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俺のあん娘は占いが好きで~。

 私の妻は昔から占いが大好きである。

 テレビの占いコーナーに一喜一憂するのは朝のいつもの風景である。

 好きが高じて自分でも占いをする。
 
 昔はタロットを使っていたのだが最近は気学にはまっており勉強に余念がない。

 自分の事を占うのはもちろん私の運勢も占ってくれる。

 例えば今日は南がいい方角だからそっちに行きなさいとか、そこに三十分以上滞在しなさいとなかなか注文が細かい。

 門前の小僧ではないが私もだんだんと占いに詳しくなっており妻の意見に耳を貸す。

 昨日は夕方に北の方角で何かを食べるといいと言われたのでその通りにした。

 用事をあらかた済ませて自宅から北東の位置にある道の駅で米粉パンとほうじ茶を買って車で食べた。

 しばらく滞在しないといけないという話だったので続々とやってくる車を眺めてぼんやりと過ごした。

 おかげで帰宅ラッシュにしっかりはまってしまい帰宅が遅くなった。

 妻に北の方角の話をすると大変よろしいとご機嫌だった。

 何でも昨日は特別に縁起のいい方角が北だったらしくこれで私の運勢はうなぎ上りらしい。

 妻はいずれはプロの占い師として独立したい願望があるらしく私には理解不能な占いの本を熟読している。

 何事にも熱中するが冷めるのも早い典型的な熱しやすく冷めやすいタイプなので今回は続けばいいなと思っている。

 そして今日も出がけに悪い事が起こるから東には行かないようにと言われた。

 はい、そうですかと言うわけにもいかないのでなるほどと曖昧な返事をした。

 今日はどうしてもそちらの方向に用があったので気にしないでバンバン東を攻めた。

 後で妻に何か聞かれたら、うん行かなかったと思うよと玉虫色の答えでかわそうと思っている。

 よく考えてみれば家に占い師がいるというのは贅沢なのかもしれない。

 たまに友達も占っているみたいで的中率はそれなりに高いらしくファンがついている。

 本人のやりたいことをしてもらうのが一番なので陰ながら応援したい。

 そんな事を考えながら昨日の晩御飯を振り返ってみる。

 帰り道で行きつけのスーパーで豚バラ肉と野菜を購入。

 後はお酒と細々したものをかごに入れて清算した。
  
 帰宅して手洗いとうがいをして料理開始。

 まずは豚バラ肉を細かく刻んでニンニクとショウガで揉みこんでおく。

 次に玉ねぎを細切り、ジャガイモを極薄斬り、人参を摺り下ろす。

 フライパンに油を敷いて火を点けたら豚バラ肉を入れて熱を加える。

 うっすら火が通ったらそこに野菜を加えてジャッジャッと炒める。

 野菜がしんなりしたらそこに水をドボリと加える。
 
 沸騰するまでの間に副菜を作る。

 レタスをよく洗って一口サイズに手でちぎる。

 玉ねぎをスライサーで薄くスライス。

 それをお皿に綺麗に並べて冷蔵庫で冷やす。

 ドレッシングは手作りフレンチドレッシング。

 オリーブオイル、酢、塩、コショウを合わせて白っぽくなるまでひたすらかき混ぜる。

 ドレッシングも食べる直前まで冷やしておく。

 それからフライパンに戻ってアクをしっかり取る。

 そこに鶏がらスープの素を加えて軽く煮込んでいく。

 しっかりと煮えたら火を止めてカレールーを割り入れていく。

 ルーが溶けたら再び火を点けてとろみがつくまで煮たらフライパンカレーの出来上がり。
 
 所要時間は二十分もあればおつりがくるお手軽カレーである。

 汁物が欲しかったので野菜の切れ端で具だくさんみそ汁を作った。

 では盛り付け、ご飯にカレーをたっぷりかける。

 サラダを冷蔵庫から取り出してドレッシングを回しかけたら晩御飯の出来上がり。

 よーし、出来たと言いながら妻を呼ぶ。

 今晩はカレーだよと言うとウェーイとご機嫌の返事が返ってきた。

 お酒はシンプルにビール。
 
 プスッシュシュとプルタブを起こしてグラスにトコントコンと注ぐ。

 じゃっ、と言いながら乾杯してクイーッと飲み干す。

 ああっ、たまらんと思わず全身がフルエル。

 やっぱりビールはいつ飲んでも美味いなぁとしみじみ思う。

 ではつまみにサラダを食べる。

 新玉ねぎのサラダなので辛みもなくてシャキシャキしたレタスの歯ごたえも楽しい。

 手作りのドレッシングも新鮮な風味でシンプルなサラダにはドンピシャだった。

 合い間にみそ汁を飲んでカレーに狙いを定める。

 スプーンでグワッとすくい上げてアグッと食べる。

 軽くしか煮込んでいないが炒めた野菜の甘さがよく出ており豚肉の旨味も十分に出ている。

 何より短時間で作ったとは思えない味で日本のカレールーの実力を感じることのできる技ありの一品だった。

 もちろんお代わりをしてしっかりと食べた。

 妻も珍しく二杯目を所望したのでご飯少な目でよそっておいた。

 二人でモリモリ食べて少し残った。

 さすがにお酒も飲んで二杯カレーを食べたらお腹がパンパンになった。

 満腹でご馳走様をして片づけをした。

 妻は食後に占いをするからと言って用意をしていた。

 ほどほどにねと言って私は自分の部屋に戻った。

 占いって終わりのない学問らしいので応援したいなとは思う。

 そのうち妙齢の美人占い師が山口県からデビューしたらそれが妻です。

 そうなったらマネージャーでもやろうかしら。

 今なら早期予約特典で一割引きで占いまっせ、なんちゃってねー。

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