Crime Pays（短歌30首）

Crime Pays　　鈴木龍也

見えているものが突然みえなくなるなんてかなしいね　拳銃

花火（例えば天国史の主題歌のhookをあなたが歌う夢とか）

触手さえあればいいのに朝5時の海には朝も夜もあること

歩いてる僕を動かしている街のショーウィンドウには四季がない

中世の王は宝石の欠片から無力な民の反意を読みとる

初めての都市の二輪屋が同じ匂いで埋め立てられた家でした

区境を跨ぐ　何年前なら僕は罪人になれたのだろうか

客人と呼ばれたい　　抽選の不正に使うお下がりの鏡

山手線からみえる木は動いててたしか鳥らが王国であった

愛情をもって育てられたと思う無機なブレッドが乗るしろい皿

逆上がりの上がって下がるとこ嫌い　王位継承のためにはキスを

キッチンで汚れた手を洗う時の指の仕草を覗かれないで

決められたポーズのアットホームな騎士団員の求人サイト

音は光を突き放す　光のgrind　グラウンドの光の速度

青空に旋回する金属塊　かつての遊泳禁止域だね

街路樹は揺れているとき目に留まる猫に手紙は届きませんよ

捨てられるだけの体液に大袈裟な……窓の延長線上に朱雀

睡眠は大事だからね　ねえスイミー　私そうにはなれなかった

最初からミクの歌声は歌姫だからいつか来る死は不意に来る

友達もいるよ　謝ることで許された罪は罪とはちがう形に

木炭がふいに浮かべる哀しみに微睡む最中にもピース・ライト

ブリューナク　雪の会話や光からでも生まれて永く残る傷

やわらかいものには蓋をして（蓋は既成のものでも大丈夫です）

The party never ends till I die.　死刑執行人のジェルネイル

学ランの下から覗くセーターの発色は時々気持ち悪い

いつのまにか語尾の跳ねが似てくるように自然に線香に着火した

鉄塔　動画メディアの踊りが呪詛になりきれないのウケるよな

I told u that that that that that that that light bright.

東京の海に船具が翻る　暮らしは器を打鍵すること

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