カツムラ

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カツムラ

編集の仕事をしています。読書や映画などについて、Facebookに論考したものにアクセスしやすくなるようにnoteを始めました。今は趣味の回文を公開するところになっています。プロフィールの写真はスキャナーズのマイケルアイアンサイド。

最近の記事

●最近の出来事 うずくまるハトと無原罪のお宿

数日前のことですが、マンションの駐輪場にうずくまって動かないハトが一羽ありました。足に怪我をしているようで動けずに、クビの辺りをブクっと膨らまして擱坐してじっとしています。目が時折りパチクリしているので生きているのが分かります。ハトにも瞼があるんですね。下から上にパチクリというかリクチパしてます。 外傷はないみたいなんで、何かにぶつかったか何かなんでしょうか。その時は出がけでしたし、隅っこのわりかし安全そうなところにいたので、帰ってきたら『エンパイアオブライツ』のように靴下

    • 回文ショートショート 映画に見る夢

      ●回文 夜、映画好きの傷が癒えるよ ●読み方 よるえいがずきの きずがいえるよ ●解説 不本意な就職で日々を疲れくらすシネフィルのA氏。さまざまな映画から学んだ人生の教訓を活かせず、仲間もいない。日中は嫌味な同僚、高圧的な上司、生意気な部下などに舐められまくって、泥水を啜るような時間をただ耐えてやり過ごしている。その心の傷は帰宅した後に観る映画の中にしかない。夜、好きな映画を見るときだけ、束の間にA氏の心は癒されるのだ。

      • 回文ショートショート 大化の改新

        ●回文 軽いのが損だね、後の命の値段 蘇我入鹿 ・読み方 かるいのがそんだねのちの いのちのねだんそがのいるか 解説 飛鳥時代の豪族、蘇我氏の偉い人、蘇我入鹿は大和朝廷にて権力を欲しいままにしていたが、その頃はやはり暗殺なども多く命の値段は軽かった。入鹿もやがて中大兄皇子と中臣鎌足に天皇の前でスポーンと首チョンパされたりして、散々な目に合う。

        • 回文ショートショート 人間ども!

          ●回文 どけや! 大火事の野鹿、大火傷。 ●ひらがな どけやおおかじののじかおおやけど ●解説 古来、奈良とかでシカは神鹿などと称され神格視されてきた。さて、乾燥した冬の日、山火事発生。野に放たれているノラなシカが大火傷をおったとの連絡あり、獣医のAは急ぎ現場に急行を試みるも、野次馬などに阻まれてクランケのシカのところにたどり着けない。重い火傷(Ⅲ度)と聞いている。一刻も早く手当てをしなければ、その焦りから、つい言葉も荒くなり、群がる人々に『どけや! 人間ども!』などとい

        ●最近の出来事 うずくまるハトと無原罪のお宿

          回文ショートショート ロダンだろ

          ●回文 よく戦うロダンだろうか、叩くよ ●書き下し よくたたかうろだんだろうかたたくよ ●解説 その卓越した技術ゆえにデビュー作の青銅時代が人体を型取りしたものなのではないかと揶揄されたロダンだったが、さらに一回り大きな青銅時代を作り上げ、その誹謗中傷を抑え込んだ。 のちに近代彫刻の父と呼ばれるようになるロダンであったが、若かりし頃は闘争心に燃え、戦うように彫刻に打ち込んでいた。 そして彼は自身の完成した作品をトントンと叩いて「聞き給え、運命はこのように扉を叩くのだ」

          回文ショートショート ロダンだろ

          回文ショートショート お前はどこのマットデイモンじゃ?

          ●回文  マットデイモンか蜜柑もいで、と妻  読み方 まつとでいもんか み かんもいでとつま 解説 ここはシュールな果樹園。果樹にたわわに実っているのは蜜柑もしくはマットデイモン。そのどちらかをもいで自分のところに持ってきなさい、と妻にリクエストされている、という夢の話。

          回文ショートショート お前はどこのマットデイモンじゃ?

          回文ショートショート 源頼朝の悲しみ

          ●回文 マット敷くな! と頼朝舞う。 馬も鳥よ、と泣くし、と妻。 ●書き下し文 まつとしくなとよりともまう うまもとりよとなくしとつま ●解説 弟の義経を殺してからというもの、執政者たる頼朝も多少情緒が不安定になることがあった。不意に何か詩的なことを言って泣きつれたり、突然に舞を舞ったりするのである。しかもいつ舞いたくなるのか、自分でも分からない。足元が滑るので冬の寒い頃でも「マットを敷くな!」と侍従に命じているほどだ。 その奇異な行動が実は義経を悼んでのことなのだ、と

          回文ショートショート 源頼朝の悲しみ

          回文ショートショート ベラスケス事件

          ●回文 東北弁のように読む 見て! ベラスケス、夜、共に寝たね? 荷も盗るよ。スケ、スラべてみ。   解説: 宮廷画家として知られているベラスケスはその人生の大半の時間をスペイン王宮の中で過ごした。そんなベラスケスの外遊で特に知られているのは2度のイタリア旅行である。 旅先の重圧から解放されたベラスケスは旅先で娼婦と一夜を共にした。充実した夜を過ごしたベラスケスだったが、その娼婦が身支度をして帰る前に宿屋の親父ががなり込んできた。 その娼婦は手癖が悪いという。以前にも貴

          回文ショートショート ベラスケス事件

          回文ショートショート 空も飛べるかも

          ●回文 トンマの子も跳ぶともこのマント ●書き下し とんまのこもとぶともこのまんと ●解説 幼い微熱を下げられぬまま、夢を持ち続けたい気持ちに正直にモラトリアムな暮らしを続ける大学生のA。自分には何か特別なものがあるはずと信じ、輝く術を求めて、何かにつけトライを繰り返していた。 彼には好きな女子がいるが、いろいろとトンマなところもあり、告白などできずに遠巻きに眺めているだけという状態が何年も続いている。 さて、時は待ってはくれず、楽しい学生時代もやがては終わりが見え

          回文ショートショート 空も飛べるかも

          回文ショートショート 相撲の始まり

          ●回文 神主がしきりに気合い、秋に力士が死ぬんか ●読み方 かんぬしがしきりにきあい あきにりきしがしぬんか ●解説 日出る国の神事、相撲。『日本書紀』によるとその源流は垂仁天皇の御代に行われた当麻蹴速と野見宿禰による捔力(すまひ)の対戦を指すという。 さて、その対戦であるが、稲穂の垂れる秋の頃の奉納に屈強の二人が土俵の上に揃った。そして、砂かぶりにはそれを見守る一人の神主、Aの姿があった。彼は陰陽道の使い手で未来が見える神通力の持ち主。史実としてこの戦いでは野見宿禰が

          回文ショートショート 相撲の始まり

          回文ショートショート 死の焚き火 

          ●回文 死の焚き火、木を燃やすやも、置き引き楽し ●書き下し しのたきびきを(お)もやす やもお(を)きびきたのし ●解説 どうしてこんな風ににっちもさっちもいかなくなってしまったのか分からない。どこかのタイミングで道を踏み外してしまった、そのことだけが感じられる。 もともと要領が悪かった。両親は普通だったが、なぜか普通の職にもありつけず、食い詰めて、置き引きのような犯罪に手を染めてしまった。それくらいしかできることがなかったのは確かだが、それでも置き引きが上手くいくと

          回文ショートショート 死の焚き火 

          400円の200円より110円の55円 堀江敏幸からの手紙

          ここ半年はフィクションを読む心持ちではなかったが、桜の花が咲き始めた頃に仕事からの帰り道にあるブックオフが在庫一掃の全品50%オフ、みたいなことをしていたので、また読みたくなった堀江敏幸を読み返している。 読むのは何回目になるか、というこの本、『雪沼とその周辺』は雪沼という架空の土地を舞台とした連作短編で、各短編が他の短編と緩やかに繋がる(直接的なつながりではなく、噂話や思い出の場所というような事柄が他の短編にさりげなく現れる)構成がすごく見事で好きな作品です。 小さなボ

          400円の200円より110円の55円 堀江敏幸からの手紙

          玄さんとの読書感想文 実践編

          みなさん、こんにちは。昨日は玄くんと取り組んだ読書感想文について、発想や構想などの、思考・判断・表現にまつわる概念的なところを書きました。今回は実践編ということで、具体的にはどのような作業をして、感想文を原稿用紙に清書させるところまでこぎつけたかの話をしてみようと思います。 ちなみに、僕は玄さんの宿題を見るときにはかなり主体的に下方からコミットする方です。 玄さんは楽天的というかおっとりしていて、悪くいうと優柔不断で、主体的に問題発見して問題解決していく! みたいな前進型

          玄さんとの読書感想文 実践編

          玄さんと一緒に取り組んだ読書感想文

          みなさん、おはようございます。今日は日本は全国的に曇り空で涼しく過ごしやすい天候のようですが、いかがお過ごしでしょうか。 僕と玄は今朝も富士山登山の身体作りのためのウォーキングをしてきました。玄は小六ですが、まだ、僕と一緒に歩くことなどは苦にならないらしく、手を繋いだりして、変顔合戦などをしながら、歩たりしています。いつか親離れしていく未来の寂しさを想起しながら、今をかけがえのないものとして味わう心で。メメントモリですね。 さて、昨日と一昨日は玄と二人で読書感想文に取り組

          玄さんと一緒に取り組んだ読書感想文

          2020夏休み マイギリ式発火に挑戦

          ●火起こし顛末の巻皆さんおはようございます。昨日(2020年8月13日)の夕方は板橋区ではすごいゲリラ豪雨が降りました。夜に清澄白河で宴会があったので家を出ようとしたら、晴天にわかにかき曇り、怒涛の雷と豪雨で一歩も家から出られない感じに急変。それでも40分くらい経つと嘘のように晴れ上がったので、少し遅れて電車で清澄白河まで行きました。車窓から虹が見えましたね。 さて、僕のFacebookをよくみてくれている諸氏の皆さんはご存知のとおり、2020年の8月10日の火曜日からこち

          2020夏休み マイギリ式発火に挑戦