SNSだけ見て「自分はニュースを見ている」と胸を張る大学生に対する一抹の不安。
大学生になるとその一部は”意識高い系”を目指すべくニュースに触れようとするが、毎日欠かさずニュース番組や新聞に触れるハードルは正直高い。
そこで、「今の時代、テレビや新聞はマスゴミだから」というのを口実にYoutubeやTiktokで情報収集している学生は決して少なくない。
マスメディアの報道姿勢に対して私も疑問を持つことはあるから、別にマスメディアをマスゴミと言って批判することに対して文句を言うつもりはない。しかしながら、その代替手段がYoutubeやTiktokというのは甚だ疑問である。
彼らが見ているのはもちろん民放各局のYoutubeチャンネルではない。個人が運営しているニュース解説チャンネルなのだ。
そういったチャンネルは皆、我こそはテレビ・新聞と違って公平な目線でニュースを解説していると謳っている。しかしながら、実際は同意見の視聴者に耳障りの良いことだけを発言しているにすぎず、大抵はマスメディア以上に両翼に偏っている。
それに、そういったチャンネルは情報源の信用性についても疑問符が付く。実際、プーチン大統領がウクライナ戦線の膠着を打破すべく、北方領土を通じて北海道に攻めてくるとのLINEが大学の友人から送られてきたが、その情報源を要求すると、仮面を付けた謎の人物がニュース(?)を解説しているコテコテの編集付きのTiktok動画が送られてきたことがある。
自己否定された気分になるのだろうか。Z世代と呼ばれる若者の中には自分の意見と異なる論調の報道社の意見に全く耳を傾けない気がする。
「朝日は左派、産経は右派」の延長線で「朝日を取っているから左派、産経読者だから右派」と人を分類する人がいるが、私はそうは思わない。むしろ自分の意見と逆の論調を張る新聞を取るべきとさえ思う。産経も読む左派や朝日にも目を通す右派の方が単なる右派・左派よりもよっぽど健全かつ説得力があると感じるのだが。
一方の翼に偏っていれば内輪にいる分には快適であろう。しかしながら、それでは外に出ては全く議論にならない。
大学生になってからそういったチャンネルで情報を得、今在るべき政治について力説してくれる友達が何人かいるが、そういった人たちは結論ありきなので、こちらの反論に対しては結論をオウム返しすることしかできない。
今の時代、SNS発で話題になり、それが社会問題として世の中に提起され、社会が変わっていったという事例も多々存在する。それゆえ、SNSで情報収集することがダメだとは全く思わない。
しかしながら、マスメディアも未だそれなりには公正に運営されているはずで、「マスゴミ」の一言でテレビ・新聞から自分自身をシャットアウトしてしまうのは早計ではなかろうか。
冒頭写真:Pixabay(2024/3/28)
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