朧 書き散らし
朧月がゆらゆらと浮かんでいる。
こんな夜は、禁煙したはずのタバコに火をつけて、肺の中に酸素をめいっぱい取り込みたくなってしまう。
そして、悩みや後悔や懺悔。
そういった亡くしてしまいたいもの達を、煙と一緒に吐き出してしまった気になりたい。
「朧月って春の季語なんだって!」
「日中と夜の気温差が激しいから、あんな風に月がおぼろげに見えることが由来らしいよ!」
なんて、ついさっき取り入れたどうしようも無い雑学を披露出来る友達。
手紙や後悔は、手放せてはいない。
でも後悔というほどの後悔はしてないかも。
あの時を手放してでも、手に入れたいものがあったから。
あの時と比べたら、僕はもう別の人。
っていうくらいに変わってしまって。
バイトなんか始めちゃったり。
朝に筋トレしちゃったり。
英語や資格の勉強もしたりして。
その中でも禁煙は出来なかったり。
結局はあのころの僕と変わんないのかも。
ただ纏まらない気持ちを吐き出したかっただけなのかも。
寝息を立てて寝ている君の横で、こんな文章を書き散らしてる。
BGMは、君と一緒に見た呪術廻戦のOPの曲。
誰に見られたいわけでもなく、ただ自己満足の為に書いてるはずなのに。
それでも。少しでも。なんて。
思いながら火をつける。
僕に関わってくれた人達の全員が、
もれなく幸せで健康で居てくれますように。