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caramel cityとか言う甘美的な街
こんにちは🍈🍞
長らくおいしくるメロンパンについての文章を書いていなかったのですが、またぽつぽつと書いていこうかなと思います。
今回は考察ではなくて、私が普段どんなことを思い浮かべながらこの曲を聴いているのかということを共有していけたらなぁと思います。
今回の楽曲は、おいしくるメロンパン/indoor収録の「caramel city」です!
いつかこの街に行きたいなランキング1位の街です、羊をいくつ放てば行けるんでしょう。
机に並べた直方体 綺麗に積み上げた
この街が平らになるころ 羊を放って寝るんだ
「机に並べた直方体」、最初聴いた時は一体なんのことだろうと不思議でした。
でも「この街」を、タイトルにもある「caramel city」のことと考えると簡単に情景が浮かびます。
caramel city、キャラメルの街。
つまり「机に並べた直方体」の直方体は、よく見る銀紙に包まれた四角いキャラメルです。
月夜、主人公は机にキャラメルを並べて積み上げながら、キャラメルの街を作っていた。
できるだけ時間をかけてこの街を壊したかった
寝るのにはまだ早いでしょう?
うさぎが言った気がした
さて、「この街」というワードがもう一度出てきていますね。
「この街が平らになる頃」
「できるだけ時間をかけてこの街を壊したかった」、
街を平らにすることと街を壊すことは同義と考えます。
積み上げた街を壊して平らにする、という感じです。
街が平らになる頃に寝ると言っているので、
曲の冒頭地点ではもう積み上げ終わっていたんですね。あとは壊してしまうだけ。
月のうさぎに寝るのにはまだ早いでしょう?と言われているように感じているので、
きっと窓辺で月明かりでも照らしながら街を創りあげていたんでしょう。
「できるだけ時間をかけてこの街を壊したかった」という部分から、眠たいながらもまだ寝たくはないといったところでしょうか。
キャラメルで街を作っているくらいなのだから、夜更かししているものの特にやることがないような、そんな空っぽな夜を過ごしていたわけですね。
ひとつ、またひとつと頬張ってしまえば
どろり溶けだした月が綺麗でした
ひとつ、またひとつとキャラメルを頬張って、ゆっくりと街を壊していきます。
「どろり溶けだした月」という表現は、キャラメルが口の中でゆっくり溶けていくことの表現を兼ねているのかなと思います。
キャラメルって、みなさんはどうやって食べますか?
私は口にころんと入れて、さいしょに噛んでしまいます。
でも主人公は「できるだけ時間をかけてこの街を壊したかった」ので、
噛まずに、ゆっくり、どろりと溶かしながらキャラメルを食べているんですね。
caramel city 今夜も眠れそうにないな
銀紙の歓楽街を抜けて
caramel city
甘美のまにまに漂えば
なんだか、少し疚しくて
「銀紙の歓楽街」、銀紙はきっとキャラメルの包み紙のことですね。キャラメルで積み上げた街のことです。
ぼんやり甘美に思考を漂わせながら、眠れそうにないなぁなんて考えているこの情景、とっても素敵だと思いませんか?
キャラメルの甘ったるさと夜の特別感、秘密感、気だるげな思考。甘美的とさえ思います。
疚しい(やましい)と思ってしまうのも当然かもしれません。
ちなみに、「甘美のまにまに」は「神のまにまに」という言葉と音遊びされているんじゃないかなぁと思っています。
「神のまにまに」というのは「神様のこころのままに」という意味だそう。
ということは、「甘美のまにまに」は、甘美のままに任せて、ということですね。
煮詰まるプラットホーム
遅延していく情報
色のない信号
濁りきった街灯
この部分はおそらく、目の前に積み上げた「キャラメルの街」のことではなく、
主人公が自身の中で主観的に見ている「caramel city」の情景です。
甘ったるく煮詰まったプラットホーム、
気だるげに鈍っていく思考(=遅延していく情報)、
銀色で色のない信号、
濁りきった街灯。
縷々としてラジオノイズは流れ、満たしていく
溢れそうな退屈を
マグカップに注いで飲み干した
「縷々」というのは、細く長く途切れることなく続く様という意味です。
途切れることなくラジオノイズが流れ、caramel cityの空っぽな夜を満たしていきます。
「キャラメルを積み上げ、口へ運びつつ退屈をやり過ごす月夜」そのものの時間も縷々として流れていっていますね。
「縷々」という言葉ひとつだけでそんな取り留めのなさを感じれてとても好きです。
そして退屈はどんどん満ち、溢れそうになって、マグカップに注いで飲み干した。
主人公は最初からずっとこの夜を退屈しているので、とうとうその退屈がcaramel cityでも受け止めきれなくなってしまったようです。
苦すぎて死にそうだ
頬張った、一つまたひとつと
砂糖水を煮詰めてカラメルを作るとどんどん苦くなっていくように、この退屈はあまりに煮詰まり過ぎてしまったようですね。
苦さを打ち消すように、ひとつ、またひとつと甘いキャラメルを口へ運びます。
ここからしばらくメロディーが流れますが、ここのメロディーがとっても「縷々」で好きなんです。
溶けたキャラメルのようにとろりと、甘く、縷々として流れている、そんな音楽で。
きっとこの音は、主人公が過ごす退屈で甘美的な夜を壊すことはないでしょう。
caramel city 今夜も眠れそうにないな
銀紙の歓楽街を抜けて
caramel city 朝がすべてを溶かせば
羊を放って寝るんだ
やがてやって来る朝によって、主人公が創り上げた取り留めのない夜は溶かされます。
朝日によって、と言った方がいいでしょうか。
月によって照らされていたcaramel cityは、朝日によって溶けてしまう、そんな街、そんな存在。
そして、朝がcaramel cityをすべて溶かしてしまえば、「街が平らに」なりますよね?
ここで冒頭の歌詞「この街が平らになる頃 羊を放って寝るんだ」の部分とリンクします。
「できるだけ時間をかけてこの街を壊したかった」、主人公は退屈ながらも最初からこの夜をずっとcaramel cityで過ごしていたかった。
しかしいずれやってきてしまう「朝がすべてを溶かせば」、主人公はどんなに望んだって結果的に「羊を放って寝る」ことになってしまうんです。
この最後の歌詞がいちばん最初の歌詞とリンクする部分も、本当に秀逸で素敵です。
caramel city
caramel city
ナカシマさんの声で「caramel city」を繰り返されると、恋焦がれても特別な夜の間しか辿り着けないような、そんな特別な街というような気がしてきますね。
以上が、おいしくるメロンパン「caramel city」を聴きながら、私が普段ぼんやりと考えていることです。
キャラメルのように甘く、苦く、とろりとした甘美的な曲。
みなさんもいつか、朝がすべてを溶かすまでにcaramel cityへ行くことができますように。
行けたら、どんな街だったか私にも教えてください。
ここまで読んでくださった方がいれば、本当にありがとうございます。
それでは。