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これを飲めば一年無病息災!

 この間実家でバーベキューをした時にお土産に新茶をもらった。

 実家の畑の境界線に祖父が植えたお茶の木がありちょうど今頃が収穫時期である。

 子どもの頃は物珍しい事もあって茶摘みを手伝ったものだ。

 先端の芽とそのすぐ下の葉っぱを摘むことを一芯二葉と言うのだと知ったのもその頃である。

 軍手をはめてチョイチョイと茶葉を摘んでいくのは面白い作業だった。

 三時間くらいかけて収穫したらすぐに洗って蒸し器で蒸す。

 ここでグズグズしていると茶葉の酸化が進んで味が大きく落ちるので手早く家で一番大きな蒸籠を使う。

 蒸し終えたらまだ熱いうちに茶葉をよく揉む。

 慣れていないと厚くて触れない位の温度で作業する。

 この工程は祖父の役目だった。
 
 よっこいしょ、えっこらせと言いながら揉んでいるとお茶がクルクルとねじれていく。

 だんだん冷めてきたら私も揉ませてもらったことがあるが何とも言えないしっとりとした手触りで匂いを嗅ぐとほんのりとお茶の香りがした。

 揉み終えたらもう飲めるが、そのままだと保存がきかないので茶葉をこれまた家で一番大きなフライパンで炒る。

 火加減が強いと焦げてしまうので弱火でずっと揺すりながら根気よく熱を加える。  
 
 この時にお茶屋さんの前を通りかかった時に漂ってくる香ばしい香りがする。

 しっかり炒ったらザルに空けて粗熱を取る。

 冷めたらそれを乾燥材を入れたお茶専用の瓶にしまって一丁上がり。

 早朝から作業をして昼過ぎには終わるスピード勝負である。

 お昼ご飯はおにぎりと卵焼きとウインナーという簡単なものでそれに合わせるのは当然出来立ての新茶である。

 お茶を淹れるのが得意だった祖母が急須を使って新茶を淹れてくれた。

 フウフウしながら飲むと爽やかで香ばしい香りがして旨味もたっぷりあった。

 子どもながらああ、このお茶は美味しいなと思う味だった。

 大量に摘んだ茶葉だが出来上がったらこれだけ?と思うくらい少なくなるのがいつも不思議だった。

 今では茶摘みを手伝う機会も減った。

 父と母と兄が率先して作業をするので私はいつも出来上がったお茶を貰う専門である。

 ここの所その新茶を飲んでいるがやはり舌に馴染む味である。

 もう少ししたら二番茶の収穫をするのでそれは手伝いに行きたいなと思っている。

 そんな事を考えながら昨日の晩御飯のことを思い返してみる。

 昨日は少しだけ買い物をして帰宅した。

 連休中にご馳走を食べる機会が多かったので少し胃に優しい献立にしたかった。 
 
 なのでメインはうどんにした。

 まずは煮干しと昆布の出汁を取る。

 それから醤油、砂糖、酒、みりん、塩をいれてつゆを作る。

 具は梅干しと油揚げとネギ。

 市販の油揚げで味付きの乾燥のものがあったので珍しさにひかれて購入した。

 後はうどんを茹でるだけなので副菜を作る。

 使いかけの大根が少し余っていたので皮をカツラ剥きにして細くスティック状に切り分ける。

 レタスを四分の一玉芯を落として洗ってから手で一口サイズに千切る。

 お皿にレタスを敷いてそのうえに大根を乗せたら大根サラダの出来上がり。

 ドレッシングはマヨネーズにレモンを絞ってそこにポン酢を混ぜてマヨポン酢にした。

 冷蔵庫に入れて冷やしている間にうどんを茹でる。

 スーパーで特売31円のものだがそれなりにちゃんとしている。

 沸騰したお湯で一分湯がいたらザルにあける。
 
 器に麺を入れてそこに汁を注いで梅干しとお揚げとネギを散らしたら梅きつねうどんの完成。

 うん、今日は軽めだと思いつつ妻を呼ぶ。

 食卓を見るなりヘルシーだねと言うのでその通りと答えた。

 粗食だがお酒は当然ながら飲む。

 芋焼酎のお湯割りを作ってツツッと飲むと体がじんわりと温まる。

 うん、いいねと言いながらサラダをつまむ。

 マヨポン酢のドレッシングと大根の相性が良くてバリバリ食べられた。

 後口がさっぱりで食が進む。

 焼酎を飲みながらメインのうどんに箸を伸ばす。

 梅干をよけてチゥッと汁を飲むとしみじみと優しい味がした。
 
 うん、これは滋味というやつだなと思って麺をすする。

 茹で麺なのでコシは無いがツルツルと滑らかに口の中に滑り込んでくる。

 お揚げを齧ってみると甘じょっぱい味がじんわりとくる。

 これはなかなか便利でいいなぁと思いつつカジカジ。
 
 それから梅干しを崩して食べてみると程よい酸味が全体に広がって味がキュッとしまってまた別の扉が開く。

 半分くらい食べてから七味唐辛子を振り入れるとピリッとした辛みが食欲をそそる。

 うんうん、うどんはこうでなくちゃと言いながら食べていると妻がこれだけじゃ足りないかも…と言い出した。

 私も少しボリューム不足を感じていたので小さなおにぎりを握って二人で食べた。

 急遽うどん定食のようになったがそれでちょうどお腹がいい塩梅になった。

 お酒は焼酎のお湯割り三杯とまずまずの節制具合。

 片づけは使った食器が少なかったのであっという間に終わった。

 食後に胃がもたれる事もなく健康的な晩御飯だった。

 あっ、食後にお饅頭なんて食べませんでしたよ。

 ふい~、今は一杯の熱いお茶が怖い。

 

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