可愛くて、大事なわがまま
また自分がわがままを言ってきた。
今度はなんだ?もう言いたいことはないはずだろう?と思った。
だけど、22年間生きている自分、少なくとも僕よりは大人だろうと思っていた自分は、なんとも子供らしいわがままを言ってきた。
「1番になりたい」
どうやら自分は、最近できた友達の中で一番大事にされたいみたいなのだ。
僕は笑ってしまった。そして、懐かしい気持ちになった。中学生のころを思い出したのだ。
中学生の頃の自分は、ハングリー精神に満ち溢れていた。
「何が何でも1番になるんだ。部活でも、勉強でも…!」
そういう意欲に身を任せた結果、心に体が追いついていかずに鬱になってしまったわけだけども…。
でも、そんな自分が。もう見ることは出来ないと思った自分が。
一生懸命に僕に訴えかけているのだ。
本来なら、「友情に1番や優劣なんて存在しないんだぞ。」と、僕は自分に怒らなければいけないのかもしれない。
でもそういった感情が来る前に、僕はこう思ったんだ。
「久しぶり!10年ぶりくらいかな?自分はそう思えるほどに、大好きな友人たちと出会えたんだなぁ。そんなに大事って自分も思ってるのか!」
と、笑みがこぼれてしまった。
そう思うと自分も僕も同じことを思った。
「なんだ。俺に必要だったのって、休息の時間や薬じゃなかったんじゃん。何よりも大事だと思える友達だったんじゃん。」
そう思ったら、「へへへへ。」って笑みがこぼれた。
この一番になりたいっていう気持ちは、捨てて良いものじゃない気がする。俺が俺らしくなれるための必要なピースだと思うから。
そう思うと心が一気に晴れやかな気分になった。
期待の持てなかった未来というものに、きれいな色が浮かび上がってきた。
もうすぐ新学期が始まる。数日前に抱いていた、不安や焦りといった感情はない。だからといって、勉強を全力で頑張ろうという気持ちもない。
ゆるーく、友達と話せるのを楽しみに生きていこうぜ。
心からそう思えるためには、一番になりたいというハングリー精神がうまく俺のバランスを保てているんだなぁと思う。
一番になりたい。
そう思ってくれて、ありがとう。
そう思えるようにさせてくれて、ありがとう。