都合があえば一緒にどうかなと思って。」丁寧な文章とともに送られてきた1通のメッセンジャー。山梨で蕎麦屋をしている名取さん。通称アニキ。
アニキとは数年前、ぶどう農家のみうらやファームさんをお手伝いしていた時、三浦さん夫妻に2度程アニキのお店へ連れていって貰ったのがご縁。美味しいお蕎麦ですぐ大好きになった。三浦さんと交流のあるアニキはお店が忙しいなか顔をだしてくれ「今日は来てくれて有難う。」と笑顔で握手をしてくれたり、頭を深々と下げ送り出してくれる渋くて優しい蕎麦職人(というイメージ)
旅は一週間後。さすがに今から会社を休むのはちょっと厳しいかな。そう思ったけれど、これはもうご縁でしかない。職場へ休みを申請してダメであれば仕方ないけれどお願いしてみよう。まずは同僚へ話を切り出した。すぐに返答をくれた。OK。やった!すぐに上司へ申請。こちらもOK。YES!アニキ、一緒に行けます!よろしくお願いします!
福島県飯舘村に「いいたて雪っ娘かぼちゃ」というかぼちゃがある。甘くて美味しいブランドかぼちゃだ。雨の日も風の日も雪っ娘かぼちゃと向き合い大切に育てている女性。それが渡邊とみ子さん。
とみ子さんはいつも「さえちゃんに元気を貰っているよ。」「さえちゃん、すごいねぇ。」と温かい声をかけてくれる。何もすごくない私は、そのたびに私の何百倍もすごいとみ子さんに「何もすごくないんです。」としか言えないのだけれど、心のどこかでちょっぴり嬉しくなる。何もしていないけれど。
とみ子さんのたゆみない歩みや温かさ、嘘のない力強い言葉や笑顔に惹きつけられてやまない私は、ここ数ヵ月、雪っ娘かぼちゃのお手伝いができないことや、とみ子さんに会えないものだから夜行バスで福島へ行こうかなと考えていた矢先の誘いでもあり、アニキから今回とみ子さんのところにも行くと聞いて、やった!とみ子さんに会える!と嬉しくなった。
3年ほど前、東京のイベントで飯舘村が出展した際とみ子さんの手伝いをした。人気者のとみ子さんを訪ねて色んな人が訪ねてくるなか、ひとりの男性がきた。名前は岩崎健一さん。通称ケンさん。見た感じ、会社員には見えない方で、後からとみ子さんが山梨でシンガソングライターをしていると教えてくれた。そしてこうも。「飯舘村の牛が山梨に避難していてね。フクちゃんとシマちゃんっていうんだけれど岩崎さんは歌を作って歌っているのよ。」
※写真は左から私、渡邊とみ子さん、役場の女性、ケンさん
福ちゃんと島ちゃんは一度会ったことがある。ぶどう農家の三浦夫妻が連れていってくれたのだ。その道中、車のなかでケンさんのCDが流れていた。「福ちゃんはぁ~島ちゃんとぉ~🎵」覚えやすい歌詞とリズムに気がつくと一緒に歌っていた。その時は、どんな理由か分からないから牛のジャケットのCDを見て、二頭合わせて福島になってるんだぁということと、ジャケットの牛の絵が可愛いな。という記憶がある。
三浦さんが教えてくれたことによるとどうやら福ちゃんと島ちゃんは、3.11の原発のことがあって福島から山梨へ避難してきたらしい。飯舘村で生まれた牛だよと教えてくれた。いつも福ちゃんと島ちゃんをお世話をしている清水さんにはその日、残念ながら会えなかったけれど、車を降りて少し歩くとそこに大きな身体で可愛い眼をした福ちゃんと島ちゃんがいた。
少し雪がちらついていて寒い日で、どちらが福ちゃんで島ちゃんかわからないから「こんにちはー。貴方は福ちゃん?貴方は島ちゃん?寒くない?」と聞いてみたけれど、返事が無いかわりにじっとこちらを見ていた。それが私の福ちゃんと島ちゃんとの出会い。
時々、どうしているかなとか会いに行きたいなと思っていたけれどそれから会う機会を作らないまま今日まで過ごしてきた。
2019年6月11日朝5時30分ファミリーマートで待ち合わせ。白の大きな車。多分あれだ。夜中に山梨から車を走らせてきてくれたアニキ。ケンさん。そして初めましてのてつやさん。車に乗ってすぐアニキが皆を紹介してくれた。少しして分かったこと。この3人面白すぎ。
15分ほどして到着したのはケイコさんのお家付近。朝早いのに3種類もお豆がはいったおにぎりやジュース、たくさんのお菓子をダンボールで持ってきてくれた。今回のメンバーはこの5人。
初めて訪れる場所に初めて会う人。初めてづくしのこの旅はどんなことが起こるんだろう。何を見て感じるのだろう。楽しみになった朝5時30分。
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