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ふわっふわのトロットロ。

 ここ最近で一番困ったことは野菜の直売所が移転したことである。

 私は時間がある時は直売所をよく利用していた。

 その売り場が先月の末に急に閉鎖され近くのスーパーの中にテナントで入ることになった。

 そのスーパーはかなり昔からある古いスーパーで客層は年配の方が多いどちらかと言えば落ち着いたお店である。

 そこが内装を改装してその時のタイミングで直売所が移転した。
 
 それ自体はまあ仕方がないと思うが問題は売り場面積が劇的に狭くなったことである。

 これまでは鮮度のいい野菜が欲しいときに直売所に行くと潤沢な品ぞろえで待っていてくれた。

 それが今では売り場が従来から五分の一くらいまで縮小してしまった。

 当然売り物の野菜も少なくなり選択肢がガクンと減った。

 しかもスーパーの店内には青果コーナーがあり一つの店舗で野菜を二重に扱っていることになるので意味がよくわからない。

 困った点はまだあって何分古いスーパーなので駐車場が少ししかないという事である。

 リニューアルオープンをしてからお店は大混雑であり私が店舗に入れたのは一度だけだ。

 何だか一気に野菜難民になったみたいで心底弱っている。

 移転前は子どもの頭ほどある白菜がワンコインで買えたのにとつい思ってしまうのは人情であろう。

 今の時期ならば私の大好物の葉わさびが並んでいたものだが前回お店を訪れたときには売り場には影も形もなかった。

 旬の味を堪能できる貴重な場所がしょぼくなったのは残念でならない。
 
 そんなことを考えながら帰り道に別のスーパーに足を運んだ。

 このお店は精肉と鮮魚には強いのだが青果が今一つである。
 
 自宅の近所には何軒かお店はあるもののいずれも帯に短したすきに長しという言葉が良くあてはまる。

 まあ慣れるしかないよなと思って買い物をして帰宅。

 家に帰ってうがいと手洗いをして晩御飯の支度。

 昨日の献立はお好み焼き。

 これまでも我が家ではたまに作っていたが昨日は本で読んだ本場の作り方を試してみることにした。

 まずはキャベツを粗みじんに刻む。

 山芋の皮を剥いて摺り下ろす。

 ボウルにキャベツと山芋を加えてカツオと昆布の出汁を入れる。

 そこに卵を二つ割り入れて水を少々加えてよく混ぜる。

 これで種は完成。

 お好み焼きだけだと寂しいので副菜にサラダを作る。

 よく冷やしたトマトを輪切りにする。

 モッツァレラチーズを一口サイズに切り分ける。

 それをお皿に交互に並べて冷やしておく。

 食べる直前に岩塩とオリーブオイルとたっぷりかけていただく。

 これで簡易版カプレーゼの出来上がり。

 居間に食材とホットプレートを持ち込んで晩御飯の始まり。
 
 まずはビールで乾杯。

 プシシッとプルタブを起こしてグラスにトックリトックリと注ぐ。
 
 では、とか何とか言いながらキュウッと飲み干す。

 はぁ口開けのふさわしいのはビールですたい、とインチキな方言が出る。

 では早速焼いていこう。

 ホットプレートに油を敷いて電源をつける。

 煙が立ち上ってきたら生地を流しいれる。

 ジュッと景気のいい音がする。

 すかさず表面に豚バラ肉を並べておく。

 端っこがカリカリになってきたらエイヤッとひっくり返す。

 豚肉が焼けていく香ばしい香りが部屋中にあふれる。

 火加減を調節しながらじっくりと火を通す。

 焦げる前にお皿に取ったらソースを塗って鰹節を振りかけていただく。

 アツアツを箸でちぎって口に運ぶと外はカリカリ中はフワフワの新食感だった。

 何より生地に軽さは特筆ものでこれまで自分がなんとなく作っていたお好み焼きがいかに野暮ったいものだったか痛感した。

 食べ心地が軽いのであっという間に一枚食べきってしまった。
 
 まだまだいけそうだったのでビールを飲みながら二枚目の制作に取り掛かる。

 今度は余裕があるのでカプレーゼをつまみながらじっくりと焼き上げた。

 お酒はビールから焼酎の梅割りにチェンジ。

 お好み焼きのソース味に焼酎がよく馴染む。

 今度はマヨネーズもつけて食べてみたがこれも悪くない。

 美味い美味いと食べていたら二枚目もペロリだった。

 生地が余っていたのでもう一枚焼いてこれは冷凍しておくことにした。
 
 これでいつでもお好み焼きが食べられるかと思うと心が豊かになる気がした。

 お好み焼き二枚とカプレーゼで腹八分目に収まったのはいい塩梅だったと思う。

 お酒はビール一本に焼酎二杯とこれまた控えめ。

 何より昨日の収穫は自分のお好み焼きレベルがアップしたことである。

 今度関西に行くことがあればお店でも食べてみたいなと思った。

 ふんわりと作ることは山芋を大量に使うことにありとコツは掴んだ。

 私の料理は母の手ほどきと我流で出来ているので基本というモノがあやふやである。

 もっと料理を勉強したいなぁと漠然と思いながら床に就いた。
  
 さぁて今日は何を食べようかな。

 朝から晩飯の事を考える食いしん坊な自分に乾杯。

 だって食べる事が好きなんですもの。

 今日も楽しくいただきます。

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