短編小説 『𝐔𝐑𝐁𝐀𝐍 𝐒𝐓𝐑𝐄𝐄𝐓』
時刻は午後7時。
今、私は街の中を歩いている。
街は近代的な高層ビルやセレクトショップが建ち並び、歩道には樹木が植えられ、綺麗に整備されている。
ビルを彩る鮮やかな光が歩行者を照らし出している。
オフィスビル群や、様々な様式で建てられた建築物が現代と過去を交錯し、異国情緒を漂わせる。
私は山に近い街で生まれ、普段は山の麓で暮らしている。
もちろん、あまり人はいない。
近所を散歩している時も、自分はこの場所に一人しかいないんじゃないかと錯覚してしまうことがある。
だが、それが 自分の生まれた街の良いところだし、私は自分が育った街を愛している。
山があり、空気も美味しく居心地の良い場所だ。
そして、先程も述べたが、私が今いる街は、近代的な高層ビルや様々な年代の歴史的な建造物が建ち並ぶ現代的な都市だ。
人々の流入も激しく、街を歩けばビジネスマンなど多種多様な人々が行き交っている。
私はこの街を歩く時、孤独を感じない。
多くの人が歩いており、自分もこの中の一人で "街の一部" になっていると思う。
たくさんの人々が街に存在しており、改めて自分も一人じゃない。
そう思えるようになった。
夜、空が暗くなっても公園やビル、街灯が街を照らしている。
私は なぜかこの光景に一時の高揚感と安堵感を覚える。
居場所の無い人間でも受け入れてくれるような そんな安らぎを感じる。