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英語はなぜ難しいか?     文法編 This is a pen.

 「英語ペラペラ(私自身がまだペラペだが😅)」英語を言語として使いこなすことを目標に、英語を考察する「英語はなぜ難しいか?」シリーズ。
 文法編(の実質)第一弾にあたる今回は、一時期日本の英語教育で話題となった「This is a pen.」を取り上げたいと思う。

 本シリーズで何度も述べていることだが、日本の英語教育の特徴である「英文法」は、かなりいい線を言っている。ただ、英語を実際に使えていない教員・講師達の伝え方に問題がある。私自身20年間に及んで「英語を使えていない英語講師」だったのだから、別にそのことを批判しようとは思わない。伝え方の工夫を示して、日本の英語教育の未来を少しでも明るいものにしたい、というのが本シリーズの最大の目的である。

 では、始めよう。



①This is a pen.の「訳し方」

 「This」は「これ」、「is」は「〜は•••です」、「a」は「1つの」だから、「This is a pen.」は「これは1本のペンです」と訳す。


 ・・・、

 ・・・。

 はるか30年前、中学英語の初めの頃の記憶である😱😱。似たような説明を受けた同世代(40〜50代)の読者も多いだろう。
 「is」は「は」なのか「です」なのか、同級生と議論になったのが懐かしい😅。

 若い読者には想像もつかないだろうが、これが昭和〜平成前半の英語教育だったのである。「今でも上記のような説明を聞くことがある」という方は、是非ともコメント欄までご報告願いたい。


 それはともかくとして、上記のような説明が良くないのは、ここまで本「英語はなぜ難しいか?」シリーズを愛読😍している貴方にも、何となくお分かり頂けるだろう。

 だが、具体的にどのように良くなく、代わりにどのように説明するのか?
 本記事ではそこを探っていく。



②This is〜の印象的な使い方

 そもそも、「This is〜」はどのような場面で用いる表現なのか?
 表現は「用いる場面」「それを口にしている話者の心情」と深くつながっている。ある表現を理解することは、その表現の背景にある状況や心情を理解することに他ならない。

 ということで、以下 ↓ の動画をご覧頂きたい。

 

 
 ペルシア戦争(紀元前500〜)中のテルモピレー(Thermopylai)の戦い(前480)を描いた名作、『300(three hundred)』の有名なシーン。

 圧倒的な優位を誇る(アケメネス朝)ペルシアの使者に対して、スパルタ王レオニダスが矜持を示す場面だ。

 無礼を働いた使者にレオニダスが剣を向ける。
使者: (This is)blasphemy! This is madness!
 王: Madness? This is Sparta!
なお、( )内は、弱くてほとんど聞こえない。

 というやりとりがなされる。短いやりとりの間に3回も「This is〜」が登場する、極めて印象的なシーンだと言えよう。


 使者の「This is〜」は相手の行動に対する評価であり、多分に否定的ニュアンスを含む。
 「冒涜だ、これは狂気の沙汰だ」(震え声)

 これに対して、レオニダスのセリフには強烈な自己主張が感じられる。
「狂気だと? これがスパルタだ!」

 大国ペルシアからの降伏勧告をはね返すには、使者を斬るくらいの(非常識な)覚悟が必要だ。それがスパルタ流だということだ。


 「This is a pen. なんて言いますか?」という議論があったが、この場面を見て「This is Sparta! なんて言いますか?」とは誰も言わないだろう。このセリフの背景にある状況と心情が理解できるからだ。

 この視点が文法学習において重要である。ある表現を言うか言わないか、というのは問い自体がナンセンスだ。塾業界にいると「ネイティブは◯◯と言う or 言わない」という発言をよく耳にする。English speakerとして覚醒する以前の私もしばしば口にしていた😱。
 だが、ある表現を言うか言わないかなど本人の自由であり、誰かが言うといったら言うのだ。話者がnative speakerかどうかなど関係無い。言葉は誰にとっても本人のモノだ。

 「◯◯と言うか言わないか」ではなく、「◯◯と言う時はどのような場面か、どのような心情を表しているか」を実例を踏まえて解き明かすのが、文法の重要な役割であると考える。




③This is a pen.は悪くない?

 以上の考察に従えば、「This is a pen.」と言うケースは当然存在する。私なりに、以下のような場面を考えてみた。

・一見すると何か分からないアイテムを持っていて、「What's that?」と尋ねられたとき。まあ、この場合は「It's a pen.」の方が自然な応答の気もするが😅。


・相手がペンだと納得しないのに対して、「これはペンなんだ!」と自己主張する。レオニダスになった気持ちで言ってみよう😝。


・相手が「そんなのペンじゃないよ」と言ったことに反論する。「is」を強く言う。


・幼児などに言葉を教えている場面。上記2ケースとは一変して優しく言う。「pen」を強く発音する。


 ・・・などと考えていたら、↓ のような記事を見つけた。



 なるほど、そのような時代背景があったのか。納得😆😆。文字だけを見ていては分からないことがあるものだ。


 
 本「英語はなぜ難しいか? 文法編」では、このように表現の背景にある状況や心情に着目していく。それでは、また次回記事でお会いしましょう‼️


What you teach is not English.
This is English‼️

覚醒した直後の私の体内から溢れてきたセリフである。英語を学び始めて30年。「This is〜」の使い方を実感した瞬間だった🤗。

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