探究の達人④〜地域のブランディングに迫る
探究紹介(2)
探究タイトル
:エネルギーからエコロジーへ〜シビックプライドを形成する環境事業
前回は、理系女たちの探究でしたが、今回は文系(文系とか理系とかないと思っているのですが、一般的な区分として使います)の生徒のものを紹介します。何やらタイトルからして今流行りの環境系の話題、またか〜と思われる方もいると思いますが、彼女たちの観点はちょっと違います。一言で言うと、SDGsとか環境政策に対して懐疑派による環境事業政策提言です。
1 探究者たち
カンナさん:文系女子ではあるけれど、数字やデータの重要性に気づき、決して印象で語らない頭脳明晰な女子。ドイツへ研修をしてから、プラスチックの海洋投棄問題、気候変動問題に大きな問題意識を持っていたが、色々な矛盾点に気づき、さまざまな文献を調査!納得いかないものについては英語の記事でリサーチ!今現在彼女のスタンスは、「環境問題にはツッコミどころがたくさんあるが、世界のビジネスの流れは、環境事業に変わりつつある。だから、それを利用した地域創生をした方が効率が良いのではないか」。SDGsを盲信的に語る人たちをさめた目で見ながら、淡々と探究を進める生徒
マリンさん:東日本大震災で地震・津波の被害に加え、第一原子力発電所の爆発事故と放射線汚染により苦しい幼少時代を送った生徒の1人。自分の出身である双葉郡楢葉町、その他双葉郡の町村の復興を強く願う女の子。カンナさんの物事をマクロ的に見ていくことに対し、住民目線で物事を見、自分自身の経験を探究の中に組み込みより厚みのある探求に仕上げている生徒。原発がある街、原発があった街の両方の視点を自分自身の経験で語れる姿を見てほしいですね。
2 【研究はじめ】
新聞の報道で、プラスチックの海洋投棄が問題になっていることを知り、小泉進次郎氏のようにプラスチックの利用を無くせないかと探究を始めた。まず初めに着目したのは、プラスチックを全く使用しないで現代生活は送ることは可能なのか?と言う問い。やってみると1日生活するのも難しい、というか1日過ごすことが絶望的だと感じたそうです。(ドイツの研修先の高校エルンストマッハ高校[https://www.emg-huerth.de/]の生徒も、1週間これを実験したが、非常に大変だったようです。)皆さんの周りを見ていただくとわかると思いますが、プラスチックが使われていない物を見つけることの方が難しい。全て紙に置き換えたら?回収をしっかりやれば!など議論を重ねていました。
日本のペットボトル回収率は欧米と比べても倍以上!CO2排出量もアメリカや中国よりも圧倒的に少ないなど日本の技術力や日本人の意識などに驚くこともたくさんあったようです。
3【調査アクション】
○文献調査
環境問題を探究していくと、どうしてもクリアでないところに行きあたる。彼女たちは、視点を変えた。ネスレなどの事例に到達し、これからの環境ビジネスへの世界的な投資状況、今後の市場規模などを参考に福島県双葉郡のブランディングを探究していくことにした。
○バナナペーパーの可能性を追って
ここ福島県広野町では、グロスミッチェル型のバナナ栽培と販売を町の新たな戦略にし始めた。一般的に売られているバナナはキャベンディッシュ型で広野町のバナナと異なります。皮まで食べられるバナナで売り出しています。(一本300円ひえ〜高い!でも美味しいですよ!)
彼女たちは、そのバナナの皮を使ってバナナペーパーを作り“環境に優しい街“のイメージ戦略の一つとして取り組むことにしました。バナナ栽培をしている広野振興公社に訪問し、代表の方と協力していくことを取り付けました。
○バナナの皮を紙にするために
福島県いわき市遠野にある遠野和紙に訪問し、バナナの皮を紙にすることについて調査研究に行くことになりました。(後日報告させてください)
【彼女たちのゴール】
今現在言われている環境問題やSDGsについて懐疑的で批判的に見ている彼女たちです。しかし、これからの社会が環境という新しい枠組みの中で変化しつつあり、そこに遅れずに乗っていくことを戦略的に有効であると結論付けました。
震災前、福島県双葉地区は原子力発電所により、エネルギーの街というブランドがありました。原発事故により、この地区は、大きなダメージを受けただけでなく、それまでの経済基盤であったエネルギービジネスも転換せねばならなくなりました。しかし、この地区では、廃炉作業という後処理だけでなく、イノベーションコースと構想という名の新しいテクノロジーの開発地区にもなりました。だからこそ、この地区全体をエコロジーという新たなブランディングをし、そこに住む住民もそれに誇りを持って街づくりに参加する画期的な社会の仕組みづくりを、広野町長や広野町議会でまずは政策提言させていただくことを今年度の目標にしています。
続報は後ほど
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