鼻血が出るほど貰ってみたい

今日買い物で隣町のデパートに出かけたらバレンタインの特設ブースが設けられていた。

この間年が明けたと思っていたらもうバレンタインかぁと時間の流れの速さを感じた。

興味本位でブースを覗いてみたがお手頃なものからこの大きさでこんなにするの！？と思うような商品もあり見ていて結構楽しかった。

私の世代だとどうしてもバレンタイン＝チョコレートと想像しがちだが、実際にはクッキーやバームクーヘンなどのお菓子もあって今は色々あるんだなぁと感じた。

幼い頃はあまり意味も分からずに幼馴染からチョコレートを貰って喜んだりしていたが、中学生になるころには見た目から一発でわかる陰キャになっていたので二月十四日は憂鬱な日だった。

学校にチョコを持ち込むのは校則違反だったが恋に恋するお年頃の男子と女子の間では先生の監視の目を盗んで階段の踊り場や体育館につながる渡り廊下などでアオハルが行われていた。

私はといえば義理チョコの一つを貰う事なども当然なくバレンタインなんてくだらねぇよなと同じ境遇の友達と強がっていた。

それでも淡い期待を捨てられず放課後に部活にもいかずに何となく教室に残っていたり、もしかしたら下駄箱の中に…と思って何度も確認したりと今思うとそりゃ気持ち悪くてモテないだろうと我ながら思う。

そんな典型的な陰キャも社会人になると義理チョコなるものを頂けるようになった。

同僚や取引先の方や保険の外交員さんから多い時は五～六個は貰えていた。

その当時お付き合いしていた女性からは本命の手作りチョコを頂いて、これがうわさに聞くモテ期か…と悦に入っていた。

それから一か月が経ちやってくるのがホワイトデーである。

当時から女性にお返しをする時は基本的に三倍返しと言われていたので、食べ物ではなくハンカチや入浴剤なんかを吟味して贈っていた。

反応はおおむね好評であったと思う。

本命であるお付き合いしている女性にはちょっと頑張ってブランド物のキーケースを贈った記憶がある。

その時の反応は何とも微妙であ、ありがとうと言われたがそのキーケースを彼女が使っている姿を見たことはなかった。

おそらく趣味に合わなかったのだろうが私はそれが小さな不満だった。

思えば相手のことを本当に考えていれば欲しいものなんて簡単に分かるはずである。

そこまで考えの至らなかった私はいかにも青二才だった。

それがきっかけというわけでもないだろうが、ほどなくして些細な事がきっかけでお互いがすれ違うようになり夏が来る前には別々の道を歩くようになってしまった。

そこからしばらくは独り身の時期が続いたがひょんなことがきっかけで新しい女性とお付き合いすることになった。

交際は順調でほどなく一緒に暮らすようになり初めて迎えたバレンタインデーには私に内緒で大きなチョコケーキを作ってくれた。

スポンジから手作りでカカオの苦みの効いた大人のケーキだった。

あの味は今でも忘れることが出来ない。

そのお返しに私が送ったのが婚約指輪だったらお話は綺麗にまとまるのだが、当時は仕事が忙しくてホワイトデーのことをすっかり失念していた。

クタクタになりながら電車に揺られながら、ハッ！今日はホワイトデーじゃんと気づいた時にはあらかたのお店は閉まっていた。

そこで仕方がないのでコンビニに立ち寄ってありったけのスイーツを買って帰ったことを覚えている。

アパートに帰って彼女にごめん、こんなものしか用意できなかったと謝ると仕方がないなぁという顔をしながらコンビニ袋を受け取ってありがとうと言ってくれた。

もちろんこれでは気が済まないので埋め合わせに後日一緒に買い物に出かけた時に彼女が遊びたいと言っていたゲームのセットを購入して二人で夢中になって遊んだのは良い思い出である。

言うまでもなくその彼女は妻の事である。

そういえばコロナ禍以降バレンタインにチョコレートを貰う事がすっかりなくなった。

もういいおじさんだがちょっぴり物足りない気がするのはまだまだ気持ちが若いのだろうか。

もしやと思って机の引き出しをごそごそやる癖は抜けませんねぇ。

そんな淡く男の本能がくすぶっている私の晩御飯がこちら。

昨日は週末だったのでちょっと豪華版。

メインはハンバーグ。

ひき肉をよく捏ねてそこにみじん切りの玉ねぎ、卵、牛乳、千切った食パン、ナツメグを振りかける。

味付けは塩コショウをやや強めに。

良く練って全体がまとまったら両手でパンパンとキャッチボールをして中の空気を抜いて小判型に成型。

それからすぐにフライパンに薄く油を敷いて焼いていく。

手がベタベタなので洗っているとその間に表面が焼けるのでフライ返しでひっくり返す。

そうしたら酒を大目に振り入れてフランベ。

火が消えたらふたをして弱火にしてじっくり焼いていく。

その間に副菜づくり。

昨日の副菜はスンドゥブ。

絹ごし豆腐一丁を食べやすい大きさに切る。

野菜はもやしを洗って人参、ニラを洗って切っておく。

鍋にキムチの素、醤油、味噌を入れて昆布だしでつゆを作る。

そこに豆腐と野菜を入れて火にかける。

しばらくグツグツと煮込んで野菜に火を通す。

もう一品の副菜はしめじの石突を取ってレンジでチンして、叩いた梅肉と塩昆布少々で和えてしめじの梅肉和えの出来上がり。

そうこうしているうちにハンバーグが焼けてくるので箸で刺してみて肉汁が透明になっていたら焼き上がり。

大根おろしを作っておいたのでそれをハンバーグにたっぷり載せてポン酢をかけたらおろしハンバーグの完成。

スンドゥブもいい具合に煮えたので仕上げに卵を落として火を止めて器に盛る。

これでちょっと時間をかけた晩御飯タイムに突入。

妻は食卓を見て、うわぁ好きなものばっかりと嬉しそうだった。

いただきますをしてまずはスンドゥブを味わう。

ビリッと辛くてはぁ～っとなる。

味は野菜の出汁も出ていてなかなかのもの。

卵を潰して混ぜるとまろやかになって食べやすくなった。

しめじの梅肉和えで口の中をさっぱりさせてハンバーグを食べる。

中までしっかり火が通っておりパサパサもしておらず上出来の部類だった。

おろしポン酢のおかげで食べやすくてご飯が進む進む。

妻はハンバーグが大好物なのでご機嫌だった。

ゆっくりと食事を楽しんだいい週末ご飯になった。

ご馳走様をして後片付けをしておやすみなさい。

バレンタインデーは贈る側もドキドキのイベントですよね。

乙女のトキメキ、今度生まれ変わったら味わってみたい。

ちょっとキモイっすか？